K氏所有のハモンドオルガンL-112の真空管を全部交換した。元々の真空管には「HAMMOND」と印字しているので一度も取り替えてはいない可能性がある。このオルガン35年目にして初めてのお色直し。真空管の凄いところはパーツが劣化しても音が出なくなることはない。ゆっくりと変化していく為、たまに弾いても違いがわからない。その緩いところがまたいい。
リバーブやトレモロ、パーカッションなどのエフェクト部全てに真空管が絡む。全部で11本の交換だが一瞬で終わってしまった。真空管の中ではアメリカの軍用管で日本で1本しか在庫がないものもあり調達も大変である。でもやっぱり音がいい。何か倍音が増えて音量が上がったような気がする。トレモロ、リバーブは素晴らしい。パーカッションも派手になっている。このアタック感はデジタルで加工したクリックとは比べ物にならない。
よく見るとこのオルガンは日本ハモンドの正規輸入品なのに118Vになっている。スライダックで118Vに電源を上げてやると何とビックリ。ふくよかにローエンドがついてきてもっと太くなった。トーンが安定するまで2時間ぐらいの暖機運転が必要でスタジオでJAMが終わる頃にいい感じになっていくというのも味がある。ほとんどチョーク式の旧車と同じ感じ。あの無数にあるケーブルを流れて電流が真空管に染渡っていく。楽器の健康状態が目で見てわかるのも大変楽しい。
ハモンドというとレスリースピーカーがセットである。いつかはオプションで取り付けてあるレスリーアウトであの羽を回転させたいと型にこだわるK氏が申しておりました。エフェクトチェンジの左手も熱い!