土塊も襤褸も空へ昇り行く:北村虻曳

随想・定型短詩(短歌・俳句・川柳)・写真
2013/11/11開設

ポーランドの犬

2013-12-07 | 随想
ポーランドの犬

日本では放し飼いの犬を見ることが少なくなった。しかしポーランドではまだしばしば放し飼いにされている。五度ほど訪れて四回恐ろしい目にあった。咬まれるのもいやだが、大陸ではなにより狂犬が怖い。発病するとと助からず、自ら苦痛で狂犬と化すそうだ。

一度は料理を探してワルシャワのユダヤ人街を夜訪れたときである。人気無い真っ暗な広場に面したレストランを見つけ近寄ったところ、闇から現れたそこそこ大きな犬とにらみ合いになった。どうも日本人の私を人間と認めていないようだ。手には傘さえ持ってないから、隙を見せると飛びかかり咬みつこうとする。そのたび威嚇して長い5分ほどの膠着状態が続いた。やがてこちらがキレてきた。委細かまわず飛びかかっていった。ヤツは退散した。勝利だ。

(四回恐ろしい目にあったと書いて三回しか書いてなかった。もう1回を付け加える。2021)家もなく草地と森の断続する人気のない田舎道を歩いていた。道と草地の間に金網が現れ続いていた。その網の向こうにシェパードが現れ僕に吠えかかった。馬鹿めがと思って歩いていたが、犬は執拗についてきてウォンウォンと吠え立てた。とても強そうである。テレビでは凶悪犯でもお手上げになる警察犬をよく見る。次第に金網がどこまで続くか気になってきた。幸い金網は道を離れていって助かった。やはり独り歩きは怖い。

これも一人歩きのときだが、野中の一軒家の農家の横を通りかかったとき、一匹が低くほえながら飛び出してきた。やられると思ったとき、畑の中にしゃがんでいた男の一声、引き留めた。

田舎の街道に沿って両側に延々と家が並んでいる村がある。家の広い囲いの中は、植木や石で飾ったりはしない。しばしば、鶏、豚、犬などが一緒に放し飼いにされている。数人一緒だったが、その家並みの裏側に出て畑を歩き、また街道表に戻ろうとした。屋敷がびっしりで街道へ抜ける道がない。戻るのも遠い。やっと一軒、裏門が空けてある家を見つけた。働いている主がいたので、手振りで表へ通り抜ける許可をもらった。先頭を行く私に右の建物の影から巨大な犬が襲いかかった。まさに飛びかかるという勢いであったが、空中でガシャーン・・・鎖がつけてあった。人が悪い家だなと思いながら、気を取り直し、オッチョコチョイな性分でまた先頭を歩き始めた。すると今度は左から一匹。もうイヤ!見ると遠くで奥さんが喜んで笑っている。チクショウ。

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