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立山(室堂山(2,668m)・浄土山(2,831m)) ((1)のつづき)
「~ 立山カルデラとは、天狗山や鷲岳などの山に囲まれた大きなくぼ地です。このいちばん高いところにある室堂山の溶岩は、いったいどこから流れてきたのでしょうか。溶岩の流れた筋が北に下っているので、南からきたのはまちがいないのですが、火口がどこにも見あたりません。なにしろ、すぐ南側には山がないし、ここ室堂山がいちばん高いところなんです。じつは、このカルデラの中に、というよりも、今はなにもないもっと高い空中に、むかし、高い山があり、火口があったのです。この山が消えてしまい、火口がどこにあったのか、もとの山がどういう形だったのか、そうかんたんに知ることはできません。 ~」
「~ むかし立山火山でふき出した火砕流は、雲仙普賢岳で発生した火砕流と比べると、はるかに大きなものでした。 ~」
(『立山火山を見る「とやまと自然 第23巻 秋の号 2000」』中野俊(富山市科学文化センター))
室堂山は、立山火山ではもっとも高い山です。立山の中でも、昨日歩いた雄山(3,003m)や別山(2,880m)は、室堂山よりさらに高い山々ですが、それらは火山ではありません。
興味深い文章ですが、室堂山の展望台は不思議な感じがしました。室堂山が火山であるのは確実ですが、まわりの風景は、火山と火山でない山のちょうど中間のような雰囲気なのです。
「溶岩の流れた筋が北に下っている」とのことですが、室堂山に登ってくる途中に見かけた巨岩は、みくりが池温泉の近くに転がっている巨岩と同じ色をしていました。ただしその数は、室堂山に近づくほど多くなりました。
ここからほぼ北に向かって直線を伸ばすとみくりが池温泉にぶつかり、もう少し北には噴気を上げ続ける地獄谷があります。昔は地獄谷への道がありましたが、危険なため今は入ることができません。
室堂山の2,668mの頂上は、展望台の少しだけ西に位置しています。そこへの道はついていません。近くには別山で見たのと同じような、小さい池が1つありました。室堂山のさらに西には、国見岳という2,621mの山があり、そこには明治40年に観測されたという三等三角点があります。
室堂山の風景は、水面に沈んでいる氷山のように、完全ではないものを想像で補う必要があるようでした。火山に登って、火口を見ずに帰ることは少ないです。「高い山」がなくなるほど大きな噴火があったとは思えない場所でした。
しかし、あったはずの山がない南側の風景は素晴らしいです。東に向かって少しだけ傾いた五色ヶ原が広がり、その向こうには薬師岳がそびえています。室堂山の展望台から眺める薬師岳は、2つのピーク(薬師岳と北薬師岳)が並ぶ美しい双耳峰でした。
眼下に広がるのは立山カルデラですが、樹木にさえぎられて遠くの方が少し見えただけでした。カルデラでは砂防工事が行われ続けています。カルデラへ向かう砂防工事専用軌道には、38カ所ものスイッチバックがあるといいます。
薬師岳のもっと遠くには、黒部五郎岳、笠ヶ岳、さらには槍ヶ岳まで見えました。五色ヶ原と逆方向に傾いているのは、雲ノ平のようです。薬師岳の右に見えるなだらかな山は、北ノ俣岳です。北アルプスの中では、知名度は高くはないものの、いい山です。
室堂山への道は急なものの、とてもよく整備されて、室堂バスターミナルからの時間もそれほどかかりません。ここは、北アルプスの奥深い山々を眺められる場所の中でも、とても簡単にたどり着けるポイントです。
(登頂:2020年9月中旬) (つづく)