コロナで異例の米韓演習 文大統領の夢…任期内の指揮権移管は実現困難に “迷走”する韓国・文政権
北朝鮮は、米韓演習自体の完全中止を要求し、実施に強く反発してきた。韓国では、南北融和を優先する立場から演習の見送りを求める声も少なくなかったが、文政権は今回、実施に前向きだった。作戦統制権移管のための重要な検証を見込んでいたからだ。
「自主国防」を掲げる文氏にとって作戦統制権移管は、盟友だった盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の時代からの悲願だ。米韓は2014年に移管で原則合意し、現行では米側が務める司令官を韓国側が担う新たな連合軍司令部体制に向け、運用能力の検証を重ねることになっていた。
文政権は、今年に第2段階、来年に第3段階の検証を終え、22年の文氏任期内に移管を成し遂げる青写真を描いていた。だが、新型コロナで検証のための米側の要員の移動に支障を来した。韓国側は最後まで検証にこだわったが、米側は北朝鮮の挑発に備える訓練に集中する立場を貫き、本格的な検証は来年に持ち越される見通しとなった。
このため、22年までの移管完了は難しくなったとみられている。文氏の優先課題だった南北協力が北朝鮮による開城(ケソン)の共同連絡事務所の爆破で頓挫したことに加え、安全保障政策の柱も暗礁に乗り上げた形だ。
北朝鮮の立場を代弁してきた在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関紙、朝鮮新報は最近、「朝鮮半島で8月戦争説が高まり得る」と伝え、今回の米韓演習を批判した。韓国への軍事行動計画の保留を6月に決めた北朝鮮が強硬姿勢を再び強める可能性もある。