労働災害から自分の身を守るのも仕事のうちです

2014年08月25日 | 日記

今年上半期(1~6月)の労働災害による死亡者は前年に比べ2割増加しているとのことだ。人手不足による不十分な安全管理や経験の浅い労働者の増加などが死亡者急増の主な要因で、建設業では屋根や足場などからの墜落・転落、陸上貨物運送業では荷積み荷下ろしの際のトラックからの墜落・転落、製造業では機械などによるはさまれ・巻き込まれが多いようだ。死亡は少ないものの、小売り・飲食・社会福祉では転倒や無理な動作による腰痛が多発。(厚生労働省調べ

建設業界は今空前の人手不足らしいが、どこの業界も減らせるのは人件費とばかりに人減らしをしているので、労働災害は起こりやすいというか、起きているのに労災以外で処理していたり、労働者がガマンしたりしていたのが、いよいよ隠し切れなくなってきた…ってかんじがするかも。

仕事にも行かずにぶらぶらしているので、問い詰めると「仕事中に怪我をして手が使えないから仕事に行けない」と言う。労災申請は?と聞いても「いや、それはちょっと…会社からも…」「あんたバカじゃないが!!人がいいにもほどがあるわ。」会社ではなく親とかが生活をみてやっている。

仕事中に火傷などの怪我を負ったが忙しくてとてもじゃないが抜けられず、カットバンなどで応急手当てをして仕事が終わった後でひどくなり、「業務外」の健康保険や国民健康保険で受診している。

違法就労なので労災を申請するわけにもいかず、こっそり私病で受診させる。あるいは民間療法で乗り切らせる。

協会けんぽや国保が苦しいわけである。

建設・製造・運送などの肉体系以外でも労働安全に関する意識が恐ろしく低ければ、小さな事故は頻繁に起こるし大きな事故も起こる。

かつてファーストフードチェーン店で1年間アルバイトをしていたことがある。毎日の目標は「怪我をしない」だった。従業員の安全衛生には恐ろしく無頓着で、自分で自分を守る以外になかった。煮えたぎる油がたっぷり入った缶を高いところから下ろして素手で運ばされそうになったことがある。無理じゃないかと躊躇していたら、マネジャーから「できるよ」と言われ、意を決してというかあきらめて運ぼうと思ったら、別のマネジャーに「危ない」といって止められた。持てる量しか入れないこと、「規程の器具」を使うことなどの注意を受けた。その人がいなかったら「規程の器具」があることさえずっと知らないままだった。他のアルバイトも一つ間違えば自分だけじゃなく周りの人も巻き込む大事故につながりそうなことをしていてほんとうに怖かった。個々人では意識の高い人もいたが、職場全体の安全に対する意識が非常に低かった。死亡事故が起きなかったのは奇跡とさえ思っている。

オーダーはモニター画面でほとんどがアルファベットで出てくるし、作業が分断・マニュアル化されているので外国人にもできる仕事だと思うが、安全衛生管理がネックとなると思う。イケアの取説のようにイラストで誰にでもわかるように危険を知らせたり、自分や同僚を怪我などから守る安全教育を事業所全体でやっていかないと大きなツケを払うハメになるだろう…

安倍さんは建設業に外国人労働者を採用とか言っているが、私は日本人の仕事が奪われるとか賃金がどうとかよりも、外国人がバタバタ事故死するんじゃないかとそっちのほうに気を揉む。

労災処理や遺族とのやりとりや葬儀など想像しただけで大変そうだ。言葉も通じない泣くだけの外国人の家族を相手に途方に暮れる経営者の姿が目に浮かぶ…

働く人は自分で自分を守りましょう。

 

 

 

 

 

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介護職の賃金は本当に低いのか?そうだとしたらなぜ低いのか

2014年08月22日 | 日記

厚生労働省所管の財団法人「介護労働安定センター」の2013年介護労働実態調査によると、介護現場での人手不足は依然として深刻だということです。

従業員について「不足」と答えた事業所は「大いに」「やや」を含めて56.5%に上る

その理由は「採用が困難」が最多で68.3%

採用が困難な理由は「賃金が低い」が55.4%

従業員に働く上での不満を聞くと「人手が足りない」が最多で45%

「仕事内容の割に賃金が安い」が43.6%と続く

介護業界は人手不足なのに賃金が低いせいかよく話題にのぼる

需要と供給の関係から見れば、賃金は上がっていいはずだが…

『日本の賃金を歴史から考える』で金子良事が、高い技能を持ちながら賃金の低い職種として、ソーシャルワーカーや保育士と共に介護士をあげている。

使用者側の支払い能力の問題はあるが、個別の経営者の能力に帰すべきではなく、業界全体の構造に原因があるとしている。加えて支払う側あるいは低賃金を傍観し受容している第三者からの観点をあげ、おもしろいのは「頑迷なボランティア精神」をあげている点である。

労働者本人に頑迷なボランティア精神がある場合もあるが、多くは雇用主と世間の押し付けであるように思う。やりがい・充実感・感謝といったような言葉で正当な報酬を得ることを拒まれているかもしれない…ケースワークの母とよばれたアメリカのメアリー・リッチモンドでさえ、賃金を受け取ることを強く批判されたそうだ。金子良事は、ボランティア精神に対し、「あえていわせてもらう。エゴでしかない」と非常に厳しい。「美辞麗句に包まれているがゆえに批判しにくい性質である」「美辞麗句が本物なのか偽物なのか見分けるのは難しい」「偽善の上にボランティア行為を無償の労働として消費するものもおり、罪悪感を持たされ、それに反論できないものは使い倒される」と経営者ならずも嫌な気分になるようなことを書いている。

私は労働者自身がこういう状況を作り出している部分もあるんじゃないかと自分自身の経験から思う。

ところで、介護職の賃金は本当に低いのだろうか。

経営者は賃金が低いから人が集まらないと言い、労働者は仕事内容のわりに賃金が低いと言う。ただキツイとか人がやりたがらないというだけでは賃金は上がらない。私は介護職の経験があるが、「仕事の割には賃金が低い」とは実は思ったことがなかった。なるべく「やりたくない」タダ働きはしないようにしていたし、完全週休2日でありがたかったし、夜勤のとき以外に体がキツイということもなかった。少なくともそれまで経験した仕事に比べ割に合わないとは思わなかった。同僚にしても働きに明らかに見合わない報酬というふうな人はほとんどいなかった。

ご存じのとおり、介護の仕事は資格がなくてもできる。国家資格である介護福祉士を持っていれば手当がつく事業所もあるが、まったく関係ないところもある。資格の有無にかかわらず、そのときの市場の動向によって初任給や時給が決まる。

高い技能がありながら低賃金の仕事と言えるだろうか?

今日久しぶりに美容院に行き、美容師さんも給料安いよね~という話をした。仕事の後トレーニングを受けても自主練習をしても無給。でも、あんまし問題にならないよね~とか。

髪を切ってくれた女の子が言いました。

「確かに給料は安いし、トレーニングにお金はでない。でも技術を盗むことができる。先輩の知識・技術を自分のものにできる」

違いはこれか。

介護職でこんなこと言う人私の職場にはいなかった。

世間の人から「立派やね~頭が下がるわ~」と言われ、大切な仕事なんだ、やりがいのある仕事なんだと自分に言い聞かせ、気持ちをやや上向きにすることはあっても、美容師の彼女が言ったような仕事に対する気概はなかったかも…

 

 

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外国人労働者の受け入れを拡大すべき:創価高校が肯定側だったならどんな論理が展開されただろうか

2014年08月19日 | 日記

全国中学・高校ディベート選手権なるものがあるそうです。

そこで中学・高校共に優勝したのが創価学園です。

中学校の部の論題は「日本は捕鯨を禁止すべきである。是か非か」

東京の創価中は否定側で兵庫県の灘中と対戦しました。

高校の部の論題は「日本は外国人労働者の受け入れを拡大すべきである。是か否か」

創価高校は否定側で愛知県の千種高校と対戦しました。

この選手権におけるディベートとは、一つの論題に対し、肯定側と否定側に分かれ、メリットとデメリットを論じ合い、その説得力を競うものらしいです。広い意味では討論・議論の類です。ディベートに関しては否定的な考え方もあるようです。当人にとってどのような結果になろうと痛くもかゆくもないような事柄を取り上げ、議論の進め方といったテクニカルな部分に特化した形で行っているなら、(特に子供たちは)話し合いとは相手を打ち負かすことだと誤解してしまう、といった批判もあります。さてさて10代によるディベートはどうでしょうか。

個人的に関心のある論題で闘った高校の部の動画を見ました。めちゃくちゃ早口でびっくりしました…

今後少子高齢化が進み、人手不足はますます深刻になる。受注があるにもかかわらず、人手不足で生産に応じられないといった労務倒産が中小企業で出てきているし今後も増えるだろう。中小企業が大企業を支えているので中小企業の人手不足は痛い。製造業は人気がなく、日本人がやる仕事とは思われていない。日本人が嫌がる仕事でも外国人はやってくれるので必要な存在。機械化が進んだとはいえ、人の手がないとできない部分も残っている。

というのが肯定側の立論である。これに対して否定側の反論は

中小企業が大企業を支えているというが、支えられないとどんな影響があるのかはっきりしない。それに、なぜ日本の中小企業が大企業を支えなければならないのか。人手不足による労務倒産で製造業が占める割合は?そもそもそれ(人手不足による倒産)はバブルの時代のことで、今はないのでは?今後もあるとはいえない。仮に製造業で人手不足が大きいとして、国民にどんな影響があるのかあいまい。経済への影響もはっきりしない。それと、企業が外国人を雇用する理由として一番大きいのはコストカット。今でも外国人は派遣やパートなど労働条件の悪い日本人と比べてさえ、その6割程度の賃金しかもらっていない。人手不足だからといって安易に外国人を雇用すれば、低賃金で働く外国人に職を奪われ、日本人とくに若年層の失業が増える。外国人労働者の側も、同じ仕事をしながら低賃金という格差が今以上に大きくなる。機械化できない部分が人手不足というが、結局そこを外国人に頼っても、労働集約型のアジアには負ける。職をめぐって外国人と日本人が争い、治安も悪くなる。外国人の安易な受け入れは、日本人にとっては職が奪われ、外国人にとっては日本人から排斥されるという事態を招いてしまう。

というものでした。

肯定側は、外国人との賃金格差が解消されれば問題ないとして、安倍政権が外国人にも能力が同じなら、日本人と同等の賃金を支払うと言っていると反論したが、確かではないと否定側から却下された。否定側の、日本人の職が奪われるという言い分に対して「職がないくらいなら、低賃金でも働こうとは思わないのか」という肯定側の反論は、ひどい言い草に思えるが、リーマンショックで派遣切りにあった多くの若者に対しても同じようなことが言われていましたね…自己責任大流行でしたから。

ディベートに感情や私情は無用だが、いくら論理的でも、審査員や聴講者は人間である。

肯定側の主張は、人間を資源の一つとしてしか捉えておらず、生理的に嫌悪感を抱く。もしも肯定側・否定側が反対であったらどんな論理が展開されただろうか。千種高校は国民感情をもう少し酌んだ人間的な論理となっただろうか。創価高校が外国人の受け入れ拡大肯定側であったなら、どのようにそのメリット・デメリットを論じたのだろう。興味深い。

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オーウェルが『動物農場』で揶揄しているのは何だろう?

2014年08月14日 | 日記

子どもはおはなしが大好きである。

わが家の5歳の娘も毎日毎晩、やれ絵本だおはなしだとうるさくせがむ。

面倒くさいので、あっという間に終わるお話を即興ででっちあげたり、昔話を大幅に省いて超特急で”おしまい”にすると、「そんなんじゃなーい!」「ちゃんとお話して!」と怒る。仕方がないので本を持ってきてちゃんと読むのだが、そうすると面白いのでついつい引き込まれてしまう。なのに娘は「どうして?」「○○ってなに?」といちいち中断するので腹が立つ…

私は物語・おとぎ話・ファンタジーの類が好きで、図書館の子どもコーナーの常連である。書店は子どもコーナーがあまりに少なく寂しいが、意外なところにおもしろい「おはなし」が隠れていたりする。先日岩波文庫のコーナーで英国の作家:ジョージ・オーウェルの『動物農場』を見つけた。

国家によって全てを支配される近未来を描いた『1984年』のほうが有名かもしれないが、(村上春樹の『1Q84』とは違うんです…)『動物農場』もけっこう人気なのではないかと思います。

人間に支配されていた動物たちが、団結して人間を打ち負かし、自分たちだけの動物農場をつくりあげます。最初は皆が平等でしたが、元々指導的な立場にあった豚たちは、徐々に他の動物たちを支配していきます。なんかおかしいな…と思いながらも豚に言われるまま、自分で考えることもなく豚の指示に従ううち、気づけば人間に支配されていたとき以上に生活は苦しくなり、しまいには理解しがたいほどの混乱と恐怖に陥っていきます。

ソ連のスターリン批判として有名な作品です。

1945年第二次世界大戦終戦の年にイギリスで出版されました。

オーウェル自身による、出版に対する考えが作品そのものにもまして興味深いので紹介します。4つの出版社から断られていますが、明確な主義主張によって断ってきたのは1社だけでした。当時のイギリスではソ連を批判することは良識に反することだったようです。

思想と言論の自由をおびやかす最大の敵は、政府筋による直接の干渉ではない。出版社や編集者がある種のトピックスを印刷しないでおこうとする場合、それは訴えられるのが怖いからではなく、世論が怖いからである。英国における文章の検閲で気持ちが悪いのは、それが主として自発的なものだという点である。特に政府が禁止をしなくても、評判の悪い思想を黙らせ、不都合な事実を隠してしまうことができる。世界的に重要でセンセーショナルなニュースが、英国のメディアから締め出されてしまうことがある。その理由は政府の介入のためではなく、そうした事実にふれるのは「まずい」という世間の暗黙の合意のゆえなのである。そのときに人気がない意見はどのメディアであってもまともに聞いてはもらえない。そのときにまかりとおっている意見というのは、自発的なものでありどこかの圧力団体の行動によるものではない。自説を曲げるように直接圧力をかけられたわけでもないのに、リベラルな作家やジャーナリストたちから知的な批評が期待できない。ごく当たり前の率直な意見さえ望めない。非常に憂慮すべきことである。

イギリスとは島国ということ以外にも共通点があるようだ。

この本は共産主義への批判とされているが、というかそういうふうに利用されてしまったが、オーウェルが揶揄しているのは共産主義そのものではないし、今この本を読んだら多くの人が現在の日本を思い浮かべるのではないかと思うのだけど。

 

 

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「家事ハラ」の定義を捻じ曲げて誇張すれば、そりゃ炎上しますよ!

2014年08月11日 | 日記

ネットやテレビで話題の“家事ハラ”が炎上!世間が敏感に反応するワケとは?

家事ハラの何が世間の人たちの気に障ったのだろうか…

女が家事もろくにしないでやれ仕事だ趣味だボランティアだと言っているのが、年配男性だけじゃなく多くの人にとって気に入らないのだろうか…

心配になり記事を読んでみたら全く違っていた。反対だった。

旭化成ホームズが、男性を対象にアンケートを行い

既婚男性の9割は家事を手伝っているのに、妻から心ない言葉を浴びせらている。いわゆる「家事ハラスメント」を受けているといった、事実を捻じ曲げて誇張していることに対する、すさまじい怒りであった。

「家事ハラスメント」はジャーナリストで和光大学教授の竹信三恵子さんの造語である。

その定義は「女性が担う家事労働を蔑視・軽視・無視して買いたたく社会システムによる嫌がらせ」である。

旭化成は全く逆の意味で使っている。

竹信さん自身は、雑誌『週刊金曜日』(7/25)のコラムで旭化成を厳しく批判している。

ちょっと長いが引用する。

同社は逆の意味を付与してこの言葉を大々的に広報することで

「企業の長時間労働問題」から「妻の専横問題」へ焦点をすり替えるアクロバットをやってのけた。

これらがアベノミクスの成長戦略と結びつけて語られるのは、その「女性が輝く」政策のおざなりさに女性たちが勘づき始めているからだ。少子化やサービス産業化を乗り切るため女性の労働参加を求める一方で、長時間労働を招く「残業代ゼロ制度」を提唱し、その間の育児は低賃金の子育て経験のある主婦による「子育て支援員」や途上国から導入した「外国人家事支援人材」などに押し付ける。こうした女性の徹底利用への疑問を「お母さんは昔からごはんを作ってきた」「夫の家事に注文をつけるのはわがまま」と企業発の映像の大量発信で抑え込む。働き手の絞り上げへ向けた「成長戦略」の中での家事労働買いたたき政策と、これを後押しするかのような不気味な企業の情報攻勢。そのゆくえから目を離してはならない。

竹信さんは『家事労働ハラスメント』(岩波新書)の他、『ルポ・賃金差別』(ちくま新書)『ルポ・雇用劣化不況』(岩波新書)などの著書もあります。女性労働者にとって心強い存在です。

アベノミクスの女性活躍は胡散臭いの一言に尽きます。配偶者控除廃止にしろ、保育改革にしろ、女性労働者を低賃金で長時間働かせようって魂胆なのに、女性の活躍を前面に出してるのが気に入りません。パートなどの短時間労働だと、短い保育の認定しか受けれなくなり、泣く泣く低賃金の長時間労働に就かないとならなくなります。つくづく女性活躍とか女性優遇とかには注意が必要だと思いました。それにしても旭化成やりやがったな。サランラップ買うとき気をつけないといけないな。

 

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