上司が従業員の冠婚葬祭費用や歓送迎会等の費用を部下から徴収するのは問題ないのか

2023年03月22日 | 社労士
職場の上司から、同じ職場の同僚等に対する冠婚葬祭の他、歓送迎会の費用、贈り物などの費用を徴収され、その額が年間を通して大きく、経済的に苦しい場合、どうしたらよいのか。

断ることは可能である。もとより強制徴収ではないのだから。
しかし、みなが(いやいや、渋々ながらでも)出しているのに自分だけ出さないというのは、勇気がいるし、仲間外れにされたり、その上司から悪い印象を持たれることは容易に想像できる。

従業員が断れるか否かという点ではなく、このような上司の行いは問題ないのかという点を見るべきであろうと思う。
就業規則において、冠婚葬祭費用や送別会等の費用を任意に集めてはならないという規定は、おそらくたいていの会社は持っていないと思う。
しかし上記上司の行いは、会社・職場組織の濫用にあたる。

個人で同僚等の葬儀に参列し香典を出すことは個人の自由であり、会社が関与するところではない。歓送迎会の自己負担は任意が担保されていれば問題はない。送別品の贈与も個人で行う分には個人の自由である。
しかし、上司の名において金銭を徴収し、暗黙裡に出すべきとなっているなら、組織濫用であり、そのような規定があるなら懲戒の対象となる。

ネットワーク販売や宗教の販売に関しては神経をとがらせる使用者でも、上記のような内容の強制徴収に関しては、まったく無頓着、というよりも、慣例として当然と思っているかもしれない。

しかし、物品販売も宗教の勧誘も本来休憩時間の自由使用等でいえばなんら問題はないはずである。そこをたんに営業している、宗教の話をしているというだけで罰せられるなら、ここは日本ではなく、共産圏の国である。個人の自由とはいえ、度を越して行い、他の従業員から苦情が来ていたり、トラブルとなっている場合には対処が必要であるが、内容でのみ判断するなら自由が保障されている国とはいえない。休憩時間にスマホでちょっとエッチなサイトを見ていて告発されたら嫌ではないか。

職場においても一個人としての自由は保障されるが、組織の利用は厳しく制限される、これが基本ではないか。

もし顧問先の担当者や従業員から相談を受けたら、社会保険労務士として、どのように対応するだろうか。
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