
一方、事件の原因や経過の調査は警察によって進められた。
車の部品に異常は見られない。
とすると、運転者の東野の過失か、それとも故意か?
捜査員は注意深く聞き込んだが、二人の仲の良さを裏付ける噂しか得られなかった。
しかし、東野は26歳、佳奈は25歳共に大手企業の営業所に勤める。
華やいだ職場だが、移り変わりが激しく苦労も多い。
若いから心変わりがあったかもしれない。
ひょっとしたら車内でなんらかのトラブルがあったのか?
捜査員は突っ込んだ。
東野は当然の如くそれを否定した。
ひたすら酔って、ぼうっとして、ハンドルを切り損ねたというだけだ。
東野自身、記憶障害が起きたみたいでよく覚えて無いのだった。
彼の言う事が本当だと、最愛の恋人が瀕死の状態で、それなのに故意にやったと疑われてる可哀想な男にすぎない。
一方佳奈は、病院側の固くガードされ、面会謝絶のままだ。
勿論恋人の東野も佳奈に会う事どころか、見ることも出来ない。
捜査はウヤムヤのまま打ち切りになった。