Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

Bob Burt Custom Amp

2022-01-26 22:43:42 | AMPLIFIERS

チューブアンプの原点回帰とも言うような最小限のレイアウトでチューブトーンを満喫できるアンプがこのボブバートカスタムアンプ。ボブバートといえばランドグラフ直系のハイエンドペダルメーカーとして有名ですが本業はアンプキャビネット製作。この個体は6V6GT、12AX7、5Y3各1本のフェンダーチャンプやプリンストンスタイルのオリジナルアンプです。キャビネットはデラックスより一回り大きく12インチスピーカーがゆったりと鎮座する雰囲気で無垢マホガニー単板をフィンガージョイントで組上げた渋い一品。

アンプ部はハンドメイド感満載のPTP配線がビンテージ感を盛り上げます。コントロールは1V1Tのシンプルなレイアウト。5W前後の出力ですが12インチスピーカーとオープンバックのキャビネットからエアー感のあるゆとりのある音量で、決して部屋での練習用アンプではありません。整流管と6V6、1本なので小音量でもヘッドルームに薄っすらとコンプレッションかかり心地いい弾き心地で音量を上げるとディストーションが抑え気味のナチュラルなサスティーンの上質クランチがやってきて、コンプ感の少ないブースター系のペダルがあれば更に粘ります。ストラトキャスターのリアPUが極太で出力されますが、ハムバッカーもスムースに鳴ってくれるのは余計なチャンネルやエフェクトが無く真空管オンリーのヘッドルームの仕業でしょう。

フェンダー直系のミッドレンジに比重を置いたトーンセッティングなのでスピーカーをブルーススタイルのエミネンスではなくシンプルなアルニコスピーカーが程よく輪郭がシャープになるかもしれません。チューンナップを施したくなるアンプですがもう少しオリジナルのトーンを探っていきます。

レオフェンダーがツイードアンプをデザインした時点でエレクトリックギターのおいしいトーンは既に決まっていました。この基本になるシングルエンドアンプの構造を変えずにキャビネット容量、スピーカー形状で様々なバリエーションモデルを作っていったというのも豪華な時代。これはブラックフェイス登場の60年代からも統一感がありフェンダーアンプのイメージに絶対的なものをもたらしました。同じチューブレイアウトでもスピーカーのインチ違いで別なネーミングのアンプが存在するところにフェンダーアンプ地獄を誘発してしまった事実もありますが。

現行のアンプキャビネットのほとんどがMDF等の集成材系ですがフェンダーは70年代までパイン単板キャビネットのフィンガージョイント工法、バッフル板は合板のスタイルにこだわりました。それが立上りの早いフェンダートーンの基になっています。マーシャルアンプがバーチ合板を使い続けたのもトーンを維持する理由の一つでしょう。単板のキャビネットに貼り付けたツイードやトーレックスの柔軟性のあるカバーリングは耐久性を求められる旅行ケースにヒントを得た発想。それはレオフェンダー特有の実用性と洒落かもしれませんね。


Solid Mahogany Speaker Cabinet

2020-12-10 11:09:00 | AMPLIFIERS

12インチ1発のできるだけ小ぶりな無垢材のスピーカーキャビネットを探していましたが、見つけたのがイメージより二回り程大きいオープンバックのマホガニー材の家具調キャビネット。内部に1991とデイトが打ってあったので29年経過していい感じで乾いた雰囲気です。重量はスピーカー搭載しないで15kg前後といい重さです。バッフル板も無垢マホガニーで取り外しはできません。全体的にモッタリとしたデザインはギターアンプやオーディオスピーカー等を制作する方面ではなく家具製作の雰囲気を感じ取ることができます。バッフル板は経年で亀裂が入って拡がりかけていましたがクランプをかけられないのでタイトボンドを充填。元々が木の風合いを重視した未塗装なので経年変化は避けられません。

今後、状態を維持するため水性のウレタンクリアで木材の呼吸を止めてしまいます。ペーパーで下地を処理しハケで3回ほど重ね塗りを施しました。フロントのサランネットをビンテージラジオ風なものに張り替え、メサブギーのウッドキャビネットを意識した感じに。スピーカーはエミネンスのカナビスレックスの12インチ。麻のコーン紙を使用しどんなジャンルやヘッドアンプにマッチするフラットなトーンで個性は全くありませんがギターアンプキャビネットには最高。クランチからディストーションに特にいいですね。

マーシャル2061Xのクランチとの相性が良くこちらがメインのキャビになりそうです。ソリッドウッドキャビの硬いイメージはあまりなくパイン材を使っていた時期の古いツイードフェンダーに近い雰囲気。タイトな後面開放キャビが無駄なローもカットしビンテージを意識し過ぎないスピーカーとのマッチングで室内でのリファレンス用には最適なトーンを出力します。DVマークのトランジスタヘッドやチューブのマーシャルでもどちらもいい感じということはキャビネット自体の個性が全くないというキャビ本来の姿かもしれません。スピーカーのジャックプレートは厚めのアルミ板でのDIY。


FENDER BLUES JUNIOR Ⅲ

2020-03-27 18:06:14 | AMPLIFIERS

80年代に入ってフェンダーは長くアンプの不遇時代に入ります。70年代中盤から歴史のある真空管ギターアンプのノウハウと音楽シーンのミスマッチが次第に大きくなり、50~60年代のビンテージフェンダーアンプを求める声が大きくなっていったのも事実でした。80年代に入ってCBSから独立した新しいフェンダーは真っ先に手を付けたのが古き良き黄金期だったフェンダーを復活させることでした。そんな中、往年の名器のリイッシュとは別にビンテージの質感と現代的なトーンを持ち合わせたモダンなラインナップがプロフェッショナルチューブシリーズとしてリリース。50年代のツイードアンプのキャビネット形状を世襲したのがこのシリーズで80年代の後半に出たこのシリーズは最初10インチ15Wのプロジュニア、12インチ45Wのブルースデラックス、10インチ×4のブルースデビルの3種類。90年に入り一歩遅れて登場したのが12インチ15Wで50年代のツイードアンプのキャビネット形状を世襲したこのブルースジュニア。

コンパクトキャビに12インチスピーカーを搭載。EL84にマスターボリューム、3バンドトーンコントロールにスプリングリバーブまでと豪華な内容に聴感上40Wクラスの出力と全て完結してしまうハイスペック。そんなことから現在まで様々なモデルチェンジをし生産完了品と言われてもいまだに新品が手に入るほどのロングセラーアンプ。

デビューからツイード、ブラックトーレックスバージョンと変化、2000年に入ってカリフォルニアコロナからメキシコへ製造工場を移し2010年にブルースジュニアⅢにモデルチェンジ。様々なトーレックスカラーと搭載スピーカーのバリエーションの限定モデルをリリースし最後の現行モデルはブルースジュニアⅣ。

現代の高出力のピックアップやペダルの使用も想定した若干ハイ上りのトーンセッティングなためダークなビンテージツイードトーンを求めるとちょっと肩透かしを食らいます。今回はスピーカーを純正のエミネンスからセレッションクリームバック8Ωに交換してスピーカーケーブルも色々と変えてみました。今のところマッチするのがベルデン8470がボトムが低くていいかもしれません。すべてのジャンルに対応する程のトーンレンジがあるためにビンテージライクなシングルコイルだとさらにプレゼンスを加えたようなまとまりつかないトーンの恐れもあります。基本をクランチ設定でドライブペダルやケーブルでバランスをとるのが基本的なセッティング。これだけのロングセラーアンプなのでビンテージツインリバーブをモチーフにしたいろいろなチューンナップもあるようで試してみたいものです。

音の通りは抜群で30人クラスのライブバーだとフルバンドでもノンPAでOK。それでもアンプスタンドを使用してヴォリュームは半分以下です。重量14kgとセッションなんかには重宝するサイズ。


NEWキャビ

2019-06-24 15:49:13 | AMPLIFIERS

DVマーク用スピーカーキャビネットをいろいろと物色しています。王道のマーシャル1922はライブでは安定した出力が保てますが何せ重量がお手軽ではありません。セレッション12×2の宿命ですがこの容量があっていかに軽量化するかが今回のテーマ。フェンダーアンプに長年慣れてしまっているのでタイトな密閉キャビよりエアー感満載の後面開放キャビを見つけてチューンナップしていきます。珍しい後面バックパネルの上部が最初から無いタイプで様々なスピーカーユニットを取り付けやすくなっているようなキャビですが開放過ぎるので上部パネルを増設。イメージする雰囲気はブルースブレーカーのようなスタイルです。

キャビ重量を決定するものが搭載するスピーカーユニットです。最近はエミネンスのトンカーがお気に入りなのですが巨大なマグネットが軽く6.5kgオーバーなので今回はご遠慮してもらって4kg前後のセレッションやジャンセンも考えましたがエミネンスのネオジウムマグネットを使用した極軽量のLil' Texasを載せることに。ユニット総重量1.8kgの最軽量で余裕の出力100w。ハイスペックなビンテージをイメージしたトンカーよりモダンなディストーションの重心の低いトーンがいい感じです。1発で十分な音量と軽量化を実現した素晴らしいユニットにやっと出会えた感じです。

さてこのエミネンス「Lil' Texas」パトリオットシリーズは付け加えたようなトレブルが無くビンテージを全く意識していないところが潔くて太いトーン。下地になるクランチがドッシリしてペダルでブーストしてもミッドレンジが暴れません。ローミッドのエアー感はこのくらいの容量のキャビになれば1発でも十分に出力されます。マーシャル2061Xでもトレブルが刺さらない理想なマッチングはこれから出番が多くなりそうな予感。ソリッドステート、チューブどちらにもうまく混ざり合うスピーカーです。

キャビ内のスピーカーケーブルはお気に入りのLAVAケーブルのTEPHRA。合計8本の線材の加工で手間がかかりますが原音のダイレクトさは癖になるほどです。マーシャル伝統の大型コンボアンプスタイルのキャビネットですがロゴのサイズが合っていないところが若干カスタム風。キャビネット総重量12kg弱の軽量化に成功です。

アンプを探求していくとやはりスタジオでバンドアンサンブル上でのパフォーマンスが重要になります。しかし、歴代のビンテージアンプはその物量とトーンが比例した結果出来上がった音なのでスタジオで普段使いが難しくなっていくのが現実です。車両があっても普段からストレスなくスタジオに持込可能なアンプ重量は13kgというのが現実的なボーダーラインでしょう。コンボアンプの基準、ツインリバーブの重さは今になっては時代遅れですね。メーカー的にはあまりお勧めしないと思いますが一瞬で4kgの軽量化を図れるネオジウムマグネットのスピーカーユニットを使用する方法もアンプチューンナップの一つです。


DV MARK DV LITTLE GH250 & VAN DAMME speaker cable

2018-09-05 22:29:12 | AMPLIFIERS

コンパクトで使いやすくペダルエフェクターのマッチング最高のヘッドアンプがこのDV MARK。50Wでプリにマイクロチューブを仕込んだDV MICRO 50 CMTでこの夏に野外ライブに挑みましたが余裕の使用感。そうなると基本モデルになるMICRO50を嗜んでみたくなりますが少しアヤを付けて同モデルのハイパワーバージョン「DV LITTLE GH250」を入手。

コンパクトなヘッドアンプはベースアンプ業界が最初でしたがここにきてやっとギターアンプにも。マーシャルやフェンダー等のトラッドなチューブサウンドを追い求めるのがお約束ですが全くの別アプローチでギターのオイシイところを出すDV MARKは外せないブランドになってしまいました。さてDV LITTLE GH250は実にシンプルなコントロール。DV MICRO 50 CMT Ciro Mannaシグネーチャーは一見2チャンネルアンプのようですがシングルチャンネルにチューブプリを経由するかしないかのレイアウト。トーンも2チャンネル同時に調整出来て細かい設定も可能でしたがDV LITTLE GH250は完全なスリッドステート独立2チャンネル仕様。クリーンはPA的なフラットクリーンですがJCとも違う質感。アーチドトップジャズギターのメローなフロントピックアップを再生するのに最高なトーンセッティングになっています。ブースター的なペダルでザラつかせるとフェンダーやVOXのクリーンクランチが可能。オーバードライブチャンネルは可変幅の大きい歪設定で王道の滑らかなディストーションサウンド。ドライブチャンネルでクランチ設定すればペダル無でフェンダーブラックフェイスやツイードも再現できます。リバーブはデジタル臭くなくモダンなスプリングリバーブでお風呂場臭くならないのが程よい感じ。8Ωスピーカーで150Wの出力があり余裕のヘッドルームと音量なのでキャビネットの選択でほとんどの演奏環境に対応します。ソリッドステートギターアンプ特有な線の細いトーンではなく中型以上のチューブアンプの押し出しの強さ。これはマークベースで培ったノウハウが基になっているのを再確認します。

癖が無く個性も無いですが、選ぶスピーカーキャビネットとアンプのコントロール次第でモデリングアンプ並みの再現力がありますが、好みのポイントを探すまでは多少使い込まないとなりません。トラッドな名機のイメージをとことん消している分、ジャンルに偏らない販売戦略が難しくもあり発展的でもあるように感じられます。トラッド信仰の強いギタリストはこのコンパクトヘッドを色物的に見るのは当然の流れですが最近の伝統あるアンプメーカーの新商品はどれも失敗した感のあるものばかりなので面白い立ち位置なのは確かです。また、最近のハイエンドコンボアンプにありがちなイメージと違った時ダメージも最小で回避できるというメリットも。デザイン性重視のイタリアモノにありがちな突飛なご愛敬というところが全くなく、シンプルで合理的な操作性や大きさは実用的に特化しています。

また、ヘッドアンプには避けては通れないのがスピーカーケーブル。今のメインのLAVAケーブルと新たにブリティッシュのヴァンダムの登場です。BLUE 2D5という7.6mm径のシンプルな2芯ケーブル。ジャケットがソフトで取り回しがひじょうに楽です。DV LITTLE GH250はスピコンジャック搭載なので迷わずノイトリックのスピコンプラグを装着。使用してみるとこんなにいいプラグもありません。ハンダ不要でケーブル固定の安定度ははるかに高い。ヘッドとスピーカーがセパレートになっているアンプはスピーカーケーブルの抜き差しは頻繁で耐久性、接続の精度はダントツでしょう。さて、このお初のヴァンダムは外見と違いイギリス臭くしっとりと落ち着いたトーン。フラットでムーディーな質感ですが、ゲインは力強く曇ったトーンではありません。余計なトレブルも調整されてアメリカンのLAVAと比較してもお国柄が音に反映されている感じです。ビンテージを意識し過ぎたピーキーなヘッドやスピーカーに合わせるとバランスが取れそうです。久々にいいスピーカーケーブルに出会いました。しかし、可変幅の大きいDV MARKならどちらのケーブルでもイケてしまうのが良いような悪いような。

チューブ、アルニコスピーカー、ポイントトゥポイントというものが古き良きモノになっていかないとならないんですけどね。