読書の森

菊池寛 『無名作家の日記』最終章



遂に芥川の小説は認められ、彼は新進気鋭の小説家として世に出た。
端正なマスクの彼の写真は雑誌や新聞を飾った。

菊池は敗北感に打ちひしがれる。
この作品を一貫して流れるものは、己の才能を世に認められたい渇望である。

この作品は主人公の自分の才能に対する諦観で終わる。



しかし、現実の菊池寛は諦めなかった。
後に小説家として名を知られる。
それだけで飽き足らず、更に文芸誌発行の事業家となるのだ。

戦後、活字に飢えた読者の為に出版業に尽力した。
戦火から解き放たれた数々の絢爛たる物語世界を提供してくれたのである。

「無名作家」はあまたの著名な作家を生んだ。
何も知らなかった中学生の時に、可哀想だと思った冴えない学生は、とりどりに咲く花を育て上げたのである。


書いてから気がついて慌てました。
これは、文藝春秋社さんへのゴマスリでは決してございません。
劣等感に打ちひしがれながらも、文学に対する熱い思いを決して諦める事のない作家を描きたかったのです。

読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「書評」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事