窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

流氷とともにやってくるコオリガモ

2020-02-29 17:48:35 | カモ類

2月に入り毎日、海氷情報を確認しています。根室海峡に入ってくる流氷の動き

見て、野付半島に届いてくれるか予測するのです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

       ★ 流氷とともにやってくるコオリガモ ★

低気圧や高気圧の位置関係、動き、等圧線の幅や向き、風向きの予想、風の強さ、

大陸からの寒気団の強さ、など気になる情報がいっぱいあります。

流氷が来ると海上の景色が一変します。海と空しかない風景に氷群が入ってくる

と「彩」が加わり、美しさが数倍増加します。

早朝から夕方暗くなるまで、飽きることなく海を見ておられます。そこには

ドラマがいっぱい繰り広げられます。

中でも流氷の先端が流れていく時の喧騒です。氷の帯にたくさんの海ガモがつい

きます。中でもコオリガモの群れが多いのにびっくりです。

10羽前後の群れから100羽以上の群れが流れていく氷群の先に回り、開いた

水面に降りていきます。

次々にやってくるコオリガモの群れを見ているだけで、眼が右往左往してしま

います。これだけのコオリガモが必死になり飛びまわるのは氷の下に、たくさん

の生き物がいて、流れるとともに一緒に動き回っているのだと理解できます。

流れ着いた流氷の下にたも網を入れるとクリオネがたくさん捕れます。流氷に

付着する植物プランクトを食べる動物プランクトンが豊富に発生し、それを食

べに集まるクリオネです。さらに甲殻類や小魚が集まっています。

氷につくカモと言われる所以です。コオリガモの学名は彼らの声や現れる状況

からつけられています。

学名の内、属名Clangulaは「アォー、アォーナー」という声、「やかましく騒ぐ」

「音が響く」から、種小名hyemalisは「冬」を意味するから付いています。

流氷とともに現れ、白と黒の羽色が氷に紛れる色、彷彿させる色から日本名の

由来になっています。

野付半島からコオリガモの行動を見ながら、コオリガモと命名した観察力に

感心します。英語名に比べるとずっと素晴らしい名前です。

今は、ちょうどカップリングの時季で群れは1羽のメスに複数のオスがまとわり

つく構成になっています。メスばかりの群れがいますが、そこには必ずオスが

飛んできます。

遠くから「アォ、アウー」「アオーナ」と哀愁を帯びた声が響いてきます。

オスがメスに呼び掛けるディスプレイソングです。群れで飛びまわり、着水する。

忙しい行動がもっとも楽しめる季節です。

流氷が無くなる頃、彼らは極北のツンドラ地帯に向かいます。


ハギマシコ、カツカツで餌取りしてます。

2020-02-27 19:31:08 | 山野の鳥

野付半島で越冬するハギマシコは正式には亜種ハギマシコ。シベリア東部、レナ川から

カムチャッカ半島、北千島列島の山脈に生息する種です。

おばんです。小太郎でごじゃります。

       ★ ハギマシコ、カツカツで餌取りしてます。 ★

11月に姿を見せて、海岸の植物の種を求め広範囲に移動して生息していました。

今季は雪が本当に少なくて、ひとところで見ることがあまりありませんでした。

本当の海岸植物の種が豊富で、行くところでしっかり食べることができたよう

です。季節は裏切りません。ここにきて雪が良く降ります。

これまで裸出していた海岸の草地が雪に埋もれました。とたんにハギマシコは

頭を出している枯れ草を求め、集まってきます。

これを待っていました。じっくりハギマシコを観察できるチャンスなんです。

彼らが集まっているとこに行くと警戒してすぐに遠ざかりますが、じっと待って

いると必ず帰ってきて、雪から顔を出している枯れ草の実穂に取りついて黙々と

種を食べ始めます。

ハギマシコの嘴は三角のおちょぼ口。黄色の色が地味な羽色の中でちょっとだけ

目立ちます。顔を出した穂先を目安に雪の中をほじくり、種を採っています。

小さな種だからたくさん集めないときっとお腹はいっぱいになりません。

もくもくと数を集めないといけません。みんなで集まり、一個の種を無駄に

しない気力を感じます。

光りが横から当たるとオスの赤みを帯びたハギの花の色合いがふわりと浮き

上がります。ハギマシコ色です。

もう少しでいなくなってしまいます。よく頑張った。


キラキラの海岸

2020-02-26 19:57:30 | キタキツネの生態

流氷が去った海岸にキタキツネが探索に来ました。流氷が運んできた海からの

贈り物を探しにやってきたのです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

             ★ キラキラの海岸 ★

流氷が海岸に押し寄せるということ。強い風が吹き、海岸の浅瀬に氷を押し

上げます。強い風はうねりをお越し、海底の生き物を巻き上げ、海岸に打ち

上げ残して行きます。

キタキツネは氷の間に上がっている貝やホヤ、魚を見つけ出し、今日のおかずに

します。

砂浜に腰かけていたら、トコトコとやってきます。まさか僕がいるなんて知る

由もなく軽快に歩いてきます。

普段は人がめったに来ない時刻でもあり、すっかり油断しています。

海岸を探し、氷の上にでてきたら僕が目の前にいた。それはびっくりします。

あわてて方向転換、来たときにに比べ10倍以上のスピードで走り去りました。

そろそろカップリングに時期だというのに、相手はいないんだろか。


野付湾のカワアイサ

2020-02-25 13:21:21 | カモメ類

野付湾は冬季、ウミアイサの数が多いが、カワアイサの数も多い。しかし、

多い割に身近で多さを感じることが少ないのです。これは警戒心が強く、

人から遠くの場所で行動するせいです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

           ★ 野付湾のカワアイサ ★

立春を過ぎ、野付湾の氷が融けだすと湾内のあちこちで水面が開き、そこに水鳥

集まりだします。光りを求めあつまるプランクトンを食べにワカサギやチカ、

他の魚が集まってきます。それを狙いに集まってくるのです。

カワアイサやホオジロガモの潜水鴨です。オジロワシに襲われても潜って逃げる

ことができる用心深いカモ達です。

この時期、小魚が群れで動き回り、氷下待ち網漁にはたくさんのチカやワカサギ

が入ります。カモ達はよく知っていてあつまってくるのです。

カワアイサが大きな群れになることがあります。湾の沖合に群れが移動している

様子を見かけることがあります。けっこうなスピードで移動するところを見ると

魚の群れが懸命に逃げ回っている様子が伺えます。

河口で観察していると早朝や夕方、もしかすると日中でも、カワアイサが続々

やってくるときがあります。潮の満ち引きが関係しているのか、単に真水を飲み

に集まるのか、休みに来るのか、とにかく湧くように集まってきます。

ウミアイサのように万単位にはなりませんが、ばらばらで魚取りをしていた個体

やってきます。

本州などで生息していた個体群が北上してきて増えてきているのかもしれません。

ロシアの繁殖地に向かう連中だと思います。


流氷が、根室海峡春景色

2020-02-21 19:18:07 | 根室の風景

野付半島に流氷がやってきました。去年より1週間以上は遅くなりました。

日射しが強くなり、氷の結束が緩んだせいです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

         ★ 流氷が、根室海峡春景色 ★

オホーツク海を南下してきて知床半島、国後島、択捉島で堰き止められていた

流氷が北寄りの強風と気温の上昇でばらばらにされ、根室海峡と国後水道を通過

しだしました。

根室海峡に入ってきた氷は国後島沿いに流れていくことが多いのですが、風向き

標津の浜に向かい流れてくることがあります。流氷から見れば、寄り道です。

風が運ぶ氷は海流が運ぶ速さよりずっと早く、半島から見ているとすいすい通り

過ぎていきます。これぞ流氷と言える光景を見ることができます。

しかし、風向きが変わるとせっかく着岸した氷が沖合に動き出します。もっと

じっとしていてくれと叫びたくなるほど、憎たらしい風です。

一晩開けてみると影も形もないほどおだやかな海に戻っています。

オホーツク海側に比べると野付半島から見る氷はまことに流氷たる流氷です。

海が荒れていたことを残すのは砂まみれの氷が砂浜に打ち上げられていること

です。