Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

CHAKI アップライトベース

2019-03-26 08:11:06 | BASS GUITARS

アコースティックを掘り下げると避けては通れないのがコントラバス。ジャズは勿論、吹奏楽やスラップを多用したロカビリーやロックでも使用されますがバンドではなかなか扱うことが難しい代物。といってもエレクトリックベースでは味わえないトーンが満載。バンドではそれなりの音量で使うために格闘してみます。コントラバスでファンクするくらいの音量という目標なのですが。

現物は楽器店でもお目にかかれないし、国内製造も限られた工房生産のようでLM系のようなリーズナブルなのはアジアメイドしかないのが現状です。国産モノだと中古を探さないとなりませんが状態もピンキリ。オークションでは引取限定とハードルが高い。そこで出会ったのが国産のチャキのコントラバス。1960年代のモノにしては状態がいいようです。大きなダメージもなくネック指板もメープルの塗りではなく縞黒檀。ボディはオール合板ですが乾ききっていて鳴りもなかなかのモノ。しかし、この「チャキ」ブランドも今は無いようです。

さて、このベースは吹奏楽やクラシックで使われたようで弦高が素晴らしく高くブリッジも経年変化で変形してたのでそこだけアジャストタイプの新しいブリッジを入手して限りなく低い弦高を目指して加工です。弦はダダリオのヘリコア・ピチカートライトテンションに。エレクトリックベースとはテンションの根本が違いますが低いアクションからのザラついたサスティーンは極上になりました。そのトーンをそのままピックアップで増幅するのがこれまた奥が深い。現在のアコースティックギターのPUより歴史があるコントラバスのPUの世界ですが取付方法や複数のマイクと併用したりと未知な部分です。ジャズベーシストだと当然の領域なのですがジャンルや演奏環境でも方向性が全く変わりますし情報が少ないのが悩ましい。こんな時、強力な海外サイトがあるから助かりますが。

PU格闘編は次回のお楽しみです。


YAMAHA BB1200

2017-02-16 22:50:02 | BASS GUITARS

昔大変お世話になったドラマーT氏から半年以上前にお預かりしたビンテージなヤマハSB1200。フラットワウンドを張ってメンテナンスしてとの依頼。ドラマーなのにベースにも精通していてボブマーレ―&ウエラーズのアストンバレットが日本公演の後から使用していたヤマハBBと同じ音でというマニアックなリクエストです。昔のオーナーがかなりラフ改造を試みた跡があり、いい状態でないのでいつものWEの単線とコーネルダプラーのキャパシター、CTSポットとスイッチクラフトのジャックでリノベーション。

ヤマハBBシリーズは国産のオリジナルベースの先駆者的位置にいていまだにベーシストは1本というベースのようです。確かにフェンダープレジションベースのレイアウトを世襲し当時のハイエンドの代表仕様スルーネックというタフな構造。今でもがっしりとした作りでフラットを張ってもネックはビクともしません。リアにハムバッカーを入れようとしたような素人作業の座繰りがあったのでベークライトでプレートを作り蓋をしました。ベースのキャパシターはビンテージフィルムを使うと値と音が一致しないことがよくあります。求めるのはウエラーズサウンドですからトレブルが最小でも粒立ちが重要。ビンテージのオリジナルのように0.1までいくとゲインが減少するし0.022だと丸くなりません。0.047~0.05あたりの少し抜けているものでバッチリなのがこのコーネルダプラーの0.05。いろいろと試してみてフラットワウンドにベストマッチなのがこれで質感もパワフル。上質な70年代のフェンダーPBサウンドを味わうことが出来ます。EMGも有りかと。

70年代後半、国産メーカーのリッチなカタログを穴が開くほど読んでいた時期のハイエンドベースの定番のヤマハ。木工技術の精度は今手にしてみてもアコースティック楽器由来の完成度を堪能できます。80年前後はメイドインジャパンが老舗フェンダー、ギブソンを超えるオリジナルを目指した時期。特にベース業界はその色合いが強く、海外ミュージシャンに対しての積極的なエンドースもあって瞬く間にスタンダードになっていきます。それは、ドラム、ベース、鍵盤の順でギターが一番立ち遅れ感がありました。その後、低迷していた老舗海外メーカーがビンテージを強調したスタイルで復活し完全なオリジナルの国産ギターの登場は一部を残し皆無になってしまいます。保守的なギタリストたちが新しいオリジナルの開発を阻害しているかもしれませんね。

オリジナルというと突飛なデザインで勝負してしまう当時の中、このヤマハBBはトラッドなフェンダーとアレンピッグからのスルーネックを合体させたスタイル。ミュージックマンに似たブリッジと当時の海外ハイエンドベースをかなり研究していて、タイトなキャビティの形状からも本気のコダワリが伺えます。それでいてトーンはいたってスタンダードなPB。

これはギター弾きも1本持っていたいベース。


1966年 Jazz Bass

2014-08-06 20:59:44 | BASS GUITARS

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10数年ぶりに粉々になった66年のジャズベースがリペアから戻ってきて久しく出番の無かった66年の2号機。オーナーのZ氏は復活した1号機がお気に入りでジャズベースはそれで用が足りると判断。それまで10年以上活躍したこの2号機を手放すことに。「楽器は弾いてナンボだからさ」「新しいアンプも欲しいし」なんて申していましたが、ケースから出した瞬間のオーラが凄いのなんのって。2人で一瞬固まった後に満場一致で手放すのをやめにしました。

実際のプレイで出来たモノホンのダメージドには迫力があります。ビンテージフェンダーにはそんな妙な説得力があります。トラスロッドを全く絞めていないのにビクともしない強靱なネック。絶対的なトーンは弾き手がとやかくいう次元ではありません。

同じ年代のモノでも1本1本トーンが違います。その違いを尊重しながら弾かなければいけません。「イメージのトーン」なんていっているうちはまだまだ子供。このレベルの楽器にうまく弾かせられてナンボでしょうね。

 


66年製ジャズベースⅡ

2013-06-19 17:13:09 | BASS GUITARS

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ごく普通の1966年製フェンダージャズベース。知人のベーシストZ氏が10年以上前にロックバンドのライブでプレイ中ストラップが外れ落下し乾いたボディが一瞬で粉々に。落下と激しいロックの中で本人もエキサイトしたのが感じとられる残骸だった。

ネックはヘッドを残し指板ともに細かいピース状。ボディは3等分に割れPUガードでつながった状態。数日後、Z氏本人が大きい紙袋に入れてそれを持ってきた。ピックアップは生きていたため取り外し、数か所のリペアショップに持ち込んだがどこも部品取りにするかオブジェにしかならないとのこと。

何年かたって幻のリペアマスターS氏のところにダメもとでこの残骸を持参した。あっさりと「治るよ!でも今忙しいから急ぐなら無理だけどね」と簡単な返事。その裏には壊れてすぐに持ち込めば良かったのに1~2年経過していたので各残骸が変形してそのパーツを修正してからの復元で10年かかったのだろう。残骸の写真が無いので違いがはっきりしないがそれはもう奇跡の復元です。今はレリックとして認知されているが元々はビンテージ楽器をその姿を変えずにリペアするという技なのでボディの復元はどこが割れたかがわからないように傷が残されている。ネック裏は人に見えないから余計な加工はしませんというところが玄人の意見。当然レリック依頼があっても受けないといってました。

S氏曰く、出来るだけ現存している材用で直すのが鉄則らしく別の木材等を接ぎ木して直すのを最小限にするのが経年変化を抑えるポイントらしい。形有るものは全て直るという持論はまさにリペアマスター。その工房には安いフォークギターからチェロ、ビンテージチューブアンプからデジタル機材まで山と積まれてありました。

オーナーのZ氏はこの66年を壊した数年後、また全く同じ66年を購入。しかし壊れた66年が忘れられないと日々思っていた矢先に再会。現物に再会した瞬間、音・フィールは昔のままだと感激。行方が分からなくなって数十年たった友人や家族に再開できた感じに近いとコメント。その気持ちよくわかります。

オーナーZ氏は先妻、後妻とともに仲良く暮らすことになりました。

メデタシ。






フラットワウンド

2011-07-11 14:19:00 | BASS GUITARS

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自作したPBの弦をフラットワウンドに交換した。考えてみると好きなベーシストのほとんどが60年代から活躍している人ばかり。その時代はフラットワウンドが標準でレオフェンダーもエレクトリックベースをデザインした時はもちろんフラットワウンドだった。しかし、我々世代が目覚めたときは70年代後半のディスコミュージック全盛。ベーシストはお約束のようにチョッパーベース(死語?)のラウンドワウンドでミュージックマンよろしくという感じだったので、二回りしてこのフラットワウンドが実に新鮮だ。

後藤次利の「チョッパーズブギ」やルイスジョンソンがチョッパーベースの代名詞だったが今よく聞いてみるとフラットワウンドのトレブル全開といったような質感でもある。あくまでアナログ楽器の延長上で平坦なエイトビートファンクにシンコペイト強調スラップでグルーブ!というようなつかわれ方からベースソロの大道芸的見せ場の用途がチョッパーだった。それがよりモダンで現代的なスラップと呼ばれたのは80年代に入ってからのマーカスの登場からである。

ラウンドワウンドのレンジの広いトーン、緩いテンション、アクティブ化していくサーキット、進化していくベースアンプには最高のマッチングで瞬く間にスタンダード化した。となるともう一方でレジェンドに対する欲求も芽生えジェマーソン、ダックダンと通ってピノとなっていく。というわけでフラットワウンドを張ってみたがさすがにテンションはキツイ。しかし、このテンションのおかげで弦高を限りなく下げてもビリつきは最小限度。右手でブリッジミュートをかけながらピック弾きでポールマッカートニーからミーターズのジョージポーターJrまでいける。スラップしても図太くスライ風。パッシブのPB、JBでビンテージトーンを目指すならフラットワウンドを張るだけで決着がつくような気が。いや張らなきゃビンテージトーンは出ないという気がしてきたくらいだ。これまた指の力も付くし一石二鳥。

問題なのが楽器店に置いていないということだ。大型のショップでもこのダダリオの1種類だけ。それも売れていなそうで日に焼けたようなパッケージが数個だけ。「1ランク細いフラットワウンドならいいんだけど」なんて言える次元でもない感じ。

ベーシストのみなさん!フラットワウンド普及のために運動してくださいな。