スイセンの時期でもないのに、なぜか淡路島へ行きたくなりました。
行くとなればやっぱり洲本かなと。
では、洲本には何の魅力があるのでしょう?
バスセンターでもらったパンフレットを見ると
市内あちこちに狸がいるではありませんか。
これは面白そうだと、早速狸巡りをすることにしました。が、
案内所のおねえさんに聞いてもわからない、
タクシーのおじさんに聞いてもご存じない、
それでは一緒に探しましょう、ということになりました。
まず、洲本城内にあるご本家芝右衛門狸の由来から・・・。
洲本城。鉄筋コンクリート製では日本最古の模擬天守。
この麓にご本家芝右衛門狸が祀られています。
その説明によると、
海岸近くの山・三熊山のてっぺんに芝右衛門という愛嬌者の狸が住んでいました。
背の高さ6尺(1.80m)あまり、お腹は大太鼓みたいで、満月の夜など光り輝く海
に向かって「ポンポコポンポコ ポンポコポン」と陽気に腹鼓を打っていました。
時には人に化けて木の葉のお金で買い物をしたり、いたずらもしましたが、夜道に
迷った旅人の案内を引き受けるような、人々に愛される狸でした。
その頃、浪速(大阪市)で面白い芝居がかかっている事を聞き込んだ芝右衛門は、
お手の物の変装をして浪速行きの便船で大阪へ乗り込んだのです。
例の木の葉のお金で悠々と木戸を通り毎日毎日お芝居にうつつを抜かしていまし
たが、木戸番のおじさん達は、毎日木の葉がお金箱に入っているのを見て、「変だ
なあ」と思い始め、狐か狸の仕業に違いないと思って、犬3匹をつれ芝居のはねる
のを待ちました。
何も気づかぬ芝右衛門は「ああ、今日も面白かった。浪速へ来た甲斐があった。
淡路へ帰って皆の衆に話してやろう」とつぶやきながら出てくるところを、ついに
犬に発見されてしまいました。
洲本の人たちは、近頃聞こえなくなった芝右衛門の腹鼓に、「芝右衛門はどこへ
行ったのやろ」と心配しました。その頃、浪速から来た行商人から「浪速の芝居小
屋で大きな狸が犬に噛まれたそうな」という噂を聞き、それはきっとあの芝右衛門
に違いないと、と今は亡き芝右衛門を偲びながら誰言うとなく「三熊山に芝右衛門
を祀ろう」ということになりました。
今では土製の芝右衛門狸が、洲本のお土産店で巾を利かせています。
この芝右衛門狸と関わりのある狸仲間が8匹いて、それぞれに役割を持っています。
ではその狸をご紹介しましょう。洲本八狸のお話です。
まず、芝(柴)右衛門
三熊山に住む芝居好きの狸。毎日のように人間に化け、木の葉をお金に変え大阪道頓
堀へ芝居見物に出かけていました。大阪中座にも祀られ、片岡仁左衛門、藤山寛美さ
ん等の関係者に親しまれてきました。日本三大狸の1匹で、芝居の神様。
(芝居好きの顔をしてますね)
武左衛門
毎日夜更けに見回りに出て、戸締まりの悪い家があると、家の外からかぎをかけて
回ったそうです。防犯の神様。
(こんな夜回りさんいないかな)
宅左衛門
洲本の狸の長老として、お金に困ったものを助けたり、頼母子のせわをしたり、
仲間の面倒をよくみたそうな。金融の神様。
(さすがご隠居さま)
川太郎(がたろう)
関所を守り、川をきれいにすることを使命に思い、毎夜、川や土手の点検や清掃
をしていたそうな。交通安全の神様。
(鯉ばかりとってたから罪償いなの?)
お増
芝右衛門の恋女房で、夜な夜な木の葉のお金で買い物に城下へ行き、化かされた
お店はかえって繁盛したという。商売繁盛の守り神。
(木の葉で買い物できたらいいな)
お松
芝右衛門の娘で、たいそうな美人として有名で、若い狸に人気がありました。
女性の守り神。
(あ~ら 恥ずかし・・・)
桝右衛門
お酒が大好きな狸。夜の城下の安全を守り、酔っぱらいや乱暴者を大入道に
化けて懲らしめました。水商売の神様。
(これが狸? そう、大入道に化けたんです)
柴助
芝右衛門の長男。いたずら好きの子供でしたが、全国に修行の旅に出てからは
立派に芝右衛門の後を継ぎました。病気平癒の神様。
(これはガキの頃の柴助です)
以上で8匹。宿の玄関ではもう1匹狸のお出迎えがありました。