読書の森

セカンドハウス その10



由比は納得出来る理由を付けてセカンドハウスを借りた。
一刻も早く気味の悪い環境から抜け出したかった。
セカンドハウスの居心地が良ければ、購入した家を売ってそちらで生活しようとした。
遊びを知らない彼女はそれだけの貯金をしていた。

ところが仕事が忙しくなって引っ越しする時間の余裕が無かった。

又野口医師のアドバイスが由比の心を鈍くさせた。
「幻聴であればどこへ行ってもする。寧ろ今は栄養と睡眠を取ってゆとりを持って生活すべきだ」

彼女は考えた挙句それに従った。
そして、退去する事に決めたのである。
損をした家賃には目を瞑った。

しかし、退去の日最悪の事態は起こった。



野口医師は暗い顔のまま言った。
「彼女はよくスマホを乗っ取られた様だと言っていました。
セカンドハウスもスマホで業者と連絡を取ったのではないかと思います。
乗っ取られたというのは妄想でなく真実だったのかも知れません」

御代田は目が覚めた思いがした。

彼女のスマホは紛失していた。
現場は勿論自宅にも無かった。
これを犯人が奪ったに違いない。

犯人は彼女のスマホの履歴か写真に載っている人物、そう考えると謎が解ける。
御代田は頭を叩いた。
己の血のめぐりが悪い事を嘆いたのである。

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