むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター51

2019-08-16 10:05:24 | 小説
 人口減少社会が進むと、人間の価値が高まるから自由に天変地異を叫べなくなる。タイトルは修道士。

 昭和四年九月未明。洛陽の寺院で修道士が首を斬られて、死んでいる事件が起きた。寺院は修道士が五〇人ほどいて、死んだ修道士は門番をしていたようだ。公安(中国の警察)が目撃者の老人から事情を聞くと、「魔神集団の者が、門番の首をはねた」と言う。公安が目撃者に「あなたは修道士なんですか」と聞いたら、「私は近所の農民です」と答える。公安の脳裏に「犯人である確率五〇%」という字幕が点滅して浮かぶ。公安が「魔神集団の住所はどこだ」と聞いたら、「あの、山のふもとです」と五㎞ほど離れた山を指さした。公安がそこに行くと、なかで黒装束の修道士二〇人がなぎなたを振りまわしている。公安が門番の男に「責任者に会わせて」と、言うとなかに案内してくれた。寺院のなかは仏像が並んでいて、死者の魂を納める寺院みたいだ。黒装束の老人が出てきた。公安が「なんのために稽古をしてるんだ」と聞いたら、老人は「未来の、日本の読み書きがままならない人々に、われわれが父であることをわからないようにするためだ。紙幣でこと足りる高額貨幣に、金製の工芸品を使うことによっていろいろな問題が発生する。工芸品は動かすときに作者の許可が必要。『これ私のだから』と、言っても『違う』と言われる。それに紙幣の、インクずれのような手変わりは作者にしかわからない」と言う。公安は脳裏に浮かんだ「犯人である確率〇%」の文字を見て、軽く一礼して寺院を出た。遠くから五〇人ほどの、寺院の修道士たちが小走りに近づいてくる。公安が門の前に立っているとうじゃうじゃ集まってきた。ひとりが「てめえも魔神集団の仲間だな」と言いながら殴りかかってくる。公安がハイキックを顔面にヒットさせた。一斉に殴りかかってくる。公安がハイキックとまわし蹴りを機械でできた人形のように、人数ぶん顔面にヒットさせて全員倒れた。倒れている男に目撃者のことを聞くと、「うちの総長だ」と言う。公安は事件の寺院に行く。寺院の広場に白い胴衣を着て、剣を持った目撃者の男が立っていた。公安が「おまえが犯人か」と、聞くと剣を振りかざして向かってくる。公安は剣を振り下ろした瞬間にふせて、男の両足を払い飛ばす。倒れた男がかぼそい声で「私は力のない年寄りです・・」と言う。公安が顔を近づけると、男が右手の人さし指となか指で、公安の目を突いてくる。公安が左手で受けとめて右手を男の首にかけると、男は「おれが殺した」と言う。公安は男を逮捕した。