Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

JBL LSR305

2017-10-31 08:17:18 | AUDIO

パワードモニタースピーカーはレコーディングや音楽の再生環境がオーディオからPCに移り変わるとともに発展してきた代物。古き良きオーディオファンからするとパワードスピーカーはパソコンにオマケでついてくる簡易スピーカー位の認識でしょうが自宅でのDAW作業にはPCからアンプを経由せずストレートに再生する環境としてスタンダードな必需品となりました。なので開発にはPCソフトメーカーや楽器メーカーの商品がメジャーどころでしたがオーディオスピーカーメーカーの老舗ブランドJBLがリリースしたものを無視はできません。

DAWでのモニタースピーカーの考え方に通常のリスニングとミックス等の作業ではポイントが全く違うと語る方は沢山さんいらっしゃいます。決まりはありませんが音の定位やミックスでの各楽器の確認などスピーカーの目の前で確認するときにベストな状態が理想のようです。確かにニアフィールドで聴いたときに大型のオーディオスピーカーだとそれなりの音量が無いと鳴りきりません。音楽の再生環境がどんどん小型化していく時代に大型フロアスピーカーに合わせたミックスだとミスマッチが起こるのも解ります。現代はトランス電源のプリメインアンプやハードウェアを介しての完成版ではなくPCから直接イヤホンで聴いたときに完成していなくてはならないので自ずからスピーカーも変化していないといけないわけです。

私もいまだに使用していますが40年以上たってもスタジオのコンソールに見かけるヤマハのNS-10もこのモニタースピーカーの中でベストセラーといわれています。小型で低音は薄く中域から高域にかけて硬く盛上がったようなトーンが逆に楽器の位置を明確にして判別しやすいとレコーディングで重宝されました。作業での小型オーディオ再生を想定してのチェックや自宅でのSN比が悪いレコードやカセットテープのようなアナログ音源をきらびやかに再生させるのにいいバランスでしたが、80年代のデジタル音源の出始めにはペラペラのトーンに驚いたものです。現行のモニタースピーカーの評価は環境や人によって全く違うのでアテになりませんが確実に言えるのは今のパワードモニタースピーカーのほうが昔のNS-10より音楽的にデータ音源を再生するにははるかに上です。とはいってもこのJBL LSR305のトーンはいたってノーマルで地味に聞こえます。よくフラットなんかと表現しますがそんな簡単なものではなく、最終的に完成版のサウンドがそのまま小音量でもスンナリ出てくるような感じ。わざとらしい解像度もなくシンバルの生音はこうだというトレブルが自然に。ローはそれなりのパワーがあって低音調整SWで最小に設定してもベースラインやバスドラの胴鳴りを再現します。デスクトップパワードスピーカーにも老舗スピーカーブランドに脈々と流れる伝統のようなトーンがしっかりあるのが恐ろしい。古いディスクや新譜も同じ質感で再生しジャンルもジャズからロックまでカバーするのがある意味業務用的なチューンナップされているようです。中国生産なのでコストパフォーマンスは大変高く、ペアでちょっとしたハイエンドオーバードライブ1個分です。現地生産に拘った某ヨーロッパメーカーの1/3の価格なのですがトーンは文句なし。

このおかげでアナログスピーカー2セット、パワード1セットのスピーカーを切り替えるためにモニターコントローラーなるものも入手。コンパクトなスタイルならMACKIE Big Knobのパッシブタイプ。原音を変化させない単純なパッシブスイッチですが若干レベルは下がります。ヴォリュームノブは滑らかでスムース。アウトが2系統なのでもう一つはパワーアンプ経由、スピーカーセレクターで2セットのパッシブスピーカーの切り替えをできるように。ラインケーブルはここ数年定番の赤いベルデン88760とノイトリックプラグ。アクティブスピーカーはそれぞれ電源が必要なので専用タップ同じ条件で電源供給します。

アナログ環境だとオーディオ的な切り口が付加価値を作り出しマニア的見解が盛り上がりましたがデジタル系の機材やパワードスピーカーはあくまで道具という位置づけが強い傾向です。樹脂やプラスチックキャビネットが多く卓越した木工技術も必要ありません。アンプとのバランスも無いのでスピーカーのセッティング方法、ラインケーブルや電源回りしかアナログ的チューンはありませんのでコストは抑えられてシンプル。オーディオを取り扱うショップにはほとんど在庫していないのでチェックはDTM売り場のある楽器店で。 

よく考えてみるとCDをケースから出してプレーヤーやドライブに入れるのも最初の1回のみというのも多い今日この頃。


JBL 4312XP メンテナンス

2017-09-25 22:09:15 | AUDIO

かれこれ25年のお付き合いになるJBL4312XP。スタジオモニターなのですが今では大型スピーカーの部類になってしまう中途半端なスペックで何故かいまだにロングセラーシリーズ。1982年のリリースからかなりのモデルチェンジをしてきても基本スタイルは変わりません。音楽メディアがアナログからデジタルに徐々に移行していった時期なので数年ごとに新モデルを出せる環境も存在していましたが同時にオーディオというジャンルの縮小が始まったのとリンクしていきます。同じ時期にはBOSEが樹脂キャビネットの小型スピーカーを登場させ、大型スピーカーメーカーの代表のようなJBLまでコピーモデルを出す始末。そんな中、JBLでは比較的小型の部類に入る4312はJAZZ喫茶やディスコ、バーなど業務用に浸透していき白い30cmウーファーに強いインパクトを持ったのが懐かしいですね。

最近はDAW作業やyoutube等パソコンでの音楽を聴く習慣がほとんどになりプリメインアンプやCDプレーヤーになかなか電源を入れる機会が少なくなりオーディオセットとして接続していた4312の出番がほとんどない状況になっているのはみなさん同じ。しかし、アナログレコードを聴くとやはりこの30cmウーファーが最高なのを痛感しますが。そこでこの4312をニアフィールドモニターとして使えるのかどうかチューンしてみます。スピーカーはフロア型で使うかデスクトップで使うかで印象は180度変化します。どんなスピーカーでも適切にセッティングするとどれもいい音なのですがオーディオマニアは自分の環境、音楽ジャンルを基準に評論するのでいろいろな話があって奥深く楽しい世界に入り込みます。ハイエンドオーディオはこの複雑怪奇な中で成熟していったのですがデジタル機器やパソコンでの音楽再生の登場で悲しいことに一部のオジサマ世代専用の嗜みになってしまいました。

さてこのJBL4312XPは1990年にリリースされた数ある4312シリーズの中でバッフル板が「リアクションモールデットフォーム」と呼ぶ特殊な硬質ゴムでスピーカーの余計な反射を制御するというデジタル時代に対応した企業努力が垣間見れますが後にも先にもこのXPで終わった悲しい仕様。デジタル対応とホームユースも狙ったキャビネットというこの時代では相反するスタイル。スピーカーを留めるバッフルがゴムという素材の為、中の吸音材は通常の半分しか入っておらず箱感の強いミッドからローが強力にポートから出てきます。ニアフィールドモニターとして聞くと30cmウーファーからのこれでもかという低音とミッドレンジが響き過ぎ。ウレタンスポンジの吸音材を両側面に3cm厚で張り巡らしトラッドな4312のスタイルにすると低音はタイトになりミッドレンジが落ち着きモニター的に変貌します。ポートを塞ぐとより硬くスピーディーなNS-10のニュアンスになりますが少し閉塞感のあるローミッドなのでポート形状を少し小さくするといいバランスになります。流石に定位は抜群でボーカルはセンターにキッチリ位置するので意外とミックスからマスタリングまで自然に使えそう。トレードマークのホワイトの30cmウーファーはネットワークを経由しないでフルレンジで出力されるのでアクティブなブーストした低音ではなく大きさからくる自然な低音はベースラインやバスドラのアタックをキッチリ前に出してきます。ジャズからハードロックまで違和感なく再生するのはJBLの伝統なのでしょうけど特に中途半端に古いスピーカーはちょっとしたアレンジでいつでも復活するんですね。最先端のモデルはイヂリようが無いですが。

結局4年弱の製造期間で終売になった実験的なモデルでしたが最初はアメリカメイドの後にデンマーク製に移行し革新的でヨーロピアン風な感じを出しましたが中途半端。その後の4312シリーズはユニットの変更はありますが全てトラッドなMDFキャビネットを現在も維持しています。基本のトーンは変化有りません。アルニコマグネットの初期モノを大事に使っている知人の4312も同じ音。様々な媒体のメディアが出てきて時代とともに少しづつ進化していても基本のトーンを変えない技術は逆に凄いことです。

秋の夜長には少し大きめのスピーカーでマービンゲイなんかどうでしょう。


レベルの極意

2013-09-27 14:15:51 | AUDIO

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 生産終了になったミニディスク。90年代から約15年間くらいの短い時期でしたが我々カセットテープ世代にとって当時は画期的なデバイスでした。ふと気付くと乗っている車のカーオーディオがMDだったり、昔の音源が膨大にありバンドで重宝していた録再可能なコンパクトレコーダーも故障し当時の音源が塩漬け状態に。リサイクルショップで当時は高価だった状態のいい専用機を入手。有りがたいが需要がないと失礼になるくらいの価格が寂しい。

 

 現在はソースからファイルやCDに編集するにはドラック&ドロップなのでじっくり音楽を聴かなくてもいいがMDだとアナログカセットのダビングのように聞き入ってしまいます。また、様々な音楽ソースからの編集だと音量差を補正するにはレベルの調整だけでいいのがアナログ世代にはたいへんうれしかったりします。便利で作業が早いデジタルもそれぞれのトラックの音量調整は波形編集なんかのソフトを立ち上げなかったりと意外と不便。MDは音はデジタルに近く操作はアナログと大変優秀なデバイスであることには間違いないのですが時代の流れには逆らえないですね。

 アナログカセット編集はレベル調整というこれまた特殊な技がありました。その技を持っている友人からもらうカセットテープはいつもいい音質。音が割れるピークにいかに近づけるかというスリリングな作業が必要です。ヒューマンリミッターというか手動ノーマライズです。デジタルはピークを越えるとノイズに変化しますがアナログはオーバーしても変化しなかったり軽くリミッターがかかり問題を回避する優れモノです。

それらの高度な機能やフィジカルな質感がMDには備わっていて、つい車用の編集MD作りで夜更かししてしまいます。じっくり音楽を聴きながらの作業なのでついウイスキーもすすんでうとうと。何曲か曲が進んでいても後でマークを入れると問題ありません。やっぱりいいものだ。


4312

2012-06-29 20:40:05 | AUDIO

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オールタイム・ベスト 1977-2011~イン・ザ・ブリンク・オブ・アイ~

オーディオ環境がPC主体になってしまったのでJBL4312のようなミドルクラスモニターの存在感が怪しくなってしまった。スペース上、横にスピーカーを並べられないのでどうしても奥の高い位置になってしまう。 プロ用スタジオのラージモニターが高い位置から下向きに設置されているのでそんな雰囲気も少しだけ味わえます。

オーディオの世界では古くからの言伝えやお決まり事がたくさんあるのでそれとスタジオセッティングとは相反するパターンが多くあります。結局、聴いて良ければすべて良しですが音の質感は目的が違ってもオーディオフリークは定番スタイルにハマっていなければ否定的な話をしてしまう傾向にあります。

それからするとツイーターが耳の位置じゃなければならないのでこのような高い位置に4312を上げると全く話になりませんがそれがどうしていいのです。最初はツイーターを外側にして横向きで設置しましたが距離が無い為ステレオ感が全くありません。定位はモノラルに近いのでクッキリしていますが奥行きが全くない。ウーファーがネットワークで低音設定になっていなくストレート30cmフルレンジなので近寄ると尚更モノになっていきます。

ツイーターが下に付いている4311がこの状況では最高なのですが逆さまにしてロゴが逆になるのもおさまり悪い。なのでそのまま上にあげて少し内側に振ると素晴らしく落ち着きました。4312をツイーターとスコーカーが耳の位置にセッティングするとどうしてもダイレクト過ぎます。アッテネーターを絞って使っていましたがこの高さだと程よくマイルドで低音もタイトにまとまります。今まで20年使ってきて一番いい状態。これで聴く「TOTO」のリマスターベスト

「In The Blink Of An Eye 1977-2011」はこれまた強烈です。

4312はやっぱりスタジオモニターなんですね。


モニターチョイス

2012-05-07 22:09:48 | AUDIO

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DAWソフトでミックス作業をしているとメインモニター以外に比較用として様々なスピーカーが必要になります。一番小型だとPC用の簡易アクティブスピーカーでいいのですが昔に自作したTangBandの5cmフルレンジを引っ張り出してセットしてみた。スペース上、PCディスプレイの下に潜り込ませるには高さがあり過ぎたので15cm程切ってダウンサイジング。バスレフポートを小さく裏にもっていき吸音材も多めにチューンしたらいい感じに。さすがに昔にマスタリングしたCDは非力だが最近の音圧があるモノはクリアで丁度いい。

それにしても安くて高品質なフルレンジのTangBand。8cmも5cmもバランスは最高で品がありどんなキャビネットに入れても再生能力は別格。小音量で流しっぱなしにするならこのサイズが一番疲れません。情報量が程良く劣化しているのがyoutubeとマッチするのでしょうね。

こうパッシブスピーカーばかりあると一つくらい流行りのアクティブモニターがあっても良い気がしてくる今日この頃。