町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

京阪神圏を駆けるJR西日本のイメージリーダー・223系2000番台

2024年04月11日 | JR線

京阪神間を結ぶ新快速として1995年から運用を開始した223系は、当時併用されていた221系と主に快速・普通列車で残存していた117・113系の置き換えと新快速列車の130キロ化を目的に1999年から増備が再開されますが、1000番台の実績を基にコスト低減を図り新たに2000番台として製造されることになりました。改良に改良を重ねながら長期に渡り増備され、性能を221系と同一にした6000番台も合わせて8両編成30本・6両編成14本・4両編成81本の総勢648両が製造され、時期により様々な形態差を有しています。

V48編成を先頭に12両の新快速で運用中の223系2000番台。写真は2004年〜2005年に増備されたグループでスカートが拡大されパンタグラフ台座の形状が変更されています。225系の登場後も新快速・快速の主力車両で併結運転も頻繁に行われています。

快速運用で見られる4+4両の8両。先頭に立つV13編成は1999年〜2000年に増備された2000番台1次車に当たり、2000年3月11日のダイヤ改正で新快速運用から221系が撤退し、223系グループに統一されました。また2008年からV20〜V28の9編成が221系との併結用に性能を固定化され、車番に4000を+した6000番台化されていましたが、2021年9月までに原番に戻され元の2000番台に復帰しています。

221系同様に転換クロスシートが並ぶ車内。座席モケット更新は2011年から始まり、225系同様のブラウン系に交換されるようになりました。製造時期の長さから、蛍光灯カバーや床材の素材変更、非常通報装置や消化器を示す表記など乗客には見えない部分も細かく見直されています。

ドア上には小型のLED表示器が設置されていましたが、2020年3月から20.7インチの大型画面に換装されるようになりました。321系・323系で実績のあるWESTビジョンと称する案内表示ですが、既存車両に改造で設置されるのは初めての事例です。

登場から25年を数える2000番台ですが、1000番台に施工されている体質改善工事が完了すれば2000番台にも及ぶことになり、まだまだ京阪神圏の鉄道の顔として長期間活躍するでしょう。

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浪速の街を巡る新鋭、JR西日本323系・大阪環状線

2024年04月09日 | JR線

大阪環状線では国鉄時代の1969年からオレンジ色の103系が運用され、長らくの間同線のシンボル的な存在となっていました。JR西日本発足後は207系登場に伴い、老朽化と陳腐化が目立つようになった103系に対し1995年から40N体質改善工事(2002年以降は内容を簡素化した30N工事に移行)と称する車内設備を207系並みの水準に引き上げる工事が実施され、2005年には京阪神緩行線から321系により置き換えられた201系が転入しますが、103系は本格的置き換えとはならず依然として主力車両のままでした。しかし2013年12月24日に大阪環状線改良プロジェクトがスタートすることになり、計画の中には駅設備改良、地域や他交通機関との連携に車両新製が盛り込まれ103系と201系の置き換え構想が明らかになりました。この時点では形式名は明らかにされませんでしたが、2014年12月8日に323系となることが発表され、約2年後の2016年12月24日から運転を開始しました。

103・201系とは異なり3ドアとされ、通勤型ではありますが近郊型の225系に類似したデザインの車体になった323系。これは、環状線内には3ドアの近郊型である221が大和路快速として223・225系が関空・紀州路快速として直通して来る為、ホームドア計画も併せてドア数を揃え整列乗車を促進するとされています。写真のLS21編成は大阪ディスティネーションキャンペーンのマークを貼り付けて運転されています。

2016年〜2018年の間に段階的に増備され、103系は2017年10月3日、201系は2019年6月7日で定期運用を終了し、大阪環状線は3ドア車で統一されることになります。沿線人口の違いもありますが、利用者が多く4ドア車が主体だった路線が3ドアになるのは都市部の通勤路線としては比較的珍しいケースになりました。なお、103・201系が担当していた大和路線直通の区間快速運用は奈良の221系に置き換えられ、本形式が充当されることはありませんでした。

車内設備は中仕切りを設けた10人掛けロングシートを中心に車端部を3人掛けとしています。各車両とも車椅子・ベビーカースペースを1箇所設けている他、大阪駅で階段に近い8号車は混雑するためドア周りの座席を短くして立席スペースを確保しています。各駅停車運用以外には入らないものの自動放送装置も設置しており、関空・紀州路快速や特急電車と同様に日本語を関東私鉄でお馴染みの西村文江氏、英語放送を北海道・東日本管内の新幹線・在来線特急を担当するJean Wilson氏の両名の音声で案内を行っており、他路線はタブレット端末で区間を限定していたり、乗務員による放送が基本となっているので特別感がある部分です。

液晶画面による車内案内表示は225系に続くもので、17インチ画面で統一され設置場所が増加している為、大幅に旅客への案内を充実させました。関東とは異なり、路線図と動画広告の表示画面が逆の配置になっているのが面白い点です。

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車体カラー変更でイメージ一新、JR西日本321系

2024年04月07日 | JR線

JR西日本が管轄する東海道本線・山陽本線の主に京都〜西明石間で運転される各駅停車には1994年より現在も主力の207系の他に国鉄時代の1982年より201系、1986年より205系が投入され運用されていました。しかしこれらの形式は導入から20年余が経過し、207系も量産先行車が初登場してから15年近く過ぎて社会情勢の変化を受け、これらの形式に代わる新型車両として2005年に本系列321系が登場しました。2007年3月18日には全編成が出揃ったことで201・205系を完全置き換え、翌年2008年3月15日からはJR東西線乗り入れを開始し2010年3月13日には学研都市線(片町線)同志社前〜木津間のホームを7両編成に対応させる延伸工事が完了したことで京田辺での分割併合が廃止された為、快速運用にも充当されるようになり207系と運用が共通化されています。

207系のイメージを引き継ぎながらも三角形の包み込むような装飾やフォグランプの新設などで新しい印象になった正面デザインの321系。編成は6M1T組成ですが、電動車片側にのみ主電動機を搭載する「0.5Mシステム」により207系の3M4Tと出力を揃えながら将来的な他線区の転用や車種変更を容易にする為、各車両とも構造は極力統一され、どの車両も主制御装置や空気圧縮機など機器の搭載に対応している特徴を持ちます。

計画では7両編成36本製造とされていましたが、2005年4月25日に発生した尼崎脱線事故により207系0番台4両・1000番台3両に廃車が発生し、この事故を受けて207系の外装デザイン変更に伴う運用離脱の発生やダイヤ構成見直しなどから必要な編成数が増加し39編成273両が新造されました。本系列も完成時のイメージイラストでは車体のカラーは207系と同様に青と水色のラインを配していましたが、落成直前に紺色とオレンジの現在の装いに変更されています。

車内設備はロングシートで、配色は淡く白に近いグレーと濃いブルーの座席の組み合わせでしたが、座席モケットは2010年の春頃から緑系に改められ、吊り手は2011年から増設され現在のオレンジのものに交換されたことでイメージが大分変化しています。座席袖部は手すりと小型の板で構成されていますが、見ての通り仕切りの役割を余り果たしていない何とも中途半端な造りになってしまっており、なぜ普通の大型仕切りにしなかったのか謎な部分です。

車内案内表示はロングシート車ですがドア上ではなく、天井部に19インチ画面を2台ずつ枕木方向に設置しており、液晶画面による案内表示はJR西日本の一般車両で初めての採用です。当初は日本語・英語のみの表示でしたが2016年に改修され、中国語と韓国語の表示も行うようになりました。

来年で登場から20周年を迎える本系列ですが、207系が体質改善工事を受けている現状に加えてJR東西線に4ドア車用ホームドアが設置されたので、長い間活躍が見られると思いますが、いずれ登場する後継形式は323系を4ドアにした亜流になるのか、全く新設計になるのか気になるところです。

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置き換えが開始されたJR東海・211系5000番台

2024年04月05日 | JR線

1987年のJRグループ発足直後は地域の需要に合わせた車両の増備へ方針が改められますが、しばらくの間は国鉄時代に設計された形式をベースにした新造車を導入していました。JR東海では1988年より、名古屋・静岡地区の普通列車用に211系をベースに設計変更を加えた5000番台の増備を開始し、1991年までに242両が導入され313系が登場してからも名古屋地区の中央本線、静岡地区の東海道本線の主力車両として運用されました。しかし2022年より新型通勤車315系の導入により311系・213系と共に置き換えられることになり、同年3月には静岡車両区のLL編成4本に初めて廃車が発生、4月には神領車両区のK編成からも9両を皮切りに廃車が開始され、2023年10月には中央本線からは全廃され315系で統一、今後は静岡に車両の置き換えを2025年までに完了させる計画です。

静岡地区で運用されるLL編成。基本番台とは異なり、正面の助士席側と貫通扉の窓が拡大され冷房装置が集中式からインバーター制御方式の集約分散式に変更されています。LL編成は元は大垣車両区に配置されていた編成で主に豊橋〜岐阜間の普通列車に充当されて来ましたが、2006年からの313系大量増備により転属して来ました。静岡地区生え抜きのグループはSS編成・GG編成で、前者はクモハ211が5600番台とされパンタグラフが狭小トンネル対応型を搭載し、周りの屋根を僅かに切り下げ全てのJR東海管内電化路線での走行に対応し、後者はクモハ+クハの2両編成で213系同様に電動車が1ユニットで完結しているなど様々な相違点があります。

神領車両区に所属していた4両編成のK編成。5000番台が最初に配置されたのは中央本線で1988年7月のことでした。当初はトイレ設備を備えていませんでしたが、長距離利用者が多い快速運用に充当される機会が増えたことを受け3次増備分からトイレ設備を設置したクハ210-5300が登場し、1・2次車4両6からサハ211-5000を抜き取り3次車3両に組み込み、更に2次車11本はクハ211を5300に差し替え、捻出された5000は静岡地区向けの増備車と編成を組むように改めています。

1999年から登場の313系は211系との連結にも対応している為、両形式を併結した編成が日常的に組まれています。特に中央本線では朝の通勤時間帯に混成10両での運用も設定されており、車体デザインが異なる短い編成が幌で繋げられている姿を見ることが出来ました。

車内設備はドア内側を化粧板仕上げ、床を2色構成としクモハ211・モハ210では主電動機点検蓋の廃止、また座席はクッション材を厚くして奥行きを確保し座り心地を向上させました。2005年からはバリアフリー対策で313系と同様のドアチャイムの設置も実施されています。

運用から離脱した211系は西浜松に送り込まれ、順次解体されていますが、保存目的なのかクモハ211-5001の1両のみが保管されている他、静岡車両区の3両が三岐鉄道に譲渡されることが決定しています。今後2025年までに、どれだけの両数が再起できるか期待して見守りたいですね。

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京浜工業地帯のニューフェイス、JR東日本E131系1000番台・鶴見線

2024年04月03日 | JR線

京浜工業地帯の通勤路線として機能する鶴見線は2004年以来、山手線・埼京線からの転属車に先頭車化改造を施した205系1100番台3両編成により運転されて来ました。編成両数が奇数である為、中間車の改造や先頭車の電装化を行わない新系列電車の転用はできないことから後継車に注目が集まっていましたが、2023年7月23日に横浜支社からのプレスリリースでE131系(1000番台)を8編成24両新造し導入することが発表され、同年12月24日から営業運転を開始しました。国有化からJR東日本発足後以来、鶴見線は首都圏他線区からの転用車で賄われており、前身となる鶴見臨港鉄道以来実に80年振りの完全な新型車でもあります。

JR東日本の新系列電車はE231系以来、2950mm幅で裾を絞った車体を基本としていますが、鶴見線は車両限界が小さい箇所が点在することから2778mmのストレート車体で設計され、地下鉄乗り入れ対応車両のような外観になり正面は貫通式前面風のデザインですが、実際は非貫通全室運転台構造になっているのも特徴的です。カラーリングは海をイメージしたスカイブルーと、1980年の101系転入時より同線のラインカラーとされるイエローの構成で、正面のドット模様は過去に活躍した車両のカラーリングで歴史を表現しています。

国有化以降は長らく首都圏で使用された旧性能電車が配置され、平成に入ってからも17m車体に両運転台のクモハ12が大川支線用に残存するなど、工業地帯の特異な沿線環境から人気を集める一方で車両面は近代化から常に2〜3世代遅れている印象があった鶴見線ですが、今回のE131系登場で一気に若返りを果たしました。

ストレート車体であることに加えて久々にステンレス無塗装仕上げのドアが採用され、都営交通か私鉄の新型車のような印象を受ける車内。非貫通構造の乗務員室になっていることから仕切り扉も引き戸から通常の外開き式に改められています。使用する機会は殆ど無いと思いますが、他番台と共通化されている為か半自動ドア扱いを可能にしており、ドアボタンも備えられています。

車内案内表示装置は17インチ液晶画面を1台設置しており、表示内容は鶴見〜扇町間は赤、海芝浦支線は青、大川支線は黄色と色分けして表示されています。こちらも鶴見線では初採用の設備になりました。

鶴見線初の新型車として運用を開始したE131系は、これまでの形式と違い相当な長期間活躍することと思いきや、将来的には他線区に転用することを考慮して寒冷地での運用を想定した霜取りパンタグラフ増設の準備工事が実施されていることが明言されており、加えてJR東日本では2030年頃の実用化を目指して水素電車を開発中で鶴見線と南武支線で試験を繰り返している点からも、実用化が決まればこの2線区に導入することを想定しているように思われ、E131系の活躍は意外にそれほど長くないのかも知れません。

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