土塊も襤褸も空へ昇り行く:北村虻曳

随想・定型短詩(短歌・俳句・川柳)・写真
2013/11/11開設

窮理学 (17句)

2013-12-12 | 短詩
窮理学


田の水に狐のネオン艶にして

見返りのTレックス立つ銀座裏

幸あればけむり漂ふ段ボール

な切れそ前頭葉を電車ごっこ

手をかざす高さについて伸びる縄

鎌首を戦がせている松の上

乳頭は軒の賑わい微塵の舞

戸隠や雲の背を神歩む
           (背=そびら)

雲海の蹠にそっと触れてみむ        (蹠=あうら)

蝙蝠はみみはなのどより湧きあがる

ふうわりと下駄をそろえて月面に

月影の割鉢見切ってふけにけり

季語たらむブラックホールのご精進

万有引力説
林檎引く地底の腕はみな青く

正夢の払へど集(たか)る量子雲

特殊相対性理論
天網の引攣れとして我もあり

沈思せよ蟻はひたすら出入りする

                       (豈49号掲載・改)

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