むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター㊱

2019-08-01 09:57:18 | 小説
 タイトルは麻雀荘。作者に麻雀のコツを聞くと、ツモの配列が、カンチャン待ちの形をしているからカンチャン待ちをツモれるかに、集中力を傾けるという。

 昭和四年七月未明。北京にある麻雀荘の前で、陶器製の巨大な麻雀パイで客が殴られて、死ぬという事件が起きた。巨大な麻雀パイは店の入り口に飾ってあった物で、縦の長さが、五〇㎝ほどの大きさだ。目撃者は「男二人が大きな声で口論してて、片方の男が威嚇するように麻雀パイを持ち上げて、もうひとりの男が突き飛ばすと、持ち上げてた男が倒れて、頭の上に麻雀パイが落ちたみたいだけど」と言う。公安(中国の警察)はどうしてそばに置いてあった長さ七〇㎝ほどの、陶器でできた千点棒を持ち上げなかったのか不思議に思いながら、麻雀荘の店員から事情を聞く。店員は口論していた二人と三人で麻雀をやっていて、「二人ともかなり負けてた」と言う。公安は店に入って麻雀卓を見せてもらった。麻雀パイの、側面の黒ずみで、ふせた状態でどのパイかわかるみたいだ。公安が「手加減しなくてよかったのか」と聞いたら、「二人は焼き鳥屋の店員で以前生肉を食わされたから」と答えた。犯人はチキンの生肉特有な神経痛を供給してくれる人らしい。公安はその店に行って店長から事情を聞く。店長は「時間に几帳面な男でもうすぐやってくる」と言う。公安は手帳に「焦がさないように焼くこと」と書く。犯人が出社してきた。死んだことを知らない様子だ。公安が声をかけると、「先に着がえてくるから」と言って従業員控え室に入った。店長がいそがしそうにひとりで開店準備をしている。公安が待っていても出てこないので従業員控え室に入ると犯人は窓から逃げていた。店長に立ち寄りそうな場所を聞くと、「駅前の麻雀荘なら二四時間営業で仮眠室もあるよ」と言う。公安は駅前の麻雀荘へ行く。公安が麻雀荘に入ると犯人は奥の部屋で麻雀をやっていた。公安は犯人に少しずつ近づく。手前の麻雀卓にいる女が、公安を上目づかいに見る。犯人と目が合った次の瞬間、犯人が壁の張り紙を押すと、隠しドアが開いて、犯人が消えた。公安が追いかける。ドアの向こうに階段があって、電球がついていた。階段を下りると細い通路が駅の方角へ続いている。公安は「出口にかぎをかけられるとまずいな」と思って走る速度を早めたが、細長い階段を上がった先の木製ドアにかぎがかかっていた。ドアの向こうは、駅のホームだ。公安はかぎの構造を透視する能力がある。正拳でドアを突き破って、かぎを開けた。犯人は引き返すと思っていたらしい。呆然として公安を見ている。公安は犯人を逮捕した。