読書の森

原田ひ香 『平成版聖なる結婚』





作者の女性がセルフサービスの喫茶店にパソコンを持ち込み原稿を作成していた時、不思議なカップルに遭遇した。
地味で目立たない男女で、非常に行儀が良い。
恋人同士の雰囲気はないが熱心に話し合っている。
どんな間柄なのか。

狭い場所で隣の会話がそのまま聞こえてしまうので、つい耳を傾けてしまう。

実は彼らは結婚紹介所で知り合い婚約までした仲だが、会話はぎごちなく、ずっと丁寧語を使っている。

それぞれ250円の飲み物を割り勘にするという。
交際に慣れてないらしく情緒に欠けている。
婚約指輪は30万円と一緒に選ぶより先に値段を決めたり、その時期満員であろう式場はその後予約すると世慣れない事ばかり言ってる。

式場の付き添いの話になった。
そこで、彼女は幼い時に母親が家出をした事を告白したのである。
母には側にいて欲しくないと真情を吐露した。
付き添う様な「親しい友達もいない」と依怙地に言う。

その時、突然彼はタメ口をきいた。しかも思いやりのある言葉だった。
「式の次第は兄嫁に聞いてみるよ」
心配するな、僕に任せろ、という意味だろう。
女性も甘える様な言葉付きになった。

男女の仲とは不思議なものである。
不器用な二人はその後打ち解けて、結婚する間柄に見えてきたという。




何も気にせず使っていたタメ口が、他人を家族に変えた言葉になったのだ。

冴えた環境、冴えた恋、格好良い展開は寧ろ珍しいのだ。


結婚に恋の上手下手は通用しない。
どこかズッコケた二人が、ブキッチョでも共白髪まで浮世を渡っていく例は多いのかもしれない。

^_^
結婚した事のない私は想像力を逞しくするばかりです。
昔、描いた結婚像がいかに甘かったか、最近しみじみ反省してる所です。

今、どうも結婚どころか、生きていくのさえ難しい世界になっている様です。

そこで真摯に将来を見据えて、節約して将来に備えようとしているこのカップルが、とても貴重に思えます。






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