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映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」を観る

2023年06月19日 | 映画

自宅で映画「モーリタニアン黒塗りの記録」(THE MAURITANIAN)(2021、米・英、ケヴィン・マクドナルド監督)を観た。

ストーリーを述べれば、弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)はモーリタニア出身モハメドゥ・スラヒ(タハール・ラヒム)の弁護を引き受ける。9.11の首謀者の1人として拘束され、キューバのグアンタナモ収容所で投獄生活を何年も送っていた。ナンシーは不当な拘禁だとしてアメリカ政府を訴える。政府から米軍にモハメドゥを死刑判決に処せとの命が下り、スチュアート中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)が起訴を担当する。真相を明らかにして闘うべく、両サイドから綿密な調査が始まる。ナンシーは機密書類の開示請求をするが政府から届いた機密書類はほとんどが黒で塗りつぶされていた・・・

この映画は実話だそうだが(以下ネタバレ留意)、こんなことがあったとは知らなかった。驚愕の内容である。9.11テロの犯人を何が何でも捕まえて処刑したい米政府の怒りと焦りがとんでもない冤罪を生んだ。主人公のスラヒはオサマビン・ラディンの衛星電話から電話を受け、9.11の首謀者の1人をあまりわけがわからないまま一晩だけ自宅に泊めたために容疑をかけられ、さしたる証拠もなく長期間拘束され、自白を強要される。裁判で無罪を勝ち取ったにもかかわらず、その後も数年拘束された。

こんなことがあって良いものだろうか、9.11はブッシュJr政権、無罪判決とその後の拘束はオバマ政権でなされた。アメリカという国は頭に血が昇るとかっとなって制御がきかなくなり、大量破壊兵器が無いにも関わらずイラク戦争をし、この映画のように無実の人をさしたる証拠もなしに長期間拘束して罪をでっち上げ、無罪確定後も拘束を継続し、いまだに謝罪も賠償も関係者の処分もしていないという国だ。日本の隣国が外国人を明確な根拠もなく次々と拘束するのと大差ないではないか。

日本もよくよく考えてアメリカと付き合うべきだ。日米安保は賛成だが、アメリカがいつ手のひら返しをするか常に備えるべきだ。日露戦争勝利後のアメリカの豹変を忘れてはなるまい。日米で政権や防衛大臣が変る都度、日本の首脳は日米が基軸だとか、尖閣列島は日米安保の対象範囲であることを確認したとかのコメントを発表するのはやめた方が良いと思う。虎の威を借りて隣国を牽制しようとの意図だろうが両方の国から軽蔑されるのが落ちだ。外務省出身の元高官などもテレビ番組で日米の信頼関係を疑いもなく強調し、それが一番大事だと述べているが、それが崩れたらどうするつもりなのか。大国をうまく利用するくらいのしたたかさが求められると思うが、それができたのは暗殺された安倍元総理くらいのものだろう。

ところでこの映画で米軍のスチュワート大佐を演じていたのはベネディクト・カンバーバッチであり、彼は先日観た映画「イミテーション・ゲーム」(こちらを参照)に出ていた主人公であった。全く意図せず彼の出ていた良い映画に巡り会えたのは幸運であった。今回も彼は良い演技をしていた。

 



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