渋い!フィル・アップチャーチの1972年リリースの「DARKNESS, DARKNESS」。この時代とてもアンニュイなレコードを出していたBLUE THUMB RECORDSモノだ。
フィルアップチャーチは60年代からのブルース、ジャズ、ソウルのジャンルを超えたギタリスト。ジョージベンソンのサイドメンとして知れ渡ったがこの人も70年代前後の名盤ソウル作品には必ずからんでいた。60年代からソロ作品を出していてこの72年の本作が脂の乗り切った30歳の時にリリースした「DARKNESS, DARKNESS」。この時代特有なヨーロピアン的なジャケットにアフロヘアー。JB似なタフネスファンクの様相だが大変品のあるブルースギターが聴ける。
それもそのはず、プロデュースは天下のTommy LiPuma 、ホーンアレンジはNick De Caroと
BLUE THUMB の鉄壁のコンビ。バック陣はリズムギターにArthur Adams、ベースにChuck Rainey、ピアノにJoe Sample、ドラムにHarvey Mason、パーカッションBobbi Porterhall、エレクトリックピアノにDonny Hathawayと少数精鋭。メンバーを見ただけでもアタリの予感だ。
全体にタイトなファンクリズムセクションと大人のホーンアレンジの中で弾きまくるフィル。シャープな箱モノ系ギターのトーンたがギブソン程太くない。ジャケットを見ると60年代後半に数年だけ作られていたフェンダーのジャズギター、コロラド。この音かは不明だが実にソウルフル。ブルージーなシングルノートでひたすら弾きまくるが絶頂でコードソロになるところはやはりジャズギタリスト。フェンダープレベの枯れたパッシブトーンのChuck Raineyが素晴らしい。時代的にスタジオの空気が感じる一番いい71年の録音だ。
90年頃、小さいバーでオルガンのジミースミスの横で激渋なブルースギターを弾いていたときは既に白髪になっていた。
こんな熱い2枚組のアルバムがリリースされていた72年に万歳!