上・長野 伊那電鉄争議のビラより
ストライキと労働者の士気について
レーニンは「ストライキについて」の中で、『あらゆるストライキは、労働者に多くの艱難をもたらす。しかもそれは、戦争の惨苦とにだけ比較できるような恐ろしい艱難──家族は飢え、賃金は取れず、しばしば逮捕される──である。そして、これらすべての惨苦にもかかわらず、労働者は、同僚全体にそむいて雇主と取引するものを軽蔑する。ストライキの惨苦にもかかわらず、近隣の工場の労働者は、自分たちの同僚が闘争を始めたのを見ると、いつも士気の高まりを感じる。「ただひとりのブルジョアを屈服させるためにもこれほどの艱難に耐える人びとは、また全ブルジョアジーの力もを打ちくだくことができるであろう」と、社会主義の偉大な教師の一人エンゲルスは、イギリス労働者のストライキについて語った。一つの工場で罷業が起こりさえすれば、たちまち非常に多数の工場で一連のストライキが始まるという場合が、しばしば起こる。ストライキの精神力影響力はそれほど偉大であり、一時的にせよ奴隷たることをやめて金持ちと平等の権利をもった人間となっている自分の同僚たちの姿は、それほどに労働者に伝染的に作用するのだ。』と言っています。
日本の戦前の先輩労働者のストライキや労働争議でも、一つの争議が起きると、同じ時に、同じ地域や同じ産業で、連続的なストライキや争議の爆発が頻繁に起きています。レーニンの言うところの労働者が士気に感じて立ち上がったと思わずにいられません。労働者の士気、これは本当の事なのだと実感します。労働者階級、階級闘争の本質を現す言葉の一つにこの「士気」があるのではないでしょうか。私達の大久保製壜でも会社の残酷な組合攻撃の最中に職場の御用組合の仲間たちが次々と立ち上がりました。そしてその時の仲間たちが、必ず「(会社とストライキで闘っている)東部労組大久保支部がうらやましかった」と言います。また地域でも大久保製壜工場のすぐ近くの3つの工場の労働者が立ち上がって自らの会社と果敢に闘いをはじめながら、同時に大久保製壜闘争の支援に加わりました。搾取と抑圧のあるところ仲間は必ず立ち上がります。職場の仲間を信じて、仲間の士気を確信して、職場や地域の労働者との団結に向けて頑張りましょう。
1926年(大正15年)交通関係の争議
参照 「日本労働運動史年表第一巻明治・大正編」青木虹二
3/11~4/9 東京 京成電車185名 待遇改善要求、解雇反対スト 東京市電自治会
5/3~10 東京 東京市街乗合自動車運転手13人 解雇され復職要求・サボ 総同盟
5/15~30 北海道 小樽市街自動車会社運転手37人 監督の排斥、13時間制を8時間に
5/19~6/14 長野上伊那 伊那電鉄赤穂支社550人 待遇改善、5/24スト 宮田・福岡駅襲い、松島発電所を包囲
7/9~20 長野 長野駅構内人力車夫
7/9~17 長崎 長崎電気軌道125人 賃上、二重賃金制度の撤廃 総同盟
7/11~16 福島 飯坂電車32人 4割賃上げ、待遇改善要求(妥結)
7/11 富山 加越鉄道125人 賃上げ、待遇改善要求(慰撫)
7/13~16 神奈川 京浜電鉄100人 感電即死した労働者の弔問に会社側が来ない事で争議が勃発。600円の慰労金を2,000円に増額要求
7/26~9/11 東京 小型自動車会社運転手130人 待遇改善で8/1スト
7/28~ 大阪 大阪市電現業員 修養団設立反対闘争
7/30~8/7 大阪 槇尾登山自動車商会7人 待遇改善要求(妥結)
7/31 北海道 札幌電気軌道240人 特別手当要求 8/1スト(不貫徹・敗北) 評議会・札幌合同労組
8/7~15 長野 伊那電鉄敷設労働者
8/9~12 神奈川 京浜電鉄 待遇改善、8時間制要求(労働時間30分短縮で妥結)
8/15~9/29 神奈川 横浜市街自動車会社運転手10人 解雇者10名の内4人の復職、解雇手当の増額等要求
8/16~18 福岡 朝倉軌道66人 待遇改善要求(妥結)
8中旬 愛媛 伊予電鉄電気工 賃上、8時間制要求
8/31 宮城 角田軌道会社7人 待遇改善要求(妥結)
9/4~ 長野 伊那電鉄延長工事場182人 賃金支給変更から紛糾
9/8~ 鹿児島 鹿児島電気軌道会社10人 解雇9人に反対(不貫徹)
9/9~ 岡山 丸二自動車会社運転手8人 横暴監督者排斥
9/10~14 兵庫 能勢電気軌道36人 工長の解雇反対でスト(妥結)
9/12 大分 大分・別府間九水電車 待遇改善要求
9/16 長野 伊那電鉄貯水工事現場31人 賃金支払い要求でス計画(勝利)
10/4~16 神奈川 日本郵船船員8,414人 予備員制度の復活要求 サボ(不貫徹)
10/4~ 兵庫 日本郵船天洋丸船員数十人 予備員制度の復活要求(不貫徹・30余名解雇)
10/5~ 大阪 日本郵船だかあ丸船員40人 予備員制度の復活要求 サボ(不貫徹)
10/5 大阪 日本郵船山城丸船員35人 予備員制度の復活要求 スト(不貫徹・要求撤回)
10/6 神奈川 南部鉄道工事土木150人 6千円の未払い賃金支給要求
10/13 埼玉 東武鉄道東上線川越駅9人 解雇者2人の撤回要求でスト(不貫徹)
10/19 北海道札幌 定山溪鉄道51人 賃上要求
10/26~27 神奈川 京浜電鉄550人 収入減からサボ
10/30~12/10 東京市電従業員12,764人 待遇改善、賃金二重制度の撤廃要求(不貫徹)
10/30~ 東京市電芝浦工場従業員860人 待遇改善でサボ(中止)
11/5 大阪 艀(はしけ)労働者12人 賃金制度の確立要求
11/12~ 和歌山 白浜温泉自動車運転手53人 監督排斥(勝利)
11/15 広島 尾道鉄道30人 待遇改善要求でスト
11/20~22 東京 東京鉄道局大井工場
11/20~26 三重 丸二運送18人 解雇反対(不貫徹)
11月下旬 北海道小樽 谷中沖仕1人 公傷者の扶助要求
12/2~10 福島 福島電鉄50人 解雇反対でスト(不貫徹)
12/5~15 広島 芸備鉄道三次駅事業部労働者
12/8~25 東京 王子電気軌道336人 待遇改善要求(不貫徹)
12/8~29 東京 京王電鉄40人 労働組合の自由要求(不貫徹)
12/8~13 神奈川 横浜市電従業員 待遇改善要求(不貫徹)
12/8~11 長野 長野鉄道軌道工事場
12/9~10 東京 東京市電非乗務員4,000人 待遇改善でサボ(不貫徹・中止) 市電自治会
12/17~22 東京 東京市電 市電自治会
12/21~3/4 神奈川 京浜電鉄50人 労働組合の自由、待遇改善要求で2/22スト(不貫徹) 市電自治会京浜支部
12/29~30 大阪 市街自動車運転手50人 待遇改善要求でスト
12月 愛知 堀川運河沖仕600人
12月 愛知 名古屋市電 評議会・中部交通労働組合
12月 和歌山 筏(いかだ)乗り労働者争議