『オルフェ』の様な幽玄で悲劇的な恋に憧れていた私の高校時代だった。
ところが現実は、私は全く野暮ったい団塊世代の女子高生だった。
いかにも健康そうで、要は太ってて、おおよそおしゃれじゃなかった。
友達のお父さんが「こまどり姉妹」に似てると言ってくれたが、当時のこまどり姉妹もコロコロしてたのでちっとも嬉しくなかった。
つまり、幽玄でも悲劇的でも全然なかったのである。
好きになった相手に、断られた上怒られた事がある。
「君反省しないのか?わからないのか」
自分が振っておいて、何言ってるんだろうと思った。
一応、惚れた弱みで「分かる」としおらしい顔をしてしょげた。
これは、私があまりにもおおっぴらに「好きだ」と意思表示したからだと、ずっと後で分かった。
彼の友達にも自分の友達にも
「あの人好きなんだ。手紙出したけど反応がない。どうしよう?」
と相談しちゃったからだ。
男友達の一人が、止せばいいのに皆の前で彼と私を会わせ、彼に返事を迫った。
その結果好きな相手に、振られた上にお説教されたわけだ。
「恋は秘めごと」なんて感覚は皆無だった。
ただ、あの時代は中の良い友達同士で
率直に恋の悩みを打ち明けたものだが。
私の場合はオープン過ぎた。
さて、一級下の可愛い女の子とあのお節介な男友達の恋の取り持ちをした事がある。
自分の好きになった相手の名前は忘れてるのに、この二人の顔も名前もバッチリ覚えてるのはどうしてだろう。
最初、彼女は彼に憧れてんのに、彼は他の子が好きだった。
彼女は、さぞかし棲艶な美女になるだろうとう容姿の持ち主だったが、鋭過ぎるところがあった。
どういう拍子か、二人は仲良くなった。
ある日、私は緩衝材として彼と一緒に、彼女と会う事になった。
彼女の家に遊びに行くのである。
ところが約束の日、待てど暮らせど彼女は現れない。
どうしたのかと彼女の家に電話をかけて、家の人が待ち合わせ場所を教えてくれた。
私たちが居る場所と駅が違った。
つまり一つ前の駅だと私は思い込んでたのだ。
私がドジな事はよく分かってるらしく二人とも笑ってたけど。
携帯のある現代、嘘の様な恋愛話であろう。
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