伊吹山(1,377m) ((1)のつづき)
登山道の岩石は、標高が高くなるほど白さを増していく気がしました。見下ろすと、樹木のない斜面のせいか、傾斜が急に感じられます。
伊吹山の頂上は台地でした。新幹線から幾度も眺めた山はこうなっていたのかと思います。自分にとって、初めて登った山ですが、登る前から馴染みのある山でもありました。
同じ石灰岩の山らしく、鈴鹿の鈴北岳にも似た地形があります。しかし、鈴鹿では窪みに水がたまっていたのと違い、伊吹山ではそこに雪が積もっていました。
伊吹山自体は、埼玉県の両神山に似ていると思います。両神山の高さを少し低くして、あのギザギザを取り除くと伊吹山になります。
国土地理院の発表した、令和2年の「全国都道府県市区町村別面積調(1月1日時点)」という資料があります。じっと眺めていても飽きません。その5ページに、「都道府県別面積」が出ており、「都道府県にまたがる境界未定地域」のある都道府県には「*」マークがついています。
「*」のついた都道府県は21ありました。全都道府県(47)の、半分よりは少なかったですが、思っていたより多いです。中部地方で「*」が付いていないのは石川と福井だけです。そして近畿地方で「*」があるのは三重と滋賀の二県でした。
都道府県全体では面積が決定していても、市町村単位では決定していないこともあります。市町村境が未確定の場所は、都道府県より多いです。市町村も含めて、1つも「*」のついていない都道府県は11まで減ります。それらは、東日本より西日本に多く、中でも四国は香川県を除いた三県で確定していました。
ここ伊吹山には、中部地方(岐阜県)と近畿地方(滋賀県)の境目が走っていますが、頂上の台地で途切れています。県境線のない部分は、直線距離で300m弱でした。
ただし、富士山や白馬岳のように、山頂が何県になるか未定ということはありません。伊吹山のピークは、空白になった県境線から西に離れており、これは滋賀県と確定していそうです。明治18年に観測された、一等三角点の点の記では、所在地は「滋賀縣近江國坂田郡伊吹村 ~」(国土地理院ホームページ・基準点成果等閲覧サービス)とされ、すでに頂上が滋賀県であることは決まっていました。
この点の記には、あっさり「山頂芝草ノミ」という一行があるのが面白いです。もっと後の点の記(昭和26年)には、「六月不適 霧靄」とも書かれています。そこまで広くない山頂でも、「芝草ノミ」しかなくて霧や靄が出ると、細かい位置ははっきりしなくなるかもしれません。
その頂上には平屋建ての売店が建ち並んでいます。富士山の富士宮コース頂上に雰囲気が似ている気がします。15種類のソフトクリームを宣伝するお店もあります。
帰りは、伊吹山ドライブウェイを使って、タクシーで帰りました。昭和40年に開通した観光道路は、標高差がおよそ1,000mあり、山頂のすぐ近くまで通じています。長い木の階段を下って行くと、広大な駐車場がありました。登る時には琵琶湖の南側を眺めましたが、今度は北側でした。小さな島は竹生島です。水面は夕陽で眩しく、島だけが眩しくなかったので、すぐ分かりました。今日一日で、琵琶湖に浮かぶ島を3つも見ました。
(登頂:2013年4月下旬)