読書の森

遠くからの声 その2



男は見合いをし、結婚する事になった。
不満のない相手であるし、女も男を慕っている。

相手の家を度々訪ねていくと、ちょっとコケティッシュな妹が応対する。
奇妙に気になる相手である。

妹は何故か二人に纏わりつく。
「お兄様、お兄様」という言葉を快く聞く彼と、嫌がる姉。

この微妙な関係を巧みに清張は描く。

「要するに、姉の婚約者が好きになったんでしょう?
じゃあ、奪い取ればいいじゃない」

というのは今日的発想で昭和30年代初頭は、そんなふしだらな真似は飛んでも無いという風潮があったのだ。
その道徳観はこの三人を固く縛り付けていた。

妹がどれほど苦悩したか、小説の中で何も触れない。

いかにも突拍子もない事をする、無邪気で無分別な若い娘という印象を与えさせている。

ここに作者の企みがある。

読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️

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