どこにも瑕疵はないですが、まあなんと古い本でしょう!
文字も当時の学生向きの小ささ。
それでも(当たり前ですが)内容は全く昔のままでございます。
昭和のキャラメルの香りがする気がしました。
壷井栄は小豆島の生まれ、暖かい人情とふくふくした母性愛の香りがする作品を残してます。
戦争に打ちひしがれた貧しい社会で、不正を憎み人間を愛する大人や子供の日常を描く、素朴なヒューマニズムに溢れた童話ばかりです。
描かれたのはかなり厳しい時代ですが、決して悲観的にならない、明日に向かって生きる母親像が目立ちます。
ちょっと時代が古すぎますが、ほっこりする童話ばかりです。
壷井栄は既婚者ですが、実子に恵まれない人でした。
壷井栄は既婚者ですが、実子に恵まれない人でした。
それでも、不幸な環境下にある親戚の子を引き取って育て上げた記録を残すように、「おふくろ」のイメージが強い人です。
『二十四の瞳』、『母のない子と子のない母』に壷井栄を彷彿とさせる女性が登場してます。
壷井栄は決して見栄えのする人ではありません。いかにも田舎のおばさんといったダサい方。
壷井栄は決して見栄えのする人ではありません。いかにも田舎のおばさんといったダサい方。
青春期に入るに従い、「ちょっと頭悪そうだし、全然文学的じゃないし」という友人の言葉に「如何にもそうだ」と共感。
手持ちの大事な著書を全部処分してしまいました。
今迄何冊の貴重で懐かしい本を処分してしまった事か知れませんが、この時大事な素朴な心迄処分してしまったのかも知れません。
今、懐かしい故郷の春の野を見る思いで、この本を眺めております。