このアルバムを始めて聴いたときには参った。ピーターバラカンのラジオでリリース前に「Big Enough 」がかかった瞬間シビれたのなんのって。完全なFUNKアルバムでキース自身がブーツィーやメイシオ、プロデューサーのスティーブジョーダンまでコントロールしきっている。ストーンズライクなロックンロールもマニア向けの黒人音楽に仕上がってしまっているのが恐ろしい。ブラックミュージックをこよなく愛してきた男がそこの一番ディープな部分を表現した大傑作アルバム。そこにはストーンズというものが入り込んでこないブルーズシンガー&ギタリストのキースリチャーズが存在している。
匂いの濃いミュージシャンしか出せないオーラを丸ごと料理しているキースの懐の深さ、スケールが漂いまさに音楽マニア向けの作品だ。ストーンズフリークがどう判断するかはわからないが名盤中の名盤。緊張感のある生バンドの肌触り、楽器の生のトーンのオンパレード。
最近の来日公演でも誰よりも楽器を弾き倒していてモノホンのプロギタリスト、バンドマスターとはこういうものだというものを証明していった。還暦過ぎてよりいっそうディストーションが深くなってリズムはシャープだ。リリース後、20年以上たっても古さを感じさせないということは時代を超越したスタンダード作品ということだろう。カッコ良過ぎる。