町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

野田線に残る東武8000系(後期更新車)

2022年05月07日 | 東武鉄道

200410月のダイヤ改正で、野田線にて長らく運用されていた吊り掛け駆動の5000系グループは他線区から転入の8000系で完全に置き換えられる事になり、伊勢崎線から転属の10030系、新製導入の60000系が運用を開始するまで野田線の旅客列車は8000系で統一されて来ました。両形式が運用を開始した2013年以降は多数の廃車が発生するものの完全な置き換えには至らず依然として6両編成16本の96両という比較的まとまった数の編成が運用を続けており、現在も製造時期や修繕工事メニューの違いによるバリエーションを見る事が出来ます。

1980年製造の8192F11次車に当たる編成で、8次車から採用された仕様(S形ミンデン台車・客室内側が無塗装のセミステンレス製ドア)を採用しつつ、荷物棚下に手すりの増設とドア枠のアルミ化など、更に微細な改良を施したグループです。新製時は春日部支所に配置され、1981829日に森林公園に転属(2001913日修繕工事施工)2011214日に春日部支所でデッドマン装置・運転状況記録装置の新設を受け2011314日より七光台支所所属となり野田線で運用を開始しました。

8次車の8171F。前述のようにこのグループから台車変更とドア内側の無塗装化が実施されました。この編成も東上線からの転入車で1976年の新製時は春日部に配置、19921030日に森林公園転属(2000929日修繕)201011月に春日部支所で上記8192Fと同様の改造を施工の上、同年1210日より七光台に配置されています。

単線区間では8000系同士で交換を行う場面も見られます。かつての野田線では日常的に展開されていた光景ですが、2024年度から新形式の導入と5両編成への減車を行うことが発表されたため、引退が決定的になりました。

車内設備は初期車と比べてドア内側がステンレス無塗装になった為、印象が変化しました。1976年以降製造車の特徴ですが、73007800系列を8000系と同等の車体に更新した50005050系も主電動機点検蓋の存在以外は殆ど共通の仕様であった為、より懐かしい雰囲気が感じられます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リニューアル工事を受けて活躍する東武10030系

2022年05月03日 | 東武鉄道

東武10000系グループは登場から20年以上が経過した2007年からリニューアル工事を実施していますが、伊勢崎線所属車の6両全編成に対し施工が完了すると、対象はマイナーチェンジ車の10030系に移行し201138日より11635F6両が施工され運用を開始しました。何れも車内接客設備の改善を目的としており、9000系の副都心線対応車に準拠した設備に改められていますが、年度毎に更新内容が変化しVVVFインバーター制御化された編成も登場しました。

6両編成では最若番で1988年に落成した11631F。登場以来、伊勢崎線・日光線系統で運用されていましたが20136月にリニューアルを受け、同年82日で七光台支所へ転出し野田線で運用を開始しました。転出時に自動分併装置の撤去、20152月には先頭車前面にホーム検知装置を設置して印象が変化しています。

東上線所属の11637F11442F1990年度車で、番号からも分かるように6両編成と4両編成でしたが20148月に中間に連結しているクハ16637とクハ11442の運転台機器・前照灯を全て撤去し正式に付随車(サハ)化、2017321日にリニューアル工事を完了しました。行先・種別はフルカラー化されていますが、耐久性に個体差があるようでこの編成はシャッタースピードを1000分の1に設定しても切れずに写り込みます(他編成は完全に切れてしまいます)。東上線では界磁チョッパ制御の部品確保の為、11032Fと11639F+11443Fの10両編成2本が60000系同様のVVVFインバーター制御に更新されました。

9000系副都心線対応車に準じている車内。2010年以降からは妻面貫通扉の半減(1両に付き2箇所だった扉の片側を撤去し各車1箇所へ)11640F+11440Fから車内案内表示器の変更(LEDスクロールからコイト電工の横長液晶画面「パッとビジョン」を設置)など、細かいメニューが変更されています。

リニューアル工事で50000系列と同等の水準になり、今後も長い活躍が見込まれそうですが、野田線所属車両は2024年度から順次導入される5両編成の新型車両で置き換えられる事になるようで、再び転出することがほぼ確定となりました。既に佐野線で10000系2両編成が運転を開始した事から想像しますに6両固定編成を伊勢崎線に戻し、捻出される4両と2両をワンマン改造して館林地区各線などに回すのではないかと思われますが今後の動向を注視したいですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東上線に現在も残る東武10000系・未更新車

2022年05月01日 | 東武鉄道

東武東上線〜営団有楽町線直通運転開始に向け、東上線には初のステンレス車両として1981年に9000系の試作車である9101Fが配置されますが、当時残存していた鉄道省割り当ての63形が前身の73007800系グループ置き換えと列車増発に向けての地上専用汎用通勤車の導入を進める事になり、9000系の増備は一時中断され1983年より10000系が登場しました。同年1222日から東上線で運用を開始し、1984320日からは伊勢崎線・日光線でも運用を開始しています。現在伊勢崎線所属の268両はリニューアル工事が施工されていますが、東上線所属の10両編成は未だ工事を施工されないまま運用に就いており、登場時に近い姿を現在も保っています。

直線的なイメージだった9000系に対して丸味を持たせたデザインになった10000系。この編成は11003F11006F4本が在籍し、当初8両編成で11803F11806Fを名乗りましたが、輸送力増強の為に1989年に中間車2両を増結して現在の車号に改められました。10両編成は営業運転で他車と連結することは有り得ないので、他編成が自動分併装置を備えた密着連結器に交換された後も登場以来の密着自動連結器のまま存置されています。

かつては8両編成の11801F11802Fも所属し、2008年には増結用として11201F11202Fが伊勢崎線から転入して来た事もありましたが、30000系の転属により先ず11802F11202F2014228日に館林作業所に入場しリニューアル工事を施行、同年724日には11801F11201Fが施行され伊勢崎線系統に転出しています。

200691日からは東京メトロ有楽町線にも10000系が登場し相互直通運転を開始した為、東上線内では10000系同士並ぶ場面も見られるようになりました。形式は被っていますが付番の方式が全く異なる為、特に問題は無いようです。

車内はグリーン系のロングシートを配置していますが、登場当初はコロラドオレンジと呼ばれる色のモケットで、11606Fより現在の仕様になり他編成も交換されました。ステンレス無地のドアに金属管構成の座席袖仕切りなど、9000系試作車とほぼ共通ですが、戸閉装置は8000系以来の座席下収納式から鴨居設置式に改められ動作音が静かになりました。

現在のところは安定した活躍を見せる10000系ですが、来年で登場から40周年を迎えることや、マイナーチェンジ車である10030系に余剰廃車が生じたこともあり、バリアフリー非対応で残る10000系にも何らかの動きが生じることが予測されます。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

野田線に新風を巻き起こした東武60000系

2022年04月25日 | 東武鉄道

東武野田線は、埼玉県の大宮と千葉県の船橋を結ぶ全長62.7キロの路線で、東武鉄道では伊勢崎線・日光線・東上線に次ぐ基幹路線に位置付けられています。起源は千葉県野田市より全国に醤油輸送を行う貨物線として開通したのが始まりで、同市に本社を置くキッコーマン内の貨物駅より1985年まで鉄道貨物輸送を実施していました。同時期からは沿線の宅地開発が進行し、通勤通学路線としての需要が高まるものの車両面は他線区からの転用車両を使用しており2000年代半ばまで吊り掛け駆動の5000系列が運用されるなど近代化からは遅れを取っている印象が否めませんでしたが、2012年に野田線向け新型車として60000系の導入が発表され、2013615日より運用を開始。翌年201441日からは「東武アーバンパークライン」の愛称を制定するなど大きな変化を見せました。

20132015年に掛けて、18編成108両が製造された60000系は野田線の前身である北総鉄道(現在の北総線とは無関係です)→総武鉄道時代に製造された車両を除き1944年に東武鉄道に吸収されて以来、実に69年目にして初の新型車両となりました。それまでは伊勢崎線・東上線からの転用車を長らく充当するのが慣例(同時期に運用を開始した10030系や現在も残る8000系は他線区からの転入車)でした。

50000系グループをベースにした日立製作所製A-trainの一員ですが、正面形状はアレンジを加え新たに東武鉄道の企業カラーであるフューチャーブルーと、豊かな自然環境を表したブライトグリーンの配色で沿線風景に調和するデザインを目指しています。全編成が一貫して野田線で運用され地下鉄やトンネル区間への乗り入れは行わないものの、非常用貫通扉を備え内側には脱出用の梯子も設置されました。

車内は白を基調に妻面を木目調、座席は水の流れをイメージした青系の座席で爽やかな雰囲気を演出しています。東武鉄道では初の公衆無線LANサービスも本系列より開始しました。強化ガラス製の貫通扉には沿線自治体の市の花をデザインしたステッカーが貼られ、「桜※埼玉県さいたま市・同市大宮区」クハ61600+モハ62600)・「藤※埼玉県春日部市」(モハ62600+モハ63600)・「向日葵※千葉県柏市・船橋市」(サハ64600+モハ65600)・「躑躅※千葉県野田市・流山市・松戸市」(モハ63600+サハ64600)「桔梗※千葉県鎌ヶ谷市」(モハ63600+クハ66600)となっています。

ドア上の車内案内表示器は5007051076編成以降より採用されている17インチ液晶画面を採用しました。戸閉装置は電気式ですが、ナブテスコ社製が新開発したRack☆Starを搭載しています。

現在は増備が止まっている60000系ですが、依然として車齢の高い8000系も残存しているため、近い将来増備が再開されるかに注目ですね。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東上線地上運用に転じた東武30000系(後期車)

2022年03月31日 | 東武鉄道

東京メトロ半蔵門線・東急田園都市線への直通運転対応車として製造されながら、乗り入れ開始後僅か3年後の2005年より50050系増備による地上線転用、20111月からは老朽化する8000系置き換えや車両改修工事の効率化を目的とする東上線への転属が開始された30000系ですが、2020年には31606F31406Fが半蔵門線・東急田園都市線への直通運転を終了、2021年には31609F31409Fが運用離脱並びに東上線転属が行われ、初の転用から実に10年の歳月を掛けて150両全車が東上線に集結、本来の用途である地下鉄直通運用から全面撤退となり池袋駅発着の東上線地上運用の主力車両として活躍しています。

30000系の中では後期車に分類される31612F。この編成は20064月に51056Fに乗り入れ他社の保安装置を供出し伊勢崎線・日光線系統の地上専用車になりました。東上線への転属は2014710日で、13日から営業運転を開始しています。2022319日にはHIDだった前照灯のLED化と行先・種別表示のフルカラーLED化を実施し、印象が変化しました。今回新たに採用されたLEDは耐久性が高く、撮影時は1000分の1のシャッタースピードで設定しましたが綺麗に写りました。他編成も順次フルカラーLEDに換装されると思いますが、31612Fと全くの同一品になれば嬉しいですね。

比較的早期に転属が実施された31611F。東上線に一番最初に転用されたのはトップナンバーの31601F(2011126日に南栗橋から森林公園へ回送、同年613日より運転開始)でしたが、本編成は2本目で20111128日より営業入りしました。

車内設備。初期車は背の低い仕切りでしたが、後期車(31607Fから)は背の高い大型仕切りに変更され7人掛け座席にはスタンションポールが最初から設けられ2連ユニット窓の片側は固定式になるなど仕様の見直しが図られました。なお、袖仕切りの色は淡い青系で最終増備の31615Fのみ白いものが採用されていましたが、行先をフルカラーLED化した31612Fも白い仕切りに換装されているようです。

新製時からドア上に千鳥配置される車内案内表示器。向かって左に種別・行先を固定表示、右に次停車駅などの内容をスクロール表示する形態は、日比谷線直通用の20070(現在は20400系化)が踏襲しましたが、50000系列や10000系リニューアル車ではシンプルな1行表示に戻り、本系列のみで見られる仕様となりました。

全編成の転用改造が完了したばかりなので、今後も30000系は東上線で長期間に渡る活躍が見込まれると思いますが、ゆくゆくは大規模リニューアル工事にも期待したいですね。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする