読書の森

山本周五郎『四年間』



久しぶりに図書館で本を借りました。

昔の文庫本ばかりで、古本独特の匂いがします。

山本周五郎の短編集の中の『四年間』は昭和21年7月に掲載された現代小説です。

この戦後間もない時期、敗戦後の貧しさと混迷の中で希望の芽が息づいた頃に私はとても惹かれるのです。

何もかも失っても、明日に向かって生きたいという人々の強い情熱が伝わってくる時期と捉えてます。

これは、ガス壊疽に冒され後四年の命と宣告された病理医が、絶望の中で彼を愛する人の捨て身の告白によって、生きる希望を取り戻す物語です。


「人間はどんな厭うべき状態にも慣れるものだという、自分の心理を克明にあばき、客観的に記述することで恐怖に対する慣性を作ろうと思った」
「死の恐怖はそのまま生存への烈しい欲求である」

主人公の心の分析は、コロナ禍の不安や恐怖に打ちひしがれた心理と共通するものがあって、ドッキリとします。

敗戦直後の時代に、現代小説に挑む事によって、社会と正面から向き合う作者の意気込みが伝わってくる作品でした。


さて、シシトウが安く一杯手に入りました。
煮浸しにしてかつぶしをかけると日持ちのするお菜になりました。

当分読書とお菜作りをして、コロナ禍の中でなんとか生き伸びたいと思っております。

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