先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
https://www.youtube.com/watch?v=0us2dlzJ5jw

1922年メーデーなどの労働運動 (読書メモー「日本労働年鑑」第4集 大原社研編)

2021年12月01日 07時13分38秒 | 1922年の労働運動

1922年メーデーなどの労働運動 (読書メモー「日本労働年鑑」第4集 大原社研編)

1、 第3回メーデー
 1922年5月1日第3回メーデーが、東京、大阪、神戸、足尾、岡山、横浜、尼ヶ崎、八幡、京都、田島の各地にて挙行されました。

東京
 東京の主な参加組合は、日本労働総同盟、関東労働同盟会、純労働者組合、日本労働聯盟、造機船工労働組合、信友会、工人会、小石川労働会、時計工組合、正進会、技工組合、労技会、現業員組合、本芝労働組合、芝浦労働組合、月島親睦会等です。午後1時芝浦埋立地を会場として、各労働組合の代表30人が演説をします。

最後に東京鉄工組合の田口氏より、
一 8時間労働制の即時実施
二 労農ロシアの承認
三 生存権の確立
の決議が朗読され可決されました。

 午後3時よりデモに移り、万余の労働者は大小の長旗、組合旗を先頭に芝浦に繰り出します。デモ隊が会場をでたとたんに警官隊が介入し、たちまち数名が検束されます。警察はデモ隊の中に多くの私服刑事を潜り込ませ、デモ隊の中で革命歌を歌う者、ビラを配布する者をその場で暴力的に検束しようとしたため、至るところでデモ隊と警官の乱闘がおき、このデモで126名もの労働者が検束されます。

大阪
 野武士組などは事前にメーデーの趣意、宣伝リーフレットを町々に配布し、また路上演説を行いました。当日は、関西労働同盟会所属各組合、向上会、大阪鉄工組合など約20団体、1万余の労働者が中之島公園に集合します。

決議
一 我らは完全なる8時間労働制を期す
二 我らは誠意なき政府当局者に頼らず、自ら失業の苦しみから脱れるため最善の策を採ることを期す
三 我らは現代資本主義制度の下に樹立する内閣の存在に反対す
 
 デモは、ワッショワッショの掛け声で槍のついた会旗、黒地に骸骨を染め抜いた物凄い旗や赤色の三角旗を打ち振りつつ駆け出します。電車は立ち往生し、途中警官との幾多の乱闘が起こります。デモ隊はようやく薄暮れる天王寺公園に到着し、1万余全員で労働歌を高らかに合唱し散開しました。

神戸
 神戸では一切の示威行動は禁止されたため、おりしも神戸港に停泊中であった英国艦隊の歓迎という名目の旗行列の許可をとります。当日は大倉山公園を会場とし、総同盟神戸連合会、日本海員組合、東神鉄工組合、神戸印刷工組合、商船同志会、海友会、卓風会など500余名の労働者が参加しました。労働歌合唱、各組合代表挨拶、旗行列に移り、神戸連合会ゃ組合旗を先頭に、一方で英国旗を手に労働歌は禁止されているため一同黙々と行進しました。

足尾
 示威行動は一切禁止されたため、足尾町間藤城崎座にて労働祭り記念講演会を開催しました。

横浜
 示威行動が禁止されたため、沖仕組合主催で600余名参加の演説会を開催し、一、8時間制の即行  一、請負制度の全廃、  一、生存権の確立を決議します。

 以上の他に、八幡、尼ヶ崎、京都、田島でもメーデーがありました。名古屋でも組合主催で第1回名古屋メーデーを行おうとしますが、警察が一切の野外集会を禁止してきたため、「(警察の禁止命令のため)大正11年に限りメーデーの挙行を中止す」と決議し発表しました。

2、「過激社会運動取締法」反対運動
 政府による過激社会運動取締法案が貴族院に提案され可決されますが、反対運動が全国で広範囲におき、衆議院では野党の反対で上程が阻止されました。

3、国際労働会議「政府主導の労働代表選出」反対運動
 労働国際会議の政府主導による日本労働代表選出に反対する労働組合側の意向は、ついに棚橋小虎日本労働総同盟理事が直接同会議の地に乗り込み「日本労働者代表」へ抗議します。今や労働界では労働国際会議自体を否定する声の方が強くなってきています。

4、対「露」非干渉運動(上の写真)
 東京メーデーのスローガンの一つに「労農露国の承認」があげられましたが、かたや関西の労働団体、日本労働総同盟、向上会、交通労働組合などは、9月に入り「対露非干渉関西同盟会」を結成します。
一、ロシアに駐屯する日本兵の即時撤退
二、労農露国の承認
三、ロシアの飢餓に対する救済金品の贈与
を求めて9月25日天王寺公会堂で講演会を開き、続いて神戸、尼ヶ崎でも開催されました。

5、ロシア飢餓救済運動
 関西では有名な弁護士布施辰治、山崎今朝彌らの協力を得て「露西亜飢餓救済関西有志会」が結成されます(下の写真)。全国でもロシア飢餓救済運動が労働運動家や労働組合の間で大きく取り上げられます。パンフレットを販売し、マルクスの彫像を街頭にかかげ、「ロシア飢餓救済」カンパ活動が行われました。

6、演説会、講演会
 2月5日、「八幡製鉄所罷業2周年記念労働者大会」が八幡市有楽館において開催されます。警察・右翼の脅し・妨害を跳ね返し、入場を阻止されて窓から飛び込む者もあり、定刻前には聴衆は館に満ちあふれて身動きもできない状態でした。夕刻7時開会、浅原健三・西田健太郎・和田久太郎・大杉栄・近藤憲二、岩佐作太郎・工藤勇・渡辺万三などが演説に立ちますが、ほとんど全て開口一番に警官から「中止」を命じられます。この日の参加者の約半数は労友会員と言われています。

 また、この年、軍縮労働問題演説会、労働問題講演会、人権蹂躙問題演説会、各労働争議、会社糾弾報告会、三菱川崎争議一周年記念演説会など全国各地で多くの演説会、講演会が開催されました。

7、その他
 大阪では野武士組のデモが敢行されました。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。