ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

マイケル・ムーア監督、初来日!

2009-11-30 22:42:38 | ぽつったー(ぽつおのつぶやき)
映画「キャピタリズム~マネーは踊る~」(12/5公開)のPRのため
初来日したマイケル・ムーア監督。

本日11:00から行われた記者会見にノコノコ出向き
“生ムーア”見て来ちゃいました!←ミーハー・・・


会見が行われたのはなんと東京証券取引所。



番長、足を踏み入れたの初めてです!

んで、時間ピッタリに登場したムーア監督。

やっぱでかいです!



念のため、ヨコも・・・



昨日、初めて日本の地を踏んだというムーア監督。
しごくご機嫌なようですが
実は空港でバゲージロスにあったそうで

「えー、どこの航空会社とは言いませんが
 Jで始まりLで終わるところ・・・」

といきなりの告発に、会場は大爆笑!

「なので着る服がなく、力士御用達の店で
 急きょ買い物をしてきました(ホントかよ~)

 こんな格好でごめんなさい。
 でもまあ、いつもと一緒ですね

と軽快な一人突っ込みで、また笑いを誘います。


さらに入国の際に指紋採取を求められ
ちらっと拒否ったら別室に連れて行かれ
一悶着したエピソードなども披露。
(結局、押したそうですが)


さすがのムーア節が炸裂でサービス満点です。


が、その後、記者との質疑応答に入ったとたん
番長はびっくりしました。

受け答えが非常に明瞭でクリア
頭の切れる音がスパスパ伝わってきます。

“生ムーア”すっごくスマートじゃん!


さらにヒートアップしてくると
印象深いフレーズをワンセンテンスずつ区切って話し
さながら有能政治家の演説会のように。

良くも悪くもアジテーション(人を扇動する)能力が抜群なんですね。

いやーびっくりしました


またムーア監督は
前作「シッコ」で取り上げた国民皆保険制度について
日本をいたく評価しているようで

「日本人は“同じボートに乗っている”という意識が強いのでしょう。
どんなに境遇が悪化しても『自分だけが落とされることはない』と」

うーん。セーフティネットも危うい現代日本だけど
確かに7秒に1家族が家を差し押さえられている
アメリカに比べれば、まだマシなのかもしれない。

しかしこれだけ身をさらして
社会を告発し続ける仕事はやはりキツいようで
「もし人生をやり直せるとしたら
 こういう作品を撮ろうとは思わない」
んだそうです。


ともあれ会見は約1時間で終了。

最後は株価が流れるシリンダーの前で撮影会。



いやはや、ますますがんばって欲しいです。


ちなみに花束贈呈したゆうこりん(小倉優子)との
かみ合わない会話も場内の爆笑を誘ってました。

ムーア「現総理をどう思います?」
ゆうこりん「はい、なんていうか、好きです!」
ムーア「そう。あなた、お母さんから10億円もらったことあるの?」
ゆうこりん「えっ?そんな、そんなお金もらったことないです!」


・・・(笑)。

「キャピタリズム~マネーは踊る~」公式サイト
12/5からTOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズ梅田で限定公開。
2010年1/9から全国拡大公開。
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パチャママの贈りもの

2009-11-29 13:07:51 | は行
ドキュメンタリーかと思うほど
雄大で自然な作品でした。


「パチャママの贈り物」71点★★☆


南米ボリビアにある塩の湖で
塩を切り取って生活する一家を描いた物語。


彼らはインカ帝国の末裔だそうで
切った塩をリャマ(アルパカみたいな動物)に積んで村へ売りに行き
物々交換で農作物をもらって暮らしている。


映画は現地の人々を使って
6年もかけて撮影されたそうで
本当にドキュメンタリーかと思うほど自然。

でも主人公の少年を中心に人の出会いや別れなど起伏を盛り込んで
なかなかうまく出来ています。


なによりも冒頭、真っ白な塩の平原で
黙々と作業をする彼らの姿からかなり引き込まれました。

広い地球には、こんな暮らしがあるのか!という驚き。


監督はニューヨーク在住の日本人・松下俊文。
9.11を目の当たりにして、自分を見失い
広大なこの土地に辿りついたんだそう。


すごくわかる気がします。


美しくも厳しい自然のなかでの
シンプルで力強い彼らの暮らしは
真に「人間らしく」みえるから。

彼らの過分な荷物はもたない謙虚さや
「お互いさま」と無償で助け合う精神の崇高さをみると
「こんなふうに生きたい」と強く感じます。


時代は確実に原点回帰の方向にあるし、
彼らにはどうぞこのまま
変わらずにこの生活を続けてもらいたいと
願ってしまいます。


実は一番心に響いたのは
一家のおばあちゃんが亡くなるシーン。

チューブにつながれることもなく
おじいちゃんに優しく“なでなで”してもらいながら
静かに死んでいく様子が
心底うらやましく「こうありたい!」と思いました。

★12/19からユーロスペースで公開。

「パチャママの贈り物」公式サイト

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サロゲート

2009-11-28 00:03:40 | さ行
あの「レッドクリフ」の絶世美女ヒロイン
リン・チーリンに
来週、AERAでインタビューすることになったんだけど



「お題は自由に」と振られて
なにも質問が浮かんでこない・・・
聞きたいことあったら、どうぞ番長までお知らせを!


で、久々のアクション映画。



「サロゲート」70点★★


人類の誰もが自分の身代わりのロボットを持つ
近未来を描いたSFアクション。

人は外に出ずに
遠隔操作で自分好みのルックスに仕様した
ロボットを動かしているという設定。

なので
街を歩いても、オフィスにいても
全員スタイル抜群、しわもシミもない
つるんとした美男美女ばっかり(笑)。

事故死もないし、殺人事件も減ったという世界で
久しぶりに殺人事件が起こる、というストーリーです。



まず主人公のFBI捜査官・ブルース・ウィリスからして
身代わりロボット姿で登場。

これが20歳ほど若くバージョンアップしたルックスってとこが
予想外でおかしいので70点!(笑)

しかも髪の毛フサフサではなく
申し訳なさを感じさせる増量ぶりに
つい笑いが漏れてしまう・・・

こんな具合で一応アクションサスペンスなんですが
すべてがターミネーター的シリアスさより
どこかコミカルに見えるんです。


話は深くないけれど1時間半でサクッと見られるし、

現代の過剰なアンチエイジング信仰と
それゆえの無個性化を
ちょい揶揄するような設定がおもしろい。

「50歳なのに20歳に見える魔女~」なんて番組を見ると
あながちSFとも言えない気がします。

しかし世界が全員モデル容姿になったら
自分だけ4頭身のシミだらけでいるなんて野暮。

やっぱり絶対、やっちゃうだろうなあ・・・。

人間って弱い生き物だよねえ


★2010年1/22から全国で公開。

「サロゲート」公式サイト

あーあ
ブルース・ウィリスだったら
いっぱい聞きたいことあるんだけどなー(ほんとかよ)
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パレード

2009-11-26 12:41:31 | は行
アンアン「ダイエット特集」買っちゃいましたよ・・・




藤原竜也が出てたので、今日はこの作品にしようと。




「パレード」69点★★☆


行定勲監督の新作で来春2月公開。
この藤原竜也がすごくよかったんです。


都内のマンションで共同生活を送る男女4人の
ぐでぐでな日常
そのなかで起こる事件を描いた作品。


学生時代の共同生活は番長も経験があり
彼らの気の抜けたような会話や
ダルーい日常が妙にリアル。

脚本がうまくて、プッと吹き出すセリフが多く
かなり笑いました。


特筆すべきは、いままで名前と顔が一致しなかったような
若手俳優をもバッチリ印象づけた
役なじみのよさ。


年長で映画会社勤務のナオキ(藤原竜也)、
大学生のリョウスケ(小出恵介)
そして
恋愛体質なフリーターのコトノ(貫地谷しほり)。
酒癖の悪いイラストレーター志望のミライ(香里奈)。

全員「こんな人、いるいる!」と笑っちゃうほど
異常にハマってるんです。




小出恵介は最初「石川遼くんか?」と思ったほど
自然にトッポい(悪い意味じゃないよ)大学生だし

貫地谷しほりのぽわんと、いやドッカリした乙女っぷりもいい。


そしてグループのなかでなんだか
大人ぶらないといけないポジションにいる藤原竜也が
いままで史上最高にハマってた。


いつも作った感じの役が多かったので
あ、こんなフツーな役もできるんだ、と。


しかし
途中まですっごくおもしろかったのに
収束がまずいので、かなり残念

なにげない日常もいいけれど
映画は物事が動いてからが勝負ですから。


★2010年2月から渋谷シネクイント、新宿バルト9ほか全国で公開。

「パレード」公式サイト
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インフォーマント!

2009-11-25 12:44:18 | あ行
これも期待が大きかったのか・・・

「インフォーマント!」52点★☆


インフォーマントとは情報提供者、つまり“告げ口屋”のこと。
1990年代前半にアメリカで実際に起きた
企業の内部告発を描いた映画です。


スティーブン・ソダーバーグ監督×マット・デイモン最新作だもん
期待が高まるに決まってるじゃないですか。


しかし、ソダーバーグにしては大味というか
練りが足らず。

マット・デイモンも15キロも太って役作りをしたんだけど
うーん残念!
ああ、もうボーンに戻れなかったらどうしよう!


まず題材がややこしくて
ボーッと見ているとわけがわからなくなります。

マット・デイモン演じる内部告発者の
脈略のない一人語り(モノローグ)も
事態をことさらややこしくしてしまう。

特におもしろいことしゃべってるわけでもないしなあ(苦笑)

この気のいいお人好しにみせて
実は・・・という主人公のキャラクターがすべての鍵。

正義感から“告げ口”をするのかといえば
そうとも言えないし
彼の告発を裏付けようと動くFBIすらも翻弄し、
どんどん事態をややこしくしていく困ったヤツなんです。

彼を通して
善人にも悪人にも分類できない
グレーゾーンを持つ“人間”の不可解さを
描こうとしているのか・・・なあ。

いずれにせよ、よくわかりませんでした。


ただシリアスさを排除して
軽く明るいコメディタッチで見せているのと
「刑事コロンボ」時代のような
一昔前ふうの映像の色合いなんかは悪くないですね。

★12/5から恵比寿ガーデンシネマで公開。

「インフォーマント!」公式サイト

コメント (2)
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