時は、室町時代末期、応仁の乱没発の頃。ここから戦国時代に入り、その後信長秀吉と続く安土桃山時代、そして盤石の体制を作った江戸時代になります。
天変地異の連続、飢饉、野蛮な争い、下層階級の一揆反乱、時の将軍の闇撃ち、下剋上があちこちで起き、混乱を極めた時代ですので資料に乏しい。故に独自の想像力を働かせる訳ですね。
何やら不安定な現代のカリカチュアみたいな気もしてきます。
この時細川方の足軽大将になった骨皮道賢(通称)が主人公で地獄から出てきた餓鬼そのものの風貌と描かれてます。
ガリガリの冴えない男と天女のように美しい子連れの女性(実は物怪で超能力者)の交流がこの物語の軸になります。
時は遡って、孤児だった道賢は同じように身分の低いさよという女が好きだった。
無垢で純真で優しいさよは、粗相をした子供を庇って、咎める武士に必死にその子の命乞いをした。
確かに急な腹痛で子供が路上でお漏らしする事は仕方ないが、身分の高い武士に逆らった無礼者という理由で、哀れ、さよは処刑されてしまった。斬首である。
彼女の首と胴は切り離されて竹藪に捨てられた。遺体は獣が食い荒らした。
この惨虐極まりない結果を間のあたりにした道賢は、怒り心頭に達する。上にペコペコ、下に残虐非道な武士階級への復讐を誓います。
一心に武道に励む道賢は、凄い程美しい物怪の女と知り合い、その超能力を得て金にあぶれた浪人の集まり「ホネカワ党」の党首となります。そして、、、。
全編活劇ホラードラマを観ているような面白さがありました。
同時に昭和中期の活劇時代劇に引き込まれる気分になって、楽しかったのです。
同じ雑誌に掲載されてる『夢か現実か』、作者五十嵐律人は弁護士兼業の人。
「頭の良いクールな男子の作った作品だなあ」という印象を受けました。
文章生成AIによる著作権侵害を扱っていて、どこまでが現実の話でどこまでが嘘話か分からなくなってしまいます。
それを明晰に分析してるんですが、作者の頭が良すぎて読み返さないと分からない、ちょっと捻った作品です。
さすが今どきだな、と感じるのは妙齢の独身女性の主人公の「夢」が、「スパイ」で格好いい悪役になりたかった点。
その夢が昂じて特殊詐欺軍団の真っ只中に忍び込むルポライターになるのです。
ところが原稿を生成AIで作ったのでAIの原作を盗作した容疑で起訴されます。
しかし、、。
罪人となる事をとっくに承知してた彼女には別の意図があったのでした!
法律問題もAIが絡むと難しいなぁ、とオタオタしつつも、今どきの若い子の思いが伝わるものがありました(見当違いかも知れないけど)。
おまけ:
読書で疲れた頭と身体(?)を癒すトロトロのニンジンスープです。
人参、玉ねぎ、じゃがいも、キャベツをコトコト煮て(スープの素入れる)、柔らかくなったらミキサーにかけて、牛乳を混ぜて軽く温めます。
これは健康に良いので時々作るスープです♪