聖書の思想であるヘブライズムとそれを本質として形成されたキリスト教思想は、現代の世界や文化に大きな影響を及ぼしている。
文学作品の中にも聖書的題材が数多く用いられている。
作者がキリスト者でなくても、人間について思索する課程で聖書に出会っている人が多い。
マルクス主義や実存主義のような一見非聖書的な思想と思えるものでさえ、ヘブライズムの影響を受けている。
また、西欧社会は〔罪を基調とする文化〕であるといわれ、キリスト教の思想の影響の大きい社会である。例えば、つい最近、西ドイツの一青年の乗ったセスナ機が、モスクワのクレムリンの宮殿広場に着陸したことで、国防相が解任された。その事件を伝える西欧の新聞の見出しが、
Cessna、David-MIG、Goliathであった。子供のダビデが小石の一つを投げて、勇猛な大男のゴリアテを倒してしまうことが、サムエル記上の中にある。このように旧約聖書の表現が広く生活の中に浸透していることがわかる。
聖書を読んでいくと、今日の私達と同じように、人間の欲望や感情のからみ合い、人間の弱さや醜さ、絶望と希望、病気や災害による苦しみ、信頼と裏切り、支配・権力と差別・抑圧ー人間が出会うあらゆる事が描かれている。その中に、〔自分自身〕の姿が写しだされて、ハッとさせられる。
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