このNEW CUSTOM TEのために9ヶ月待ってやっと到着したピックアップがEMGプラシャント・アスワニ・シグネイチャーモデルREVELATION SET。国内では在庫がほとんど品薄状態で注文したのが昨年9月、製造が今年の春というほとんど受注生産のような一品です。EMGのパッシブモデルなのでよりマニアックな立ち位置。ブラックポールピースがよりトラッドスタイルを彷彿させる雰囲気でルックスもグッと締まります。
当初搭載していたEMG H4Aは定番のアクティブ85のパッシブ版なのでコンプレッションが効いていてすべての周波数にミッチリと音が詰まっているEMG特有のトーンでした。このプラシャント・アスワニ・シグネイチャーは渋めのアルニコ2マグネットを使用しビンテージスタイルを世襲したスタンダードの風合いの音質。とはいってもEMGですからノイズの無さ、エフェクトとのマッチングは抜群です。歪みの質感はH4Aのミッドレンジを穏やかにし、トレブルの噛みつきが豊富になった感じで軽くクランチトーンでのビンテージ感と歪を注入した時のダイナミクスの反応はまさにトラッドパッシブ。
通常セットのピックアップはリア側が大きくフロント側が穏やかなトーンと出力の設定がなされています。しかし、このREVELATION SET PUはネック側の直流抵抗が若干高い設定。一見フロントPUがブーミーになるように感じますがそこがポイントです。2ハムのマイクセッティングの場合、リアとフロントのトーンキャラクターが異なっているほうがミックスポジションでのクリスピーさが増します。しかし、出力が違うと大きい出力側のトーンに全体像がシフトしていきます。出力が同じでブライトなリアとまろやかなフロントがミックスポジションでの理想ですがそれぞれ単体でのシングルノートの場合はベストとは限りません。また、ピックアップと弦の距離がそのピックアップのトーンのほとんどを作るくらい重要です。距離を近づけるとパワーが上がりますがそのパワーの大部分を占めるのが低音。フロントPUの出力のほうが大きいこのセットの場合、フロントPUを下げて弦との距離を大きくとってもローエンド維持したままリアPUとの出力バランスが同じようにもっていく設定かもしれません。フロントPUが弦との距離でのトーン、出力差の変化が大きく,バランス設定の幅を大きくとれることを想定したものと推測されます。これはあくまで自論ですけどね。ポールピースと弦との距離が1弦でどちらも2mmで抜群の設定が可能。チューニングに追い込む時間が無くなりました。
さて、PUマウントですがやはり男のダイレクトマウント。しかし、これは木ネジで直接ボディに打ち込むスタイルでコンディションがいつも同じバネで微妙な高さを調整するのと違い、PU底面に敷いたウレタンシートでクッションを付けるやり方ですから劣化でウレタンが縮むと調整不能になります。また、このEMGの場合PUの底にケーブルコネクターを配置しているのにウレタンで圧着しコネクターが曲がり接点不良が出てくる可能性もあります。そこでギター製作者のrunt guitars RUNT GUITARS後藤氏オリジナルのEMG専用ピックアップスペーサーがこの問題を解決しました。メープル削り出しの板の下にウレタンシート、ピックアップコネクターやポールピースネジにクリアランスを設け、ストレスフリーなケーブル取り回しを実現しました。PUと弦が限りなく平行に保たれるよう微妙な傾斜をスペーサーとPUの接点部部に設けています。
完璧だと思うEMGパッシブピックアップでも弱点はあります。フルテン状態のギターノブからギターボリュームを落としていくとトレブルの劣化が非常に大きく、スタンダードのパッシブPUとは操作方法を変えないとなりません。これはH4Aでも同じ状態でした。原因がピックアップに付いてくる純正ポットかピックアップの特性か定かではありません。アクティブEMGではパッシブとはトーンが違いますが純正ポットでもトーンはなだらかに変化します。ということはPU本体の特性かもしれませんが打開策はハイインピーダンスのボリュームペダルを使用すると全く問題なく解決しました。ボリュームと歪のダイナミクスをコントロールする方法が多少変わりますがそこは重要ではありません。元々がフルテンで奏でるように設計されたのがEMGなんでしょうね。
しかし、フルテン状態でもピッキングのダイナミクスがつけられ、ビンテージフレーバーなる不思議なピックアップがEMGパッシブのREVELATION SETです。