彩の国さいたま芸術劇場開館30周年記念、アンドラーシュ・シフ/ピアノ・リサイタルを聴きに行ってきた、1階席10,000円、15時開演、17時40終演、ほぼ満席に見えた、日曜日だからか幅広い年齢層が来ていた、604席ある音楽ホールは改装したばかりのためか非常にきれいなホールだった、シフはここで2017年にも演奏会を開催したことがある
今回の公演は、シフの意向で曲目を事前に知らせず、本人が当日ステージ上でトークの中で日本語を交えながら発表するスタイルとの事前説明、めずらしいものだと思った、このようなスタイルはポリーニやツィメルマンがそうだったとプログラムノートの解説で長木誠司氏は言い、シフはなんでもすべて、いつでも完成しており、演奏会はそのなかでその日の即興気分に見合ったもの演奏するだけと説明している
アンドラーシュ・シフは1953年、ブタペスト生れ、両親ともホロコーストからの生き残り、2023年8月にザルツブルク音楽祭への66回目の出演で「音楽祭の歴史を語るうえでなくてはならないアーティスト」として表彰されるほどのピアニスト、レパートリーはバッハ、ハイドン、モーツアルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、バルトーク、ヤナーチェクなどが中心となっている、また、夫人は日本人のヴァイオリニスト塩川悠子さん(1946)とは知らなかった、CDには夫人との共演もあるようだ
曲目
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988 から「アリア」
ハイドン : ピアノ・ソナタ 変ホ長調 Hob.XVI:52
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第15(18)番 ヘ長調 K.533
ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 op.31-2「テンペスト」
シューベルト: ピアノ・ソナタ第18番 ト長調 D 894 「幻想」
(アンコール)
シューベルト: 即興曲 変ト長調 D 899-3
シューベルト: 楽興の時 D780から 第3番 ヘ短調
シューベルト:ハンガリー風のメロディ D817
J.S.バッハ:イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971から 第1楽章
ショパン: マズルカ ハ長調 op.24-2
メンデルスゾーン : 無言歌集第6巻op.67から 「紡ぎ歌」
シフ自身による曲目の紹介は日本語ではっきりわかるように発音してくれた、奥さんの特訓を受けたのでしょう、他国に行ったときはこういう姿勢は大事だと思う、野球の大谷もゴルフの松山もアメリカでのインタビューでは通訳同伴でもいいから先ず英語で話してもらいたい
この日の演目は私にもなじみの多い曲だったのはうれしかった、最近もNHKのクラシック倶楽部でザルツブルク音楽祭でのシフのピアノ演奏の模様を放送していたが、シューベルトやヤナーチェクを演奏していた、そのシフのピアノ演奏をまじかで見れて良かった
この日の演奏は最初はどちらかというと静かな曲だったがテンペストあたりから少し激しい曲になり最後のシューベルトでは40分ほどの大作を一気に演奏してくれた
シフの演奏会は初めてなので普段はどういう感じか知らないが、アンコールに6曲も弾いてくれたのには驚いた、自身今日の演奏はうまく弾けたと思っていなければこんな多くの曲をアンコールで弾かないでしょう、それぞれの曲を弾き終わった後のシフの顔は満足しているように見えた
ピアノ・リサイタルは休憩も入れて2時間程度で終わる場合が多いが、この日は2時間半以上弾いてくれたのはうれしかった、シフ自身もうれしそうな顔をしていたのでこちらもうれしくなった
この日の観客はシフがそれぞれの曲の演奏が終わって、立ち上がって観客に向きあうところで拍手を始めたのには感心した、ピアノ演奏の余韻を十分楽しむマナーがある観客だと思った
シフの音楽をじっくり聴けて良かった