心の音

日々感じたこと、思ったことなど、心の中で音を奏でたことや、心に残っている言葉等を書いてみたいと思います。

これぞ究極の純愛ー山田洋次監督の「隠し剣鬼の爪」はお薦めの映画です

2004-11-25 23:14:33 | Weblog
 今日は久しぶりにいい日本映画を見ました。ハリウッド映画のような派手さやエンターテイメント性はないかもしれませんが、観る者の心にいつまでも消えない感動を刻む佳作です。物語は・・・。
 時は幕末。庄内「海坂藩」の下級武士、片桐宗蔵(永瀬正敏)は、奉公に来ていた娘きえ(松たか子)と3年ぶりに町で偶然再会する。嫁いで幸せに暮らしているとばかり思っていたきえの、やせて寂しげな姿に宗蔵は心を痛め、強引にきえを連れ帰る。回復したきえの笑顔で明るい毎日に戻ったとき、藩を揺るがす謀反が起きる。首謀者の一人である狭間弥市郎と宗蔵は、かつて藩の剣術指南役だった戸田寛斎の門下生だった。戸田は、一番腕の立つ弥市郎ではなく、宗蔵に秘伝「鬼の爪」を伝授していた。まもなく弥市郎は脱走、宗蔵は家老(緒形拳)から弥市郎を斬るように命じられる。
 宗蔵の武士としての信念と正義感、そしてきえとの身分を越えたせつない純愛がテーマです。己の信念を貫きぬくことは現実社会ではなかなか難しいですよね。特に不条理な上司の命令や、納得のいかない仕事など、不満をもちながらもやらざるをえません。そんな下級武士や平社員の気持ちなどわかってくれない、エライ方々、特に、この映画の家老のようないやなタイプは、いつの世も、どこの会社や組織にも必ずいるはずです。宗蔵は不服ながらも藩命を受け、かつての同じ門下生、弥市郎を討つ決意をします。弥市郎の妻(高島礼子)の、夫を必死に助けようとする行動と、その悲劇には思わず涙です。
 隠し剣「鬼の爪」を使い、弥市郎の妻のかたきを取った宗蔵の心には、しかしむなしさのようなものが残っています。武士を捨て、蝦夷に住むことを決意した宗蔵は、一つの愛を貫き通そうとします。ラストシーンの二人の最後の言葉のやり取りが、とてもいいです。まさに純愛です。
 山田洋次監督は、藤沢周平という大鉱脈を発見したというような記事を何かで読みましたが、「たそがれ清兵衛」に続いて、本当にいい映画に仕上がっていると思います。「寅さん映画」や「学校」シリーズ、「虹をつかむ男」なども、人情味などにあふれたとても良い作品でしたが、もう一度ビデオ等で見てみたいと改めて思いました。