町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

21世紀の新世代湘南電車・JR東日本E233系3000番台

2023年04月17日 | JR線

東海道本線東京口で長らく運用されていた113系置き換えの為、2004年より国府津車両センターへのE2311000番台の配置が開始されますが、20063月のダイヤ改正を控え運用見直しで余裕が生じていた鎌倉車両センターの横須賀線・総武線快速用E217系の転用も併せて行うこととなり初期製造の付属編成4両+基本編成11両の3本ずつが10両+5両への組み換え工事を実施し国府津車両センターへ転入しました。しかし2008年にはE217系のVVVFインバーター制御装置更新に伴う予備車確保の為に15両が鎌倉総合車両センターへ復帰することになり、その穴埋めとしてE233系の近郊型となる3000番台(E01編成+E51編成)が初登場し同年310日より運用を開始しました。更に2010年にも横須賀線・湘南新宿ラインの武蔵小杉駅開業に伴う運用増加でE217系の鎌倉総合車両センター再転出の為E02E02編成が増備されています。この時点では東京〜熱海間の限定運用に留まりますが、2011年からは211系置き換え用として当時の田町車両センターにNT編成として(20133月で同所は廃止され全編成が国府津に転出、編成番号も基本編成はE03-E16、付属編成はE53-E66に改称)配置され、20082010年の製造車と比較し6号車にも洋式トイレを増設するなど仕様が見直されています。2012年からは高崎車両センターへの配置(基本編成L10-L17+付属編成D01-D016)も開始され、2014年には宇都宮線(上野〜宇都宮間)・高崎線の211系を完全に置き換えました。こちらは2015年の上野東京ライン運転開始と共に小山車両センターに転出し基本編成がU618-U633、付属編成がU218-232編成に改められています。

身軽な基本編成単独で東海道本線を下る小山車両センター配置のU621編成(L05編成)。登場からしばらくはE2311000番台と運用が分かれていましたが、2015年の上野東京ライン運転開始に伴い車両運用も大幅に見直され、両形式が共通運用になり相互に併結運転も見られるようになりました。2015年で一時増備終了になるかと思われましたが、2017年にも付属5両のE73E74編成が1本ずつ増備されています。国府津・小山の両車ともE2311000番台と共に、東海道本線(東京〜沼津間)・横須賀線・(大船〜逗子間)・伊東線・宇都宮線(東北本線東京〜宇都宮間)・高崎線・上越線(高崎〜新前橋間)・両毛線(新前橋〜前橋間)と、首都圏の広範囲で運用されています。

付属編成U229編成を先頭にした15(D13編成)6号車へのトイレ増設以外にも改良が施されており、VVVFインバーター制御装置が初期のE01-E02E51-52は日立製作所のSC90が採用されましたが、2011年以降からは互換性を保ちながら更に小型軽量化を図ったSC98(磁励音は同一)を搭載するようになりました。

E233系+E231系の併結部分。両系列共にシステムが異なっていますが、E233系側に併結時にインターフェースを図る読み替え機能が搭載されています。写真は小山所属車同士の連結ですが、国府津車+小山車、またこの逆の組み合わせも日常的に見られます。

ロングシート仕様の車内。基本的には通勤型と同様ですが、写真は2011年以降に登場したモハE232-3800(6号車)である為、車端部に一般型洋式トイレ設備(車椅子非対応型)と反対側は枕木方向の2人掛け座席を配置しています。また、このトイレ下部には汚物処理装置を搭載した為に補助電源装置(SIV)のスペースが確保できず、モハの連結位置も変更されています。

セミクロスシート仕様の車内。基本編成の両端2両ずつ(12910号車)と付属編成の宇都宮・高崎寄り2(1415号車)がこの仕様です。車内案内表示器はE231系に合わせて液晶画面は採用されず、2段式LED表示器が設置されました。

グリーン車の2階席。E233系列では初となるダブルデッカー型グリーン車ですが、トイレや洗面所、業務用室の位置、普通車とは異なり単層ガラス・ステンレス仕上げのドアなど基本的な車内設備はE231系サロに準じた仕様になりました。

赤系モケットの1階席。こちらもE231系サロとあまり区別できる点はありませんが、東海道本線内での列車でグリーンアテンダントへの暴行事件が発生したことから側面ドア、乗務員室、業務用室付近に監視カメラが新設されています。

現在はE231系の機器更新が進行している状況なので、両系列が共存する状態がしばらく続くかと思いますが、小山車両センターに導入された初期車は既に23年目に入り置き換えも視野に入って来る年代になりました。E233系も初期の編成から機器更新時期に入ろうとしています。もしもE231系初期小山車置き換えが計画されたら、何らかの動き(新型車導入により短編成化での地方転出など)が発生するのか、今後が色々気になる形式です。

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大規模修繕で躍動感あるデザインに一新・東京メトロ南北線9000系(初期車)

2023年04月15日 | 首都圏の地下鉄

19911129日、南北線駒込〜赤羽岩淵間の部分開業と同時に営業運転を開始した9000系は2016年で登場から25年が経過した事からB修繕(20年程度が経過した車両に施工の大規模修繕工事)が発表され、量産先行車第1編成を含む初期製造の8本が対象になりました。東京メトロ南北線では都営三田線、東急目黒線と共に8両編成化を推進していますが、これらの編成は増結の対象外とされ6両編成で継続して運用することが明言されています。一番最初にリニューアルされたのは第5編成で、2016815日より運用入りし、運用復帰前には報道公開もされました。

B修繕後の第3編成。量産先行車の実績を踏まえて南北線第一期開業に向け導入された量産車編成です。急勾配が多い路線である為、出力増強を求められたことから当時の営団地下鉄で初のGTOサイリスタを用いたVVVFインバーター制御車となりました。1992年にも予備車として第8編成が登場しており、制御装置のメーカーは第2-4編成が日立製作所、第5-8編成が三菱電機製とされ、6両化の際には4両編成だったこれらに組み変え工事を実施した為、量産車は機器が編成内で統一される一方先行車の第1編成のみ日立・三菱が混在し、制御装置が発する磁励音が編成内で異なる特徴的な組成となっていました。

三菱製GTO-VVVFだった第8編成。先頭車にはスカートが新設され、エメラルドの帯色は踏襲しつつ柔らかさと躍動感を持たせたウェーブデザインになり車体上部にも装飾が施され、行先表示はフルカラーLED化されるなど大きく印象を変えました。意外な事に集電装置のシングルアームパンタへの換装は行われず上昇検知装置の追設に留まるのが興味深い点です。編成により分かれていた制御装置は三菱電機フルSiC-MOSFTによるものに統一され主電動機出力が190kwから225kwに増強した新規品に換装、代わりに中間の9300号車を電装解除し3M3T組成に改めています。

化粧板・床敷物が更新され、大型の座席端の袖仕切りが目立つ車内設備。特徴的だった車端部のボックスシートは撤去されフリースペース化されました。これにより、東京メトロの車両は在籍する車両全てがロングシート車となり、デュアルシート装備車を導入した京王電鉄と入れ替わりに大手私鉄ではクロス(ボックス)シート設備が存在しない唯一の事例になりました。

車内案内表示器は登場時としては非常に画期的だった2段表示が可能なLEDスクロール式のものを搭載していましたが、液晶画面に更新されました。同時に開閉時のチャイムも1回のみ鳴動する営団地下鉄タイプから3回鳴動するスタンダードなタイプに改められています。

2019年に8編成全ての修繕が完了し、何もなければ10年程度は安定して活躍するものと思いますが南北線は先述の8両化や品川延伸を始め、相互直通運転を行う埼玉高速鉄道も1編成のみであり、仕様は未定であるものの8両編成の新型車導入を発表しています。令和世代の車両と遜色ないB修施工車とはいえ、今後の計画次第では未更新のまま残る後期車と共に丸ごと置き換えられてしまうこともあり得るかも知れませんね。

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YNB化が進まない在来形式・相鉄10000系の現状

2023年04月09日 | 相模鉄道

2016年、相鉄デザインアッププロジェクトの一環としてYOKOHAMA NAVYBLUEに装いを一新した9000系が初登場してから早くも約7年が経過しました。当初発表の計画では、8000系・10000系・11000系も順次塗装と車内設備を更新して行くとされていましたが、予想に反して進みは遅く、8000系は101本、10000系は10両・8両の各1本が改造・更新されてからは現状中断した状態になっており、11000系に至っては未だYOKOHAMA NAVYBLUE仕様の編成が登場していません。近年は前照灯の移設や制御装置の更新のみを行ったセミリニューアル車とも言える編成が登場しており、全編成に及ぶのは相当先であることを思わせる動きを見せています。

10両編成では唯一VVVFインバーター制御が未更新のまま原型を保っている10708F。経年が浅いことも影響しているようで、登場から新コーポレートカラー採用まで帯を張り替えた以外に大きな変化はありませんでした。現在はYOKOHAMA NAVYBLUE化とは別個で色はそのままに前照灯を11000系同様に上部に集約し、行先をフルカラー化する改造がされるようになりました。

8両編成の10705F。本形式は車両メーカーから直接購入した編成とリース方式を採用している編成の両方が存在し、この編成はエスエムエルシー・パヴォ有限会社(三井住友系列)からのリース扱いとされています。現在は前照灯移設・機器更新を実施した編成は10両編成の10702F8両編成の10703F2編成が存在します。果たして今年は塗装変更を受ける編成は現れるのか?

車内設備に関しては基本的に改造点は殆ど無いと言っても良く、YOKOHAMA NAVYBLUE仕様車もシートモケットや吊り手、各種表記類を変更する程度に留まっています。LEDによる車内案内表示器の液晶画面化も見送られました。

YOKOHAMA NAVYBLUE化と同時に見られなくなっているものの一つがこの相鉄公式キャラクター・そうにゃんデザインの半円ステッカーです。2015年から採用されているので、短い期間で新デザインの注意表示に代わられてしまいましたが、ドアに貼られていると目立つので12000系や20000系に採用しても良かったのでは、と思いますね。

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久々に甦った臙脂帯・京王れーるランドのデハ6438号車

2023年04月07日 | 京王電鉄(電車・バス)

20113月で運用を終了した京王初の大型車にして最後の普通鋼製車となっていた6000系は、2009年に運用を離脱し廃車となったデハ6438号車が保存の対象に選ばれ長らく若葉台検車区にて保管されていましたが、20131010日にリニューアルオープンする京王れーるランド入りすることが決定し、他の保存車両と共に展示されるようになりました。この時点では新塗装化された後の姿でしたが、引退から12年目となる本年311日より、登場から長らく見られた臙脂色の帯に整備され、懐かしい姿を久々に見せています。

19732002年の間に纏っていたアイボリーホワイト+臙脂帯に戻った6438号車。引退間際のリバイバル塗装では登場直後の1972年の僅かな期間の姿(正面の帯が斜めカット処理で行先表示器が塗り分けられている)だったので標準的なスタイルに戻ったのは実に役21年振りとなります。乗務員室扉後部に貼られていたKEIOのロゴが消されていますが、現行ロゴ貼り付けは1989年より、スカート新設は1992年からの為、厳密には実際に運用されていたどの時期とも合致しないので、それさえ無ければ完璧でした。

帯色復元後はヘッドマークの取り付けがされていたようですが、筆者が訪問した日は特に掲出はありませんでした。京王といえば、やはりこの色を思い出す方は多いのではないでしょうか。普通鋼製車体で一段下降式窓を採用したことが短命に繋がってしまい、ほぼ同じ性能で車体をステンレス化した7000系はVVVF化改造を受け現在も廃車が出てるとはいえ幅広い運用に就いているのを見ると、なかなか残念な終末でした。

よく見ると5000系の5723号車もKEIOロゴが消されて急行系列車の運用にも入っていた19701980年代を思わせる姿になっています。通勤時間帯に1992年まで設定されていた通勤急行の表示板が掲げられていますが、現役時代は新宿方先頭車だったので良く似合いますね。

妻面側に設置されている6000系の説明板。元々地上専用車だったのが後年乗り入れ対応に改造されたことが触れられています。系列全体では39年間在籍でしたが、個別に見ると20年に満たないまま廃車になる車両が多数存在しました。

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30年振りの新形式・直線的フォルムの横浜市営地下鉄4000形

2023年04月05日 | 横浜市営地下鉄

横浜市営地下鉄が開通してから50年目となる2022年、想定以上の老朽化が進行していた3000A形の置き換え用として待望の新形式となる4000形が登場しました。1992年登場の3000A形以来、N•R•S•Vのアルファベットで構造の違いを表しながら増備が続けられながらも系列自体は3000のままで本形式も3000V2次車として計画されていましたが、外観デザインを大幅に変更した為新形式とされたものです。製造メーカーは川崎重工業(202110月より子会社の川崎車両)が担当しており、初代車両の1000形以来こちらも50年ぶりの受注となりました。今後も3000A形の置き換えを完了させるべく増備が予定されています。

これまでの3000形グループでは「く」の字状に尖った流線形スタイルの前頭部でしたが、見る角度で表情が変化する直線的な形状に改め、前照灯・尾灯が縦配置となっているのが特徴的です。これは、横浜市が実施した調査から「横浜のイメージ」「横浜らしさ」を抽出し「海辺の先進的な都会感」をコンセプトに掲げ凛とした佇まい、スピード感を感じさせるデザインとされています。

側面も3000V形までは配置は若干違うものの基本的には青と水色の帯が横方向に貫くデザインでしたが、ゲートタイプのホームドアの普及に伴い上部に4色の帯が入り腰部に細帯が通るスタイルになりました。メカニズム的にはハイブリッドSiC適用IGBT-VVVFインバーター制御を採用し、3000V形とほぼ同じ性能となっています。

3000V形でもガラスを多用した開放感ある車内でしたが、4000形ではまたデザインが見直されました。天井や袖仕切りの形状、一部の配色が変更になりましたが、近年の新造車にしては珍しく、座席は片持ち式ではない蹴込み板があるタイプになったのが特徴です。

車内案内表示器は17.5インチの液晶画面で、3000V形では周囲に合わせて白の筐体でしたが、本形式では黒になりました。停電時でも車載バッテリーによる表示を可能にしており、非常時にも視覚による情報提供を可能にしています。

今回の4000形は3000A形の代替の為に8編成が増備される予定ですがブルーラインは2030年度を目標に、あざみ野〜新百合ヶ丘間の延伸を予定しており開通時には更に車両が増備される予定となっています。4000形はそれらとは関連しない3000A形代替用ですが、延伸の際の増備車は現在の4000形のマイナーチェンジ車になるのか、また完全な新形式になるのか注目ですね。

 

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