むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター56

2019-08-21 10:12:24 | 小説
 昭和五年三月未明。北京にある大学の教室で、歴史学の教授が、骸骨の頭が結びつけられたロープで巻かれて、死んでいる事件が起きた。骸骨の頭は全部で三〇個あって、目玉の部ぶんでロープに結ばれていて、死亡原因は首に、かかったロープによる窒息死だ。足にロープは巻かれてなくて、床に油が塗られていた。教授は、なに者かに襲撃されて気絶した状態で、ロープで強く巻かれて意識をとり戻して立ち上がったあとに転倒して、ロープが首に強くかかって窒息死したと考えられる。公安(中国の警察)はどんな試験問題が出るか考えながらたばこを吸った。骸骨は手に一〇個ずつあって、頭を巻いている骸骨が下になると、首が絞まるしかけだ。公安が大学の責任者に事情を聞くと、死んだ教授は骸骨をいじくりながらの講義が有名で、骸骨は研究室に置かれていた物だという。研究室には三〇代の女性研究員がいて「原人が骨をどうやって、人間に擬態させるかがテーマで擬態を、理解できれば点数をあげるしかけよ」と言った。公安が「貝殻の貨幣を使うんだろ」と言ったら、女性研究員は「それはやらないわ。原人が人間に、従順となるように生活動作が、人間に類似していく進化過程を学習させるのよ」と言う。公安は「そうすると読み書きが、ままならない人間が永遠な若さの幻を見るだろうな」と思った。 公安が骸骨を研究室へ運ぶと、棚に思想改造集団のちらしがある。住所が近所の、中華料理店の二階だ。公安はそこへ行く。廊下に、現場の床に塗られていた機械油と、出前のどんぶりがある。公安が部屋に入ると、以前会った背広を着た三〇代の男と、作業服を着た二〇代の男がいた。背広を着た男が「われわれは、歴史は思想をねじ曲げることがないという信念のもとに、思想改造活動を行ってる」と言う。公安は作業服の男をよく見たが、武器は持ってなさそうだ。背広の男が「人類と猿人の違いは、記録と著作による文明行動だ」と言う。そのとき、入り口に中華料理店の店員が現れて「代金を頂きにまいりました」と叫ぶ。作業服の男が応対に出て走って逃げ出す。公安が追いかける。男は階段を下りて道路に出て、馬を奪おうとして、馬を引いていた中年の男とつかみ合いになった。男は中年の男に、手綱を首に、巻かれそうになっている。公安が中年の男を制止して「なぜ殺したんだ」と聞いたら、男は「歴史をねじ曲げてたから殺した」と言う。公安は男を逮捕する。男は去年まで大学の研究員だった。