飯豊山(2,105m) (つづき)
山頂を前にして、新潟と福島・福島と山形、二つの県境線に挟まれた回廊の幅がわずかに広がります。飯豊山神社の建つ場所を、確実に福島県とするためのものでしょうか。
鳥居をくぐった先の、神社の奥宮には人の気配はなく、お賽銭の入り口が細く開いているのみでした。
朝の7時40分、山頂に着きました。
上空は高曇りですが、眺望はとてもはっきりしています。西の方角に新潟市、さらに海を隔てて大きく見えるのは佐渡島です。もう一つ見えるのは、同じく新潟県の粟島です。
日本では沖縄本島の次に大きい佐渡島に比べると、粟島はとても小さく、計算してみるとその面積は佐渡島のおよそ88分の1と出ました。
頂上から一度に島を2つ眺められる山は、なかなかありません。
飯豊連峰の最高峰・大日岳が大きく、御西岳から分岐した稜線は烏帽子岳・北股岳・門内岳へと遠くに遠くに続きます。目の前には、難路として知られるダイクラ尾根が鋭角的な表情を示しています。標高差が大きすぎてその終点はここからは分かりません。
飯豊山の稜線には、北アルプスの山のような浮遊感がなく、本当に大きくて重厚壮麗な山だと思いました。
季節は冬に入ろうとする寸前でした。斜面には、前の年に降った雪がわずかに残っていました。夏に高山植物が大群落をつくる場所に花はなく、鮮やかな紅葉もありませんでしたが、これぞ飯豊山そのものの色だという感じがしました。
(登頂:2019年10月下旬) (つづく)