むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター㊹

2019-08-09 09:59:01 | 小説
 昭和五年一〇月未明。上海の、船荷保険の会社で営業まわりにきた銀行員が、射殺される事件が起きた。射殺された銀行員は事務所の奥で所長と話していて、「所長はいるか」と、押しかけてきた犯人に所長と間違われて撃たれたらしい。死体を見ると顔に信号弾が命中している。公安(中国の警察)が所長から事情を聞くと、「あの男は、漁船のオーナーだ」と言った。魚を船荷扱いできなくなったから、解約の手続きをしたが「どうにかしてくれ」と、なんどか会社にきていたという。公安は住所を聞いて漁船の、オーナーの家へ行く。そこには木造の長屋が三棟あって、同じ敷地にブロックづくりの一軒家がある。公安が一軒家に近づくと、長屋の方から木刀を持った若者が三人近づいてきた。ひとりが木刀を振りかざして公安に向かって走ってくる。公安は飛び蹴りで木刀をはじき飛ばす。あとの二人が後ろにまわり込む。公安が連続まわし蹴りを二人の顔面にヒットさせる。長屋から長さ一mぐらいの鉄筋を振りかざした男が二人出てきた。鉄筋の先端がとがっている。先端を向けて並んで走ってきた。公安は高く飛びはねて二人の顔面に片足ずつ蹴りを入れる。一軒家から刀を持った男が出てきた。小学生の息子(被害者幽霊を小学生に変換して対話する特殊能力がある)が「船荷保険の友達たち」と言っている。公安の脳裏に、当たり前すぎるとうまくいかないなにかの対戦競技が浮かぶ。公安は男に石を投げつけてから一軒家のドアまで走って、ドアをたたきながら「出てこい」と叫んだ。刀の男は遠巻きに見ている。五秒ほどでドアが開いて、白髪まじりの男が「おれは漁師だから」と言いながら出てきて自転車でどこかに行った。犯人のようだったが公安は一軒家を調べる。なかに若い女がいて「港の、倉庫の事務所に行ったみたいだけど」と言う。公安は自動車を手配して港の倉庫へ向かった。倉庫に着く。自動車の運転をしていた若い公安に「自動車を破壊されないように見張ってろ」と指示して事務所へ向かう。事務所から鎖鎌を持った男が出てくる。公安が近づくと鎌を投げつけて地面に突き刺さってからすぐ引き抜かれた。事務所からさっきの男が出てきて公安に向けて信号弾を発射する。公安がよけると、信号弾の光が背なかを通過して、自動車のフロントにめり込んだ。公安が走って近づくと、鎖鎌の男が鎌を投げつけてくる。公安は鎌を片手で受けとめて鎖鎌の男に突進して飛びついて、男の首に鎖を巻きながら、犯人の顔面にキックした。公安は犯人を逮捕する。