読書の森

山本周五郎 『五瓣の椿』続き



商家を営む父親が没落して、失意の内に病に倒れる。
ところが、放埓な母親は男遊びをして夫を見向きもしない。
父の商売仇とも関係を持ち贅沢をしている様でもある。

一人残った娘は必死に父親を看病して家を守る。
娘の健気な手当も甲斐無く、父は虚しく死んでいく。
嘆き悲しむ娘に、母は「あんたは別の男の子だ。死んだのは自分の親じゃないから安心しな」という言葉を投げつける。

娘は愕然とした。
そして激しい憎しみに燃えた。
実の子でも無いのに親身な愛情を持ち続けてくれた父への愛惜と、実の母への憎しみで娘は復讐の鬼と変わる。

先ず、家に火をつけて、母をその愛人と共に焼き殺した。
そして、父を陥れた男に、自分の身体を張り騙した挙句に、次々と惨めな形を取らせて滅ぼしていく。

最後には「やめてくれ!」と叫びたくなる悲劇が待っている。



痛みはあるが、心に強い衝撃を与えて、長く残る記憶となった。

この小説は人気があって、次々と映画化ドラマ化された。

当時売れっ子の女優、十朱幸代主演でリメイクされたテレビドラマにもなっている。
題名は記憶の外にあるが、死んだのは主人公の父親でなく、夫という設定になっている。

ワクワクする程に凄絶なドラマで、私は毎回熱心に視聴した。
最終回は原作を読了した時と同じ哀切感を味わう事が出来た。

愛しい者への恐ろしく理不尽な仕打ちに対しての復讐物語は推理小説などの普遍的なテーマである。


私もこれをテーマに私なりの物語が書けたらと思う。

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