花街の名入りの提灯が境内に並ぶ
目疾地蔵(めやみじぞう)は、四条大橋の南座のすぐ東にある小さな地蔵だ。四条通から入る境内はとても小さく、訪れる人はさほど多くない。しかし祇園の真中に位置することから、芸妓・舞妓の参拝が多い。京都らしい“はんなりした”地蔵である。
通称である目疾地蔵と呼ばれることが多いが、正式には「仲源寺(ちゅうげんじ)」と言う。京都の代表的な通称寺の一つだが、その通称の由来は何とも京都らしい摩訶不思議な話だ。
地蔵尊は平安時代からあったと言う。鎌倉時代に鴨川が氾濫した際に「雨が止む」よう祈願したところ、ピタリとやんだので「雨止(あめやみ)地蔵」と呼ばれるようになった。また祇園社(今の八坂神社)が近いことから、参拝者がこの寺で雨宿りしながら「早く雨が止むよう」祈ったことから「雨止地蔵」と呼ばれるようになったとする説もある。しかしいずれにしろ、いつからかは定かではないが「目疾(めやみ)地蔵」と訛って呼ばれるようになる。そして眼病除け祈願の寺になったと言う。
境内に入ると、水子供養のかわいらしい地蔵さんがちょこんと座っているのが目に入る。観音堂には重要文化財・千手観音坐像がいらっしゃる。また境内には、祇園の花街関係者の名を入れた提灯が所狭しと並べられ、京都の花街の中心にいることを感じさせてくれる。
眼病除け以外にも、仲違いした男女の仲を取り持つ御利益があると言うからだろうか、参拝者には女性が目立っていた。とはいえ、どんな悩みでも聞いてくれる守備範囲の広い「千手観音」がいらっしゃるので、誰でも参拝しやすい。芸妓・舞妓や花街関係者にとっても、とても近くにあるので参拝しやすいだろう。
つい通り過ぎてしまいがちの小ささだが、とても祇園らしい一角である。祇園ファンの方は特にお見逃しなく。
こんなところがあったのか。
日本の世界の、唯一無二の「美」に会いに行こう。
京都で生まれ育った著者がすすめる京都人の普段使いの食堂
目疾地蔵(仲源寺)
http://www.rakuyo33.jp/16.shtml(洛陽三十三所観音巡礼サイト)
https://kanko.city.kyoto.lg.jp/detail.php?InforKindCode=1&ManageCode=1000295(京都市観光協会サイト)
原則休館日:なし
※仏像や建物は、公開期間が限られている場合があります。