町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

新京成電鉄、親会社の京成電鉄へ吸収合併で解散・消滅へ。気になる在来形式の今後

2023年11月01日 | 京成グループの鉄道

20231031日の取締役会にて、京成電鉄は新京成電鉄を吸収合併することを発表しました。新京成電鉄は2022830日に東京証券取引所スタンダード市場上場廃止、91日より簡易株式交換により京成電鉄の完全子会社となっていましたが、吸収合併により経営効率化と意思決定の迅速化を目指すものとされています。これにより新京成電鉄は202541日で法人格が消滅、約79年の歴史に幕を下ろすこととなりました。現在の駅と路線は変わらず維持し、路線名については検討中となっていますが、全くの別名になることが予想されます。

ここでやはり気になるのが歴史的な経緯から三菱電機の電装品を採用し親会社とは大分異なる独特の所有車両ですが、ジェントルピンクで統一されたカラーリングなどは将来的にどうなるのか興味深い点です。なお、京成通勤車で普通鋼製車体の塗装車は3400形を残すのみでしたが、合併により8800形が最後の普通鋼製車ということになります。

リニューアル未施工の8800形は現在廃車が進められていますが、車内をリニューアルする一方でVVVFインバーター制御装置の更新が見送られた編成が現れた他、ドアの幅や位置が異なり京成千葉線直通も対応していない少数派の8900形など、新京成独自の形式は京成電鉄に編入されたら早期の内に見納めになるかも知れません。

本年開催の新京成サンクスフェスタで80000形の横に並べられた8804編成。この編成はドア交換を受けていますが車内と制御装置は未更新で既に休車扱いになっており、今後の廃車が見込まれます。80000形もベースになった京成3100形とは駆動装置や制御装置が異なりますが、こちらも3100形への編入などがあるのかどうか気になるところ。

原型ドアで残存する8805編成以外の未更新車車内。ドアのみがステンレス無塗装のメーカー標準品に交換され、1980年代テイストの車内では不釣り合いな雰囲気に。マスコットキャラクターの「しんちゃん」と共に、塗装が変化して新型車が入っても何故か変更されず、新京成を特徴付けるものの一つだった関東型ドアステッカーも京成電鉄編入で見納めでしょうか

消滅・解散まで残り約1年半となった新京成電鉄ですが、やはり長らく親しまれた社号・路線名の消滅というのは沿線外の筆者も一抹の寂しさを感じます。今後の路線名や在来車の処遇など、京成電鉄からの発表が待たれますね。

 

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登場から30周年を迎えた新京成電鉄8900形

2023年10月31日 | 京成グループの鉄道

京成電鉄の子会社でありながら独自仕様の車両を導入していた新京成電鉄は、8800形の増備が終了した1991年から僅か2年後の1993年に車体構造・設計を大幅に刷新した8900系を登場させました。親会社の京成3700形を参考にしながらもスムーズな乗降を目指して標準的な1.3メートル幅から1.5メートルに拡大したワイドドア、旅客向けサービス機器に自動放送装置、京成グループの通勤型電車で唯一のボルスタレス構造の台車に、当時は極めて珍しかったシングルアーム式パンタグラフの採用など、新機軸をふんだんに盛り込んだ意欲作で、首都圏エリアでVVVFインバーター制御を普通鉄道で初採用した8800形と共に、準大手私鉄の通勤型電車としては一際異彩を放つ存在でした。当時は在来形式の置き換えは考慮されなかった為、8両編成3本のみの製造に留まっています。

正面は普通鋼製で塗装され、地下トンネル区間を走行することは無いものの非常用貫通扉を備えている正面が特徴の8900形。登場時はクリアブルーの太帯、その下と幕板部にチェリーピンク(後に濃い目のルビーレッドに変更)の細帯が入り正面はチェリーピンク帯で新京成の「S」字を表現したデザインでした。他形式に合わせた6両編成化・新塗装化・走行機器更新は20149月からで、8918編成から実施されています。シングルアーム式パンタグラフは現在こそ東洋電機製造の標準的なものですが、登場時から2015年頃までは工進精工所製のKP系を搭載していました。これは日本では極初期の仕様で、ヨーロッパの鉄道車両で見られるようにアームの上部がYの字のような形態の外観で、本系列の目立つ特徴の一つでした。

6両編成化で余剰サハを廃車にしている為、現在は3編成18両体制ですが、少数派である為に京成千葉線乗り入れからは除外され登場時と変わらず新京成線松戸〜京成津田沼間の運用にのみ充当されています。なお、次の新型車であるN800形は親会社の京成電鉄3000形との共通設計とされ、新京成独自デザインの車両はこの8900形が最後になっています。

ワイドドアが目立つ車内。登場時は化粧板仕上げの角ばった窓のドアでしたが2008年に現在のステンレス無塗装仕様に交換されました。他にもドア間の開閉式+ブラインド無し固定式+開閉式の3分割となっている側窓などかなりの独自仕様が際立ちます。類似した窓構造はかつての千葉ニュータウン鉄道9000形が採用しており、ブラインドを下ろした際に外の駅名標が見えなくなることがないように、という車内案内表示が普及する以前のアイディアでした。本系列は登場時より車内案内表示器を設置していますが、どの席からでも現在または次の駅が確認しやすくなるようにとの想定なのかも知れません。

車内案内表示器は当初デジタル時計を併設したLEDスクロールタイプでしたが、現在は液晶画面に換装されました。写真は新京成サンクスフェスタで撮影したもので、定期では絶対有り得ない京成千葉線直通の千葉中央行きです。余談ですが、本来なら不要な筈の非常用貫通扉や使用されていない列車番号表示器らしきものの存在から、当初はもっと増備が見込まれており他路線区間への乗り入れを目論んでいたのではと色々想像が膨らむ部分です。

8900形は今年で登場30周年を迎え、記念乗車券の発売やヘッドマーク取り付けが行われています。既に首都圏に於いては古参の部類に入りつつありますが、8800形と共に今後も個性豊かな一時代の新京成車として末永い活躍を願いたいですね。

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一味違う標準車体、独自色が光る新京成電鉄N800形(4次車)

2023年08月31日 | 京成グループの鉄道

新京成電鉄では20061210日に開始された京成千葉線への直通運転開始に伴い、老朽化が進行していた800形・8000形の一部の置き換え用として親会社である京成電鉄3000形をベースにしたN800形の導入を決定、2005528日より運用を開始しました。社名からも分かるように京成電鉄の子会社でありながら1971年登場の800形以来、8000形、8800形、8900形と独自設計の新型車両を導入していましたが、実に34年振りに京成電鉄の車両をベースにした車両の導入となっています。なお導入は2005年、2010年、2012年、2015年、2018年の各年度に1編成ずつと段階的に行われ現在は6両編成5本の30両が在籍しており、新京成独自の仕様変更と増備の際の改良で比較的少数の割にバリエーションが見られる形式です。今回捉えたのは、201512月に増備された4次車に相当するN848編成です。

車体の下半分がジェントルピンクとホワイトでポップな印象を与えるN800形。当初本系列は沿線に広がる4つの自治体(松戸市・鎌ケ谷市・船橋市・習志野市)を表すマルーンとクリーンな企業を示す新京成のイメージのホワイトを組み合わせた太帯と窓周りの3本の細帯で構成されていましたが、2014年から新カラー化が施行され、本車からマルーン帯を経験せずジェントルピンク帯で新造されています。

このN848編成では若干の改良が為されており、行先表示は通常の3LEDを踏襲する一方で灯火類が8800形で試験を行っていた白色LEDに改められており外観の印象が変化しています。また、新京成初の乗降促進放送の採用の他、自動放送装置も新造時から搭載となりました。

京成3000形に準拠しつつ三角形吊り手や88008900形のイメージを引き継ぐカラーで独自色が光る車内設備。ドア脇には新京成伝統の鏡の他、側窓ブラインドは沿線の特産品である梨と葡萄のイラストが入ったものを採用しています。

ドア上の車内案内表示器はLEDスクロール式でしたが、このN848編成からはコイト電工の液晶画面「パッとビジョン」を設置しました。この画面はLED表示器の配線をそのまま活用できるメリットがある為、サイズはLED表示器のままとなっており改造で取り付けたかのような仕様となっています。ドアチャイムも独自の間伸びした音で、標準車体ながらしっかり個性をアピールしているところが面白い形式です。

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1編成のみの特別カラー、千葉ニュータウン鉄道9800形

2023年07月21日 | 京成グループの鉄道

1984年から2000年に掛けて小室〜印旛日本医大間を開通させた都市基盤整備公団が独立行政法人都市再生機構に移行し鉄道事業から撤退することを受け、事業を引き継ぐべく新たに京成電鉄の100%子会社として設立され200471日からスタートした千葉ニュータウン鉄道では、現在も運用中のC-Flyerの愛称を持つ9100形や、路線開業時に2000形として登場し1994年に形式を改めた緑と赤の帯が特徴的な9000形など、規模の割に個性が光る車両を導入していました。しかし京成3000形ベースの9200形導入で老朽化の進んでいた90001編成が廃車され、残るもう1編成も京成3700形のリース車で置き換えられることになり、2017年より3700形の3738編成が新たに9800形として運用を開始しました。

外観は千葉県の県花である菜の花と海を思わせる黄色と水色の帯に変更された以外、京成在籍時と余り変わりません。未だ9100形は健在であるものの、本系列の導入でますます独自色は薄れてしまいました。なお、車両の管理は北総鉄道が行なっている為、運用範囲は北総車と同一です。

ところで、公式ホームページすらなく保有路線自体も北総鉄道線と一体的に運営されている状況ですから恐らく鉄道に興味のある人間以外には全く認知されていない千葉ニュータウン鉄道の車両達ですが、ラインカラーが奇しくもウクライナの国旗に似ていたことで俄かに注目を集め、検索サジェストに「千葉ニュータウン鉄道 ウクライナ」との表示が見られるようになっています。もちろん全くの偶然で無関係ですが。

車内も京成3700形時代と変わりはなく、変化した点を挙げるならせいぜいドアステッカーの貼り付け位置や黄色い警戒テープの追加くらいです。

車内案内表示装置はLEDでしたが、こちらも京成時代に筐体はそのままで液晶画面化されました。当然ですが、京成・北総の両車と同様にドアチャイムは設けられていません。

京成電鉄の子会社になった今、リース車両と京成車の色違いの新造車を導入するのは自然の成り行きですが、かつての独自の個性を持つ車両が在籍していたことを知る世代としては、やはり寂しいものがありますね。

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大規模リニューアルが進行する新京成8800形

2021年10月22日 | 京成グループの鉄道

1986年の登場以来、関東地方では初となる直流1500V電化鉄道線向けの量産型VVVFインバーター制御車として活躍していた8800形ですが、20162月に8803編成が三菱電機のフルSiC適用の最新型インバーターに換装されて出場しました。翌年からは8807編成が走行機器と共に車内設備も大規模更新され出場し本格的なリニューアルが施工されるようになりました。

8800形の中では一番最初に機器更新を受けた8803編成。当初はVVVF制御装置の換装のみだった為、しばらく幕式の行先表示器・菱形のパンタグラフを維持していましたが後年(2020年施工)のリニューアルで行先表示のフルカラーLED化・シングルアームパンタグラフへの換装を実施しました。同編成は中間車を先頭車化して誕生した編成です。

京成千葉線に乗り入れた8803編成。京成線内でも普通列車のみの運転ながら種別+行先を表示しますが、新京成線内では一枚目の写真のように「京成津田沼方面 京成線直通」と表示します。

化粧板・床材・座席モケット・吊り手などは全て新品に交換され、印象が大幅に変化した車内設備。車体のカラーであるジェントルピンクに併せて、ピンク系の配色で纏めています。

車内案内表示器もLEDスクロールに代わり、コイト電工のパッとビジョンに換装されました。また乗客の目に入らない部分として戸閉装置も更新され、動作音が変化しています。これ程手を加えられても、古めかしいデザインの関東型ドアステッカーがそのまま継続使用されているのが素晴らしいポイントですね。

新京成電鉄公式の発表によると、1年に1編成のペースでこの更新を実施し、最終的に9編成に施工されるとの事です。8800形は全16編成在籍しており、7編成については未更新のまま廃車になることを示しています。姿は大幅に変わりましたが、やはり一時期の新京成の代表車種であり、尚且つ関東初のVVVFインバータ制御車という栄誉があるだけに、長い活躍を期待したいものです。(いつか8801編成の旧塗装化や欲を言えば保存なども検討して頂きたい)

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