心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

西丹沢・畦ヶ丸 緩やかなブナの頂上と、ユニークな2本の滝

2020年02月25日 | 丹沢・箱根


畦ヶ丸(1,292m)


 丹沢には、語尾が「丸」のユニークな山があります。よく知られているのは檜洞丸(1,601m)とこの畦ヶ丸ですが、ほかにも”榛ノ木丸”,”ヌタノ丸”,”春ノ木丸”,”シャカグチ丸”・・・ 登山道の通る山通らない山、三角点のある山ない山織り交ぜて、語尾が丸の山がたくさんあります。
 丹沢以外では、中央線の笹子駅から登れる”本社ヶ丸”があります。富士山の眺望が素晴らしい山でした。
 また、大菩薩嶺から南下していくと、”大蔵高丸”や”ハマイバ丸”といった山々が見つかります。
 丸で終わる名前の山は丹沢で特に多いようです。
 畦ヶ丸は、地形図では「畦ヶ丸山」と表示されていますが、「畦ヶ丸」で切った方が丹沢らしい感じがします。


 畦ヶ丸を特徴づけるのは「本棚」「下棚」と呼ぶ滝です。登山道から外れたボーナスステージのようなポイントに、立派な滝が2つもあります。
 西丹沢自然教室(現:西丹沢ビジターセンター)から立派な吊り橋を渡ります。西沢沿いの登山道は、木道で水の流れを何回も渉ります。砂防ダムは急な階段で越えていきます。
 歩き始めから50分で、最初の滝、下棚への分岐に出ました。素朴な登山道を進んでいくと、次第に水の音がしてきます。音楽用語で、だんだん強くなるのを「クレッシェンド」と言いますが、本当にそれと同じ感じがします。
 同じく、非常に強いのは「フォルティッシモ」ですが、畦ヶ丸の滝はフォルティッシモほど豪快にはなりませんでした。
 下棚は、上下それぞれ板のような一枚岩を滑るように、時にはシャワーのように落ちる滝で、大きな岩の力強さはなかなかのものでした。
 同じように本棚にも行ってみました。道は下棚より荒れ気味で、倒木もありました。落差は本棚の方が大きいですが、水の流れは下棚より細い気がしました。


 沢沿いの道が終わり、整然とした杉林を登ります。
 白い砂のような地面の細い稜線に出ました。看板に「善六のタワ」と書いてあります。
 ここまで登ると、杉以外の樹が増えてきました。
 木製の大きな梯子を登り切ると、ゆったりとしたブナの、自然のままの森になりました。まだ4月でブナに葉はありません。
 梯子を登るのに張り切り過ぎて、歩くのがゆっくりになりました。
 整備されたばかりの新しい階段を登ると、「200m先避難小屋」の標識が現れましたが、山頂は避難小屋よりも手前にありました。標識がなければ山頂と気づかないような場所で、遠くの景色も見えません。石造りの大きなケルンが建っていました。
 ピークに向かって1点に集まるような登山道ではなく、ピークの周りが一番広さを感じる登山道でした。
 幹の太さが同じ樹もなければ、枝の伸びる方向が同じ樹もありませんが、穏やかさは不均質なところにこそ宿ると思いました。






 (登頂:2012年4月中旬)



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