一日中 言葉なき身の淋しさよ 君知り給え 我も人の子(東京都、103歳)
財団法人みやざき長寿社会推進機構が2002年から実施している「心豊かに歌う全国ふれあい短歌大会」の昨年の最優秀作品だそうです。高齢者の日々の淋しさがひしひしと伝わってくる作品です。選者の宮崎県立看護大学教授の伊藤一彦氏は「一日中という、この言葉の重さ。君知り給えの君とは、私たちを指している。心の叫びが三十一文字に凝縮されている」といっています。
この歌を最優秀賞に選んだのは、「淋しさを率直に受け止めているから」と伊藤氏はいいます。また「人間とは弱いもの。その弱さ、淋しさを見せる人こそ豊かな人間。淋しさを伝えて初めて、人と人とは理解し合える」と。
暖かになったら 逢おうねという友の 賀状1枚 抱きしめて寝る(群馬県、八十八歳)
これも賀状1枚を抱きしめて寝る作者の孤独感が伝わってきますが、三十一文字の中にその思いを書くことで、ふだん言えない本当の心を表現しているということが言えそうです。
伊藤氏が言うには、中には「年老いて ボケ半分で詠む歌は 我も分からず 人も分からず」というようなものもあるようですが、自分の思いや心の叫びを、三十一文字で言える手段を持っているということは、とてもすばらしいことですし、孤独を和らげるものだと思います。
大岡信氏は次のように言っています。「私は短歌や俳句を読みながら、何に最もうたれるかといえば、そこにからめとられている言葉の光のごときものが、他の場所では必ずや死んでしまうにちがいないほどに、その場所で、危機的に、生きている見事さにうたれるのである。」(毎日新聞1970年10月12日)
日本に伝統的に息づいている三十一文字の表現手段、書き言葉による自己表現手法を私たちは大事にしたいものです。
財団法人みやざき長寿社会推進機構が2002年から実施している「心豊かに歌う全国ふれあい短歌大会」の昨年の最優秀作品だそうです。高齢者の日々の淋しさがひしひしと伝わってくる作品です。選者の宮崎県立看護大学教授の伊藤一彦氏は「一日中という、この言葉の重さ。君知り給えの君とは、私たちを指している。心の叫びが三十一文字に凝縮されている」といっています。
この歌を最優秀賞に選んだのは、「淋しさを率直に受け止めているから」と伊藤氏はいいます。また「人間とは弱いもの。その弱さ、淋しさを見せる人こそ豊かな人間。淋しさを伝えて初めて、人と人とは理解し合える」と。
暖かになったら 逢おうねという友の 賀状1枚 抱きしめて寝る(群馬県、八十八歳)
これも賀状1枚を抱きしめて寝る作者の孤独感が伝わってきますが、三十一文字の中にその思いを書くことで、ふだん言えない本当の心を表現しているということが言えそうです。
伊藤氏が言うには、中には「年老いて ボケ半分で詠む歌は 我も分からず 人も分からず」というようなものもあるようですが、自分の思いや心の叫びを、三十一文字で言える手段を持っているということは、とてもすばらしいことですし、孤独を和らげるものだと思います。
大岡信氏は次のように言っています。「私は短歌や俳句を読みながら、何に最もうたれるかといえば、そこにからめとられている言葉の光のごときものが、他の場所では必ずや死んでしまうにちがいないほどに、その場所で、危機的に、生きている見事さにうたれるのである。」(毎日新聞1970年10月12日)
日本に伝統的に息づいている三十一文字の表現手段、書き言葉による自己表現手法を私たちは大事にしたいものです。