Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

EMG REVELATION SET

2021-07-09 15:49:42 | PARTS

このNEW CUSTOM TEのために9ヶ月待ってやっと到着したピックアップがEMGプラシャント・アスワニ・シグネイチャーモデルREVELATION SET。国内では在庫がほとんど品薄状態で注文したのが昨年9月、製造が今年の春というほとんど受注生産のような一品です。EMGのパッシブモデルなのでよりマニアックな立ち位置。ブラックポールピースがよりトラッドスタイルを彷彿させる雰囲気でルックスもグッと締まります。

当初搭載していたEMG H4Aは定番のアクティブ85のパッシブ版なのでコンプレッションが効いていてすべての周波数にミッチリと音が詰まっているEMG特有のトーンでした。このプラシャント・アスワニ・シグネイチャーは渋めのアルニコ2マグネットを使用しビンテージスタイルを世襲したスタンダードの風合いの音質。とはいってもEMGですからノイズの無さ、エフェクトとのマッチングは抜群です。歪みの質感はH4Aのミッドレンジを穏やかにし、トレブルの噛みつきが豊富になった感じで軽くクランチトーンでのビンテージ感と歪を注入した時のダイナミクスの反応はまさにトラッドパッシブ。

通常セットのピックアップはリア側が大きくフロント側が穏やかなトーンと出力の設定がなされています。しかし、このREVELATION SET PUはネック側の直流抵抗が若干高い設定。一見フロントPUがブーミーになるように感じますがそこがポイントです。2ハムのマイクセッティングの場合、リアとフロントのトーンキャラクターが異なっているほうがミックスポジションでのクリスピーさが増します。しかし、出力が違うと大きい出力側のトーンに全体像がシフトしていきます。出力が同じでブライトなリアとまろやかなフロントがミックスポジションでの理想ですがそれぞれ単体でのシングルノートの場合はベストとは限りません。また、ピックアップと弦の距離がそのピックアップのトーンのほとんどを作るくらい重要です。距離を近づけるとパワーが上がりますがそのパワーの大部分を占めるのが低音。フロントPUの出力のほうが大きいこのセットの場合、フロントPUを下げて弦との距離を大きくとってもローエンド維持したままリアPUとの出力バランスが同じようにもっていく設定かもしれません。フロントPUが弦との距離でのトーン、出力差の変化が大きく,バランス設定の幅を大きくとれることを想定したものと推測されます。これはあくまで自論ですけどね。ポールピースと弦との距離が1弦でどちらも2mmで抜群の設定が可能。チューニングに追い込む時間が無くなりました。

さて、PUマウントですがやはり男のダイレクトマウント。しかし、これは木ネジで直接ボディに打ち込むスタイルでコンディションがいつも同じバネで微妙な高さを調整するのと違い、PU底面に敷いたウレタンシートでクッションを付けるやり方ですから劣化でウレタンが縮むと調整不能になります。また、このEMGの場合PUの底にケーブルコネクターを配置しているのにウレタンで圧着しコネクターが曲がり接点不良が出てくる可能性もあります。そこでギター製作者のrunt guitars RUNT GUITARS後藤氏オリジナルのEMG専用ピックアップスペーサーがこの問題を解決しました。メープル削り出しの板の下にウレタンシート、ピックアップコネクターやポールピースネジにクリアランスを設け、ストレスフリーなケーブル取り回しを実現しました。PUと弦が限りなく平行に保たれるよう微妙な傾斜をスペーサーとPUの接点部部に設けています。

完璧だと思うEMGパッシブピックアップでも弱点はあります。フルテン状態のギターノブからギターボリュームを落としていくとトレブルの劣化が非常に大きく、スタンダードのパッシブPUとは操作方法を変えないとなりません。これはH4Aでも同じ状態でした。原因がピックアップに付いてくる純正ポットかピックアップの特性か定かではありません。アクティブEMGではパッシブとはトーンが違いますが純正ポットでもトーンはなだらかに変化します。ということはPU本体の特性かもしれませんが打開策はハイインピーダンスのボリュームペダルを使用すると全く問題なく解決しました。ボリュームと歪のダイナミクスをコントロールする方法が多少変わりますがそこは重要ではありません。元々がフルテンで奏でるように設計されたのがEMGなんでしょうね。

しかし、フルテン状態でもピッキングのダイナミクスがつけられ、ビンテージフレーバーなる不思議なピックアップがEMGパッシブのREVELATION SETです。


TONE FINGER EASE

2018-03-12 20:24:25 | PARTS

大昔から変わらないラベルのギター用のケミカルとしては最古のようなTONEブランド「フィンガーイーズ」。1963年発売らしくエレクトリックギターの歴史と共に歩んできた大定番のアイテムです。スチール、ナイロン弦の摩擦軽減、錆からの保護剤として他を寄せ付けないブランド力がある商品ですが使い方を間違えるとギターにダメージを与えることも。木材に直接噴霧せず、クロスに付けて弦だけに付着させるのがコツです。スプレーなので指板にワイルドに吹き付けるのもロックな感じですけどね。その昔はギターを購入するとクロス、ポリッシュ、フィンガーイーズの3点セットがケースポケットに入っているのがスタンダード。

実際に使ってみるとそんなに滑りが良くなるわけではありません。指板、ネック全体に吹き付けていたから、なんとなくスムースな気になっていましたが弦だけに付けるとシリコンというより石油系の質感で錆びを防止するという雰囲気です。滑りを求めるならシリコングリース系のほうがいいですが、べたつかず違和感なく弦の劣化を遅くする目的ならこのフィンガーイーズのほうがいいでしょう。しかし、キャンベルスープのようなパッと見でこの商品とわかる素敵な60年代デザイン。なるほどベストセラーなのがよくわかりますね。


KEN SMITH PRO FORMULA POLISH

2018-03-07 14:26:28 | PARTS

数十年ぶりに楽器用のケミカルグッツの入手です。30年近く前によく使用していたギルドのスプレータイプポリッシュは素晴らしかったのですが入手困難に。カーワックスのような天然素材カルナバ入りなんていうのも使ったことがありましたが今一つ。それ以来ひたすら乾拭きですが、お世話になっているショップスタッフに勧められたのがハイエンドベースの代名詞、ケンスミス・プロフォーミュラーポリッシュ。ノンコンパウンド、マニア向けの独特な香り、スピーディーな輝きとさすがプロ用と感心できるアイテム。柔らかく変質したラッカーには曇ってしまう可能性もゼロではありませんがほとんどの楽器に対応するようです。

今ではかなりの種類のポリッシュやオイルがありますがふき取りが大変だったり塗装を変質させたりするのもあるのでスペック表示は話半分でとらえるほうが無難。ポリッシュは必ずクロスに少量付けてのばすように磨くのが鉄則。このケンスミスは極少量で輝きます。しかし、楽器本体に直接吹き付けるのはご法度です。よくフィンガーイーズをネック指板に多量に使用しローズ指板やメイプルの塗装をベタベタにしてフレット浮きを招いているのもよく見ました。フィンガーイーズも少量を専用にしたクロスに付けて弦だけつまんでを拭いてあげるといいものなのです。

久々にポリッシュで磨いたギターはいいものですね。新たなキズやネジやナットの緩みを発見したり。このようにしっかり魂入れをしてやるとギターが応えて鳴り方も変わってくるのがわかります。そこのスピリチャルなところがここぞの一発のトーンにパワーを与えるものですよね。ちょっとだけ匂いがアイラのシングルモルト風なのがまた良し。


Chicken Picks 2

2018-02-26 23:37:43 | PARTS

 一度使うと病みつきになるチキンピックス。現行のラインナップで厚いタイプを全てチェックしてみます。ピックの裏の滑り止めがその厚さ表示というのも面白いですね。形状と厚さがそれぞれバラバラなのには秘密がありそうです。このピックの不思議なところは厚さが感じられないところ。形と厚さ、エッジ処理がそのバランスを維持しているのでしょう。慣れ親しんだジャズⅢタイプのBADAZZⅢは2.5mmでエッジが一番シャープですがピックの当てる角度でブライトからメローまでのトーン調整が効きます。大きさも厚さの割にコンパクトな印象。先の角度が同じ流れのトライアングルBERMUDAⅢはBADAZZⅢより一回り大きく2.7mmと厚いですが厚さと面積のバランスが同系統で同じ弾き心地。それから比べるとチキンピックスのレギュラーモデルのORIGINAL SERIES REGULAR 2.6mmは定番のティアドロップ。ベースギター用のように一番大きく見えますが実際に弾くと普通な感じ。先の角度、エッジ処理は丸くメローなトーンでこれが定番の雰囲気満載です。シリーズ中一番の3.5mm厚、Shredderはティアドロップの流れをくむレギュラーシリーズで一回り小さくエッジ処理も一番丸く甘いトーン。しかし弦とのヒット角度でこれまた奥深いトーンの演出が可能です。3.5mmという厚さは忘れるほどの自然な倍音と弦に平行にヒットしても滑らかでサイドのエッジで斜めにヒットするとアタッキー。ヴォリューム感があり右手の親指で弦を押し込んで弾くローエンドがピックで再現できます。いいトーンを探すピッキングフォームをあえて見直すきっかけにもなるピック。最近のフェイバリットですね。

ヘヴィーな厚いピックはどうしてもピック自体の質量が増えてアタック時の余計な音が出てしまいますがこの材質はそれが全く無く自然。最近は新しい素材も数々ありどれも硬めのシャープなトーンですが古き良きセルロイドのニュアンスも感じられる材質が熱硬化性樹脂というものらしいですね。詳細は理系の方にお任せですが、厚くなっても質量が軽く1mm厚のアタックとピッキングの滑らかさを実現しています。このあたりの素材は3Dプリンターにも用いられるらしく、推測ですが色といいたまたまピックを作ったら良かったという感じかもしれません。この厚さでカッティングもいけるピックというのも珍しいので是非一度。


Chicken Picks

2018-01-30 15:46:48 | PARTS

ギタリストにとってピックは一番フィジカルなエフェクトと言っていいアイテム。大半のプレーヤーは同じモデルを永く使い続けるのですが最近は新しい切り口のピックがたくさんリリースされています。ピックというとメジャーなナショナルブランド数社で大抵のモノはそろってしまいますがマニアックなピックやアクセサリーは小規模メーカー、ハンドメイド系等世界各国でつくられている今日この頃。

数年前に出たVpickで度肝を抜かれた方も多いですが外見の割には滑らかな感じで分厚いピックを再確認するきっかけにもなりました。そんな中、オランダからやってきた白いのがこのチキンピックス。熱硬化性プラスチックという特殊な樹脂系の材質でマッドな質感。形状もいろいろありますが定番のジムダンロップ・JAZZⅢの流れのBadazzⅢの2.0mmと2.5mmの2アイテムをセレクト。ジムダンのJAZZⅢスタイルの一回り大きい形状ですが大きく感じられず、指に馴染み滑る感じはありません。2.5mmの厚さでも特殊なカットが施されピッキングはひじょうに滑らか。不思議なのが厚いピックにありがちなアタックの独特なノイズもありません。弦のタッチもピックの点や面でとらえることが出来て弦によっての倍音調整も可能。それでいて厚いピックの弱点、コードカッティングもスムース。どのようなパワーや角度で弦をヒットも音楽的な響きがするのが驚きです。使えば使う程弾き手に合うように削れてきていい具合に変化するという醍醐味も。このBadazzⅢは肩の部分も小振りなトライアングルモデルのBermudaⅢのエッジに近く、そこで弾くとよりメローなトーンに。ピック角度によっては親指で弾いたような太いトーンも。スピードと太さを兼ね備えているので今のところ文句のつけようのない完成度のピックがこのChcken Picksです。

ギタリストはピックを変えることに抵抗を感じる人が多く、なかなか冒険をしませんがドライブペダルを一新したような新鮮な感じを体感できますね。しかし、このクォリティーのため価格も普通のピック10枚分。紛失時のダメージは経年変化を含めると数十倍です。なので扱い含めピックに対してより慎重になることになりますがそれもまた良しかもしれません。