昭和五年九月未明。上海の、家具販売店の倉庫で家具職人が、刃物で刺されて、死んでいる事件が起きる。死体を発見した店主の話によると死んだ男は、安楽椅子専門の家具職人で「今日納品の予定だから倉庫を開けてた」と言う。公安(中国の警察)は死んだ家具職人の工房へ行く。工房は長屋の壁をくりぬいてできていて、つくりかけの安楽椅子が一〇脚並んでいた。安楽椅子の買い手は老人が多いという。死んだ家具職人は、なにを夢見ていたのだろうか。奥に布団が敷いてあって、金属の筒が六本並んでいた。金属の筒はバズーカ砲だ。弾をセットして、上部のレバーをスライドさせてばねで起爆させる構造になっていた。どれも弾が入っている。工房に人が近づいてきた。公安は裏口から外に出る。男が二人工房のなかに入った。ひとりは身長が二m近くあるイギリス人の男だ。公安は窓からなかの様子を見た。中国人の男が「日本軍の武器庫を破壊する係がこないとなにもできない」と言っている。イギリス人が「かわりの兵隊は、いるのか」と言った。中国人の男が「いま手配してる」と言う。中国人の男が家具職人を殺したようだ。イギリス人が「とにかく回収しようか」と言う。公安は「いやだなあ」と思いながらも戦いの霊魂が憑依してくる空気を感じた。公安は入り口にまわる。イギリス人が四本と、中国人の男が二本持って出てきた。公安が姿を見せると、中国人の男がバズーカ砲を一本地面に置いて、もう一本を立てひざの姿勢で公安に向けて発射する。公安がふせてよけると向かいの、石づくり倉庫の壁に命中して、爆発音とともに壁がくずれ落ちた。公安は中国人の男に向かって走って飛び蹴りを食らわせたがバズーカ砲で受けとめられる。イギリス人がバズーカ砲を下に置いて、拳銃をとり出そうとしていた。公安が飛びはねてキックをイギリス人の顔面にヒットさせると、イギリス人は後ろに倒れて頭を打って気絶する。中国人の男が、もうひとつのバズーカ砲で公安を狙って発射したが、長屋の玄関付近に命中して、長屋の半ぶんほどが吹き飛んだ。公安は飛んできた木材の下敷きになったがすぐ立ち上がった。中国人の男も立ち上がってナイフをとり出して公安に切りかかる。公安が飛びはねて片足でナイフをはじき飛ばすと、男の肩口に刺さって男がうずくまった。公安は二人を逮捕する。イギリス人は日本軍の武器庫に金塊があると思って計画をして、中国人の男は家具職人を、殺したことを認めた。