心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

市房山(3)

2019年07月01日 | 中国・四国・九州の山


市房山(1,721m) (つづき)

 4合目には市房神社が建っています。
 現代的なコンクリート製の本殿ですが、紅白の色づかいが目をひきます。
 神殿の中にはお酒の一升瓶がお供えされていました。


 ここからしばらくすると一気に登りが急になり、歩きづらいところも出てきます。ツルツルで滑りやすい大木もあり、ロープが下がっているところもあります。去年登った愛子岳(屋久島)の最後の登りを思い出しましたが、あれほどはきつくありませんでした。
 北アルプスの鎖場とは違う、これも楽しい山歩きです。タクシーの運転手さんは市房山の登山道を「大人のアスレチック」と話していました。
 7合目を過ぎると、道が少し穏やかになります。樹木の数が少なくなっていくのが分かります。気象条件の厳しいのもあるでしょうが、シカの食害も深刻なものがあるといいます。バイケイソウの多い場所があります。バイケイソウに毒があって食べられないことは鹿も知っているでしょう。
 天気は良くなく、あいかわらず濃い霧に覆われていますが、頂上が近づいてきたことがなんとなく分かります。「山頂まで5分」の標識が立っている場所から、本当に5分で山頂でした。
 これから帰ろうかと思ったら、急に霧が晴れて青空が広がってきました。ものすごい速さで雲が動いています。登山口のある水上村の集落が見えてきました。麓と一体になった山だというのが伝わってきました。
 山頂はところどころ岩石の露出した眺望のよい場所でしたが、あまり開放的な感じがしなかった理由は今日の目まぐるしい天気だけではなく、数時間前まで歩いていた神々しい杉の巨木と森の雰囲気が、頂上まで伝わってきていたからに違いありません。
 開聞岳や屋久島の山には清濁併せ呑む大きさがあり、久住山の景色には本州の山とギャップを感じてしまうほどの底抜けの明るさがありました。市房山の森も同じくらい力強いものでしたが、登ったことのある九州の他の山々にはない中庸さを持っていました。





  帰りは、湯前駅からふたたびくま川鉄道のディーゼルカーに乗りました。とても楽しい内装の車両でした。乗車するのに、運賃以外の特別な料金は必要ありません。

 (登頂:2017年5月初旬)



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