先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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タクシー労働者「社費値下闘争」勝利!  ツーリング自動車争議―1928年の労働争議(読書メモ)

2024年12月18日 07時00分00秒 | 1928年の労働運動

タクシー労働者「社費値下闘争」勝利!  ツーリング自動車争議―1928年の労働争議(読書メモ)
参照・協調会史料

ツーリング自動車株式会社タクシードライバー100名の決起
港区愛宕町のツーリング自動車株式会社のタクシードライバー約150名中100名は自動車従業員同盟に参加し、ツーリング従業員同志会として1928年6月2日本社車庫内で従業員総会を開催し、従来の社費130円を80円に値下げすること、宣伝費のドライバー負担20円を会社負担とすることなどの要求を決議し、6月4日会社へ申し入れをした。要求が容れられない場合は、「社費不納同盟」を組織することも決めた。

(職場ビラ)
緊急!! 全員に檄す!
我らが要求をあらゆる困難を乗り越えて死守せよ!!
我らは今こそ起ったのだ!! 我らは長い間百三十円という日本一ベラ棒に高い社費と月20円近い宣伝費とを会社に搾られてきたのだ。どんなにあせっても一日十五円をかせいで二十円にしか稼げないこの不景気に月150円もの金を取られて一体どうして食っていけるのだ!!
そればかりじゃない、我々の積み立てた身元保証金とメーター保証金、共済会の基金等は、どこにどうゆう風に保管されているのかさっぱりわからないではないか。
こんなひどい目に会わされても我々が立たなかったら、それこそ座って餓死を待つようなものじゃないか。だからこそ我々は今日の従業員総会で要求書を会社につきつける事を決議したのだ。

(要求書)
一、従来の社費130円を80円と値下げすること
二、車輛の増車は絶対にしない事
三、(ドライバー負担の)宣伝費20円を会社負担とすること
四、身元保証金(100円)を返還すること
五、メーター保証金(100円)を半分にすること
六、共済組合を解散と積立金を分配すること
七、(前納)社費を月末とすること
八、担当員とポーターの給料を増額すること
九、(この度の争議で)絶対に犠牲者(解雇)を出さないこと
十、(タクシードライバーの)仕事に対し絶対に妨害を加えないこと

全運転手諸君!
我々は数度の経験ですでに団結の力がいかに強いものであるかを充分に知っているのだ。今こそ我らはツーリングの全従業員の名で叫ぶことができる。
我々の要求は必ず通るんだ。
裏切者は結局馬鹿を見るだろう!!
▲全運転手諸君!! 我々の要求のどこに無理なところがあるのだ。 この正当極まる我々の要求を、もし会社が踏みにじるやうなこつがあったら、我々し全従業員一致団結の力で、死を賭して会社と戦うものである。
▲六月四日夜八時が会社の回答日だ。それまでは一人残らず車を持って会社へ押しかけろ
▲全従業員一致団結の力で要求を貫徹せよ!
▲裏切者を一人でも全従業員の恥だ!
▲裏切者は天誅を覚悟しろ!
昭和三年六月二日
ツーリング従業員同志会

(会社回答)
6月4日、会社理事会は「社費を130円から120円に値下げ」と回答し、他の要求は「当社は資本会社と異なり、従業員の共同経営に等しきものだ」と拒絶してきた。

(争議団)
6月8日よりツーリング自動車従業員約100名は会社近くに一軒家を借り争議団本部とし、「社費不納同盟」を宣言し結束を堅めた。争議団は一人30円の争議資金募集をし、また毎日の稼ぎから金三円を争議団に提出することとした。宣伝ビラを従業員向けに積極的に印刷配布し、あくまで社費80円を要求した。

(争議団ビラ)
団員諸君! ・・・・
社長は「社費は120円でなければ会社が立っていかぬ」・・・だと
団員諸君! 
落合社長の言うことが真実なら、妾狂いをやめたらよさそうなものだ。我々の中にはツーリングに来てから二・三千円も借金ができた人も有るのだ。我々にはもはや借金までして社長の妾を養うことは真っ平だ。

(会社二次回答)
6月11日会社は社費を更に10円値下げし、「110円」と回答してきた。一方会社の中の強硬派幹部は、「会社自ら鉄道省の公認権を約20日間停止することを願いでる」「争議団の中心的幹部の車体検査票、番号札などを没収する最後の手段にでろ」と主張した。

(社費不納同盟実行)
争議団はかねてより決めていた「社費不納同盟」に突入した。

(ビラ「戦闘的労働者諸君!」)

全市に社費値下運動起らん
 先ずツーリング立つ!!
戦闘的労働者諸君!
 暴圧の嵐と共に吹き来る資本の攻勢は、猛然として我々自動車従業員と家族を餓死のドン底に落とし入れんとしている。
見よ! 電気自動車課、東京乗合等に起こりたる不当馘首、時間延長、歩合の低下、タクシー界においては実用、藤屋等々各所に起こった車輛の取上、差し押さえは、わが自動車従業員として闘争の巷に動員されるのが必然である。
戦闘的労働者諸君!
 我がツーリング二百の従業員は、永い間労資協調の仮面の下に骨のズイ迄も搾られて来た。だが諸君!! 我々の生活の低下は労資協調によって救われず唯団結闘争のみが我々の生活を守るのだ! と二百の従業員はツーリング同志会を設立と共に自動車従業員同盟の応援の下に社費百三十円を八十円にしろ!  メーター及身元保証金を返せ! 共済会を解散し積立金を分配しろ! 宣伝費用を全部会社で出せ! ポーター及事務員の給料二割値上げしろ!
 等々の要求をタタキ付けて一声に社費不納同盟で戦いを開始した。しかも我々の闘いは決して我々だけの闘争では断じてない。・・・…死を賭けて戦いつつある社費値下げ要求は全市タクシー従業員の切実なる要求であるが故に全市二万の兄弟の目は一斉に我らの闘争に注がれており、早くも均一ツーリング、平和均一タクシー等は動揺を来たしている。
戦闘的労働者諸君!
 この時に当たって諸君の応援は、我らの勝利を決するものであり、又我らの勝敗は全自動車従業員の勝敗、否全労働者階級の勝敗を決するのだ!!!
戦闘的労働者諸君!
  直ちに工場の街頭より抗議文の雨を降らせろ!!
▲争議団に檄文を送れ
▲応援闘士を送れ
ツーリング争議団本部
自動車従業員同盟本部

(会社第三次回答)
会社は社費を更に10円値下げして、「100円」の回答をしてきた。

(争議全面解決)
6月22日労資は以下の覚書に合意し労働者側有利で争議は無事解決した。
覚書
一、社費は金一百円と決定
一、共済会は解散し残余金は分配する
一、争議費用金壱百円は会社が支出する
一、ポーターと担当者の手当は追って増給する
一、この回の争議で犠牲者はださない
昭和三年六月二十二日
ツーリング自動車株式会社 社長 落合金造
ツーリング自動車争議団   代表 椿木政二

以上


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