むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター58

2019-08-23 10:35:56 | 小説
 昭和四年一〇月未明。瀋陽で陶芸家の男が、庭の土に顔を押しつけられて死んでいる事件が起きた。死体は昼間外出していた奥さんが夕方に発見している。工房は陶芸家と奥さんの二人でやっていて食器などをつくって販売しているようだが、庭で劣化処理させている陶芸品が大量にあった。犯人は本物があるか探したらしい。公安(中国の警察)が奥さんに事情を聞くと、「主人は『博物館に納品するため』と言ってます」と言った。公安は小学生の息子(被害者幽霊を小学生に変換して対話する特殊能力がある)に聞く。小学生の息子は「ペンダント屋さんだよ」と言う。公安は奥さんからペンダント屋の住所を聞いてそこへ行く。ペンダント屋は町の中心部で露店をやっていた。外国製な銀貨のペンダントを一〇〇点ほど並べて奥に壺が一〇個ある。壺は全部死んだ陶芸家から買ったようだ。公安が事情を聞くと、「ひとつだけけたが多い値段をつけると売りやすいけど」と言う。公安が「それを誰か買っただろ」と聞いたら、「僧侶のような男が買った」と答える。公安は僧侶と物の特徴を聞いて寺院に行く。寺院の広場で修道士が、一〇人ほど武道の稽古をやっていた。公安が建物に近づくと、買った人物と思われる僧侶が出てきて、「なかへどうぞ」と言う。建物のなかは、ドーム型の天井が吹き抜けになっていて、上に巨大な電球がある。壁に粘土でできた古代の人形が並んでいたけどどれもレプリカだ。例の物があった。古代の壺だ。公安が僧侶に「これはどこで買いましたか」と聞いたら、「つくった者は死にました」と答える。公安が「誰が殺したんだ」と聞いたら、奥から大きさが七〇㎝ぐらいな、腹話術人形を持った男が小走りに近づいてきた。男は公安に三mぐらいまでくると、人形の口を動かしながら「よっちゃんは金貨で皇帝の壺を買いましたよ」と言う。少しすると人形の口から黒い煙が吹き出して、公安は煤のような物を全身にかけられる。男は「よっちゃんはうそつきを殺したんです」と言いながら人形をいじくって、人形の足と頭から刃物を突き出した。人形の背なかに二mぐらいなひもがついていて、男は刃物が突き出た人形をぐるぐる振りまわしながら「遠心力攻撃。遠心力攻撃っ」と叫ぶ。しかし公安が目もとの煤をぬぐって、すぐ飛び蹴りをすると、男は人形をほうり投げて逃げようとしたがずっこけるようにして転んで、顔を床にぶつけた。公安が男に「よっちゃんはどっちなんだ」と聞いたら、男は「おれが殺した」と言う。公安は男を逮捕した