昨日、12月30日、東京に住んでいる両親のところに顔を出し、元気な姿を確認して、帰りに吉祥寺に寄り、いつものお買い物をした
北口の「肉のさとう」に寄り、年末恒例の焼き豚のブロックを一つ、グラム売りで脂が適当についているものを選ぶと2,000円ちょっとだった、これが美味い、あとコロッケを2つ、ここは丸メンチが有名な店でこの日も大行列ができていたが、我々夫婦はもう食べ飽きたのですぐに買える他の物を買う
次に南口のいつもの「いせや総本店」で10本くらい焼き鳥を買う、1本100円ちょっとだから安いがこれが美味い、今日は車で来たので帰りの電車の中での匂いを気にしなくて済む、そして、帰宅して焼き鳥丼にして食べるのもいつものとおり、炭火の残り香がして実にうまい
さて、今月も歌舞伎を観劇した、12月大歌舞伎(第2部)、12月は3部制で3時開演の第2部を観に行った、いつもの3階A席、5,500円、5時半終演、3階席は9割くらいは埋まっていた、圧倒的におばさま方が多かった、なおこの日は千穐楽
河竹黙阿弥 作
加賀鳶(かがとび、盲長屋梅加賀鳶)本郷木戸前勢揃いより赤門捕物まで
天神町梅吉と竹垣道玄/松緑
日蔭町松蔵/勘九郎
春木町巳之助(梅吉の子分)/獅童
お朝/鶴松
女按摩お兼/雀右衛門
魁勇次/彦三郎
磐石石松/坂東亀蔵
虎屋竹五郎/種之助
天狗杉松/玉太郎
昼ッ子尾之吉/左近
妻恋音吉/菊史郎
金助町兼五郎/菊市郎
数珠玉房吉/國矢改め精四郎
御守殿門次/吉之丞
番頭佐五兵衛/橘太郎
雷五郎次/男女蔵
御神輿弥太郎/松江
伊勢屋与兵衛/権十郎
本郷界隈で加賀藩お抱えの鳶と旗本配下の定火消の間で大喧嘩が起こる、今日も日蔭町の松蔵をはじめ、加賀鳶が勢ぞろい、血気に逸る若い者たちを、頭分の天神町の梅吉が留める(勢揃いの場)
日の暮れた御茶の水の土手際では、按摩の道玄が通りかかった百姓を手に掛け、懐から金を奪い取るがそこで煙草入れを落とす、小悪党の道玄は訳ありの仲のお兼と共謀して、姪のお朝の奉公先へ強請りに行くが、そこに土手際で道玄の落とした煙草入れを拾った松蔵が現れて言い合いになり・・・
観劇の感想など
- 最初の場は「勢揃い」、本演目の加賀鳶は加賀鳶の場と道玄の場と大きく二つから構成されているが、道玄の場のみを見取り上演するのがほとんど、ただ、そうだと加賀鳶という演目の意味がなくなるので、芝居のストーリー上は何の意味もないが見栄えが良いので加賀鳶の場から勢揃いのところだけ冒頭に演ずるものだとのイヤホンガイドの解説があった
- この勢揃いの場であるが10人以上の鳶が舞台上で演ずるのかと思ったら違った、花道で鳶たちが勢揃いして「名乗り」をあげるのであった、私が座った3階のA席4列目からは花道の先頭の数名しか見えず、大部分がセリフだけしか聞こえないので残念だった、仕方ないね安い席だから
- 江戸の火消しは鳶が担った、それは火事になっても今のような水による消火はできず、延焼を防ぐために周囲の家を取り壊すことにより鎮火させるしかなかった、その解体作業は鳶が得意だからだ
- この物語の主役は加賀鳶の場の梅吉と道玄の場の按摩道玄であり、いずれも松緑が今回初役で務める、松緑の演技は特に道玄のような悪党を演じさせると実にうまいと思う、土蜘蛛などもそうだった、ただ、道玄は悪党であると共に愛嬌のあるキャラクターでもありその部分は何となく松緑には似合わないかなとも感じた
- 道玄の妻おせつの姪であるお朝(鶴松)が住み込みで働いている質店の店主(権十郎)におせつの窮状を話し、店主から貰った5両をおせつに渡しに来た時に入口の外から道玄が聞き耳を立てるのをよく見せるため通常は横向きに作られる家への入り口が、この芝居では正面客席に向けて作られている、実際にはその効果は横でもそんなに変わらないのではないかと思った
- 途中、「伊勢屋の場」で道玄と松蔵が言い合う場面があり、そのセリフが作者の黙阿弥の得意のリズムの良い七五調であったのが大きな見せ場の一つであった、道玄(松緑)と松蔵(勘九郎)の掛け合いは見ごたえがあった
- 最後に道玄と捕り手との暗闇の中での捕り物「だんまり」になり、ついに道玄は捕まるが、この「だんまり」というのを初めて観たような気がする、「だんまり」とは何人かの登場人物が、暗闇の中で黙ったままお互いのことをスローモーションで探り合う演出をいい、今回は追っ手と道玄が闇夜の中で追跡と逃亡をしあうお互いは見えないという前提での演技で面白かった
鷺娘(さぎむすめ)
鷺の精/七之助
しんしんと雪の降る水辺に、白無垢姿の娘が佇み、蛇の目傘を差しているのが人間の男との道ならぬ恋に思い悩む鷺の精で、切ない恋心を次々と見せる
- 江戸も長く平和が続いたので舞踊も何か刺激があるものが好まれるようになった、そこで出てきたのが客の目を驚かせる変化舞踏である、この変化舞踏とは一人の踊り手がいろんな衣装に早変わりする演技であり、この日の演技では鷺の精である七之助が30分の間に5回か6回、衣装の早変わりをして楽しませてくれた
- この早変わりの変化は衣装をあらかじめ重ね着しておき、黒子の助けを得ながら舞台上で素早く上の衣装を脱いでその下にある全く色と模様が異なる衣装に変化するもので、その衣装の重さたるや相当なものであろう、相当な体力がないとできない演技だと思った
12月歌舞伎は2演目で幕間も入れて2時間半だったが、このくらいがちょうどいいと思った、ただ、今日は食事が不要な時間帯だったので観劇時の食事の楽しみがなかったのは残念だ
楽しめました